全国に約2000社ある住吉神社の始源とされる福岡市博多区の住吉神社。総面積8000坪を超える広大な敷地の中には、さまざまな施設があります。
全国に約2000社ある住吉神社の始源とされる福岡市博多区の住吉神社。総面積8000坪を超える広大な敷地の中には、さまざまな施設があります。
現在の本殿は、戦国武将黒田官兵衛の嫡男で、筑前福岡藩初代藩主の黒田長政が造営したもので、国の重要文化財に指定されています。
敷地内には土俵もあります。住吉神社は、毎年11月に開催される九州場所前に横綱奉納土俵入りがあることでも有名です。
本殿近くには、博多人形師、中村信喬さん・弘峰さん親子の合作「古代力士像」というブロンズ像もありますが、なかなかの迫力です。
そして、ちょっと分かりにくい場所(土俵の隣)に能楽殿があります。 こちらの能楽殿は、昭和13年(1938年)に福岡や北九州の経済界や能楽愛好家有志の寄付によって建てられたもののようです。
大正時代に、福岡市中央区の警固神社にあった能楽堂が老朽化したため、住吉神社境内に能楽堂を建設する計画が興り、昭和13(1938)年秋に落成、その後住吉神社に寄贈されたそうです。昭和61(1986)年に大濠能楽堂ができる前までは、全国の能楽関係者から「大阪以西なら住吉」と称賛されるほどに、西日本随一の舞台として親しまれてきたそうです。
戦火もくぐり抜け、地震にも耐え、80年近く立派に建造物として存在している姿には圧倒されます。 中に入ると、空調こそありませんが、自然光が差し込む厳かな雰囲気。総ひのき造りで、伝統と格式を感じます。こうした戦前の木造建築の能楽殿は全国でもあまり例を見ず、住吉神社能楽殿は福岡市有形文化財にも指定されています。
床下には音響効果を考えて甕が置かれているそうです。地謡座の背後には、身分の高い人が鑑賞する高欄付き桟敷もありました。
「住吉神社能楽殿」の保存・活用を目的に、平成8(1996)年に福岡市で活躍する能楽師の有志で「福岡市能楽協議会」が結成され、平成9(1997)年から「ふくおか市民能」を開催しています。 21回目となる2017年は5月5日、若手能楽師、今村嘉太郎さんと多久島法子さんが「蝉丸」を演じます。貴重な舞台で繰り広げられる伝統芸能をぜひお見逃しなく! 関連記事⇒第21回ふくおか市民能「蝉丸」住吉神社能楽殿で開催!