子どもが欲しいけれど、なかなか授からない。そんな時、わらにもすがる思いで、子宝神社や子宝スポットにお参りする方も多いことでしょう。妊活中のすべての方が、子宝に恵まれるよう願ってやみませんが、他人に迷惑をかける子宝祈願は考えもの。 筆者が目撃した、厄介な子宝祈願の話をしましょう。
子沢山ママに執着するママ友
少子化と言われて久しい昨今、わが子が幼稚園に入園したら、「こんなに子どもがいるのに、少子化ってホント?!」と疑問に思うほど、子沢山のママが大勢いました。
まず、同じクラスの20人中、一人っ子は、たった2人。3~4人兄弟姉妹がメジャーで、なかには、8人もの子を育てる子沢山ママもいます。さすがに8人の子沢山ママは、おおらかで、小さなことは気にしません。そんな子沢山ママに、執着するご近所さんがいました。
子沢山ママとご近所のAさんは、お互い第一子を産んだ時に、仲よくなったそう。子沢山ママが次々と子どもを産む一方で、Aさんは長年二人目不妊に悩んでいて、全国の子宝スポットへ足を運んでいました。
数年前、Aさんから
「次々に子どもを授かってうらやましい! 私も、わが子だけで野球チームができるくらい産みたかった」と告白されました。子沢山ママは、少しでもなにかの力になれたら… という気持ちから
「妊娠が、風邪みたいにうつるなら、分けてあげたいよ。二人目が来ると良いね」と答えたそうです。
それからです。Aさんが子沢山ママに執着するようになったのは。
どこにでも現れるママ友
最初は、子沢山ママが妊娠中でお腹の大きな時に、軽くタッチ。
「私のところにもおいでね。赤ちゃん」と優しく話しかけていました。それが、妊娠中はもちろん、出産後も、ほぼ毎日続くことに…。
幼稚園の送迎や買いもの、掃除などで、家から出るのを見計らったように、Aさんが出没。どんなに時間をずらしても、ほぼ毎日現れて、Aさんのお腹を触るのです。
「幼稚園のバスが来ちゃう! 急いでるからまた今度」と言っても、Aさんは
「大丈夫。すぐに終わるから」と腹タッチをやめません。
臨月で大きなお腹の時には、
「特に御利益がありそう!」と数分間サワサワとおなかを撫でまくり、その刺激で、おならがプープーと出てしまったそうです。
さらに、陣痛中に妊婦さんが描いた、富士山やザクロの絵を寝室に飾ると、御利益があると聞いてきたAさん。
「必ず陣痛の時に描いてね!」と色紙を手渡しました。人の良い子沢山ママは、陣痛のピーク時に必死に絵を描きましたが、あまりの痛さで出来映えはイマイチ。
Aさんは
「富士山とザクロに見えない!また出産する時は、もっと丁寧に描いてね!」と、なんと書き直しを要求しました。
翌年、子沢山ママが年子の子を産んだ時、律儀に2枚目の絵を描くことに。陣痛の痛みをこらえながら、必死で構図を考え、配色を考え、力作を描き上げたそうです。
「妊婦おにぎり」まで
そして、極めつけは、妊婦おにぎり! 妊婦の握ったおにぎりには、妊娠菌がつく(?)という迷信を真に受けて、週1回、Aさんはラップに包まれたごはんを持ってきて、
「おにぎり握って~。素手でお願い!」と頼むそう。
実際、私が子沢山ママのお家でお茶をしている時に、Aさんがやってきて
「お友達がいらしてたの。ごめんなさいね。おにぎりもらったらすぐに帰るから」と、ごはんを手渡していました。妊婦おにぎりなんて、初めて聞いた私は、ビックリ!
「妊娠菌ってなに?! そんな非科学的な話に付き合ってるの?」と子沢山ママに尋ねると、
「子どもが8人いるって知ると、大抵の人は『大変ね』って言うんだけど、Aさんは『子どもがたくさんいて賑やかなのって素敵ね』って言ってくれて嬉しかったの。だから、御利益があるかは分からないけれど、できるだけ協力してあげたいんだ」とニコニコと答えてくれました。
子沢山ママの子宝効果か、Aさんはついに二人目を妊娠中。出産間近で、幸せそうにしているそうです。
(ファンファン福岡公式ライター)