最近子どもがいつも不機嫌、なんだか言葉づかいも悪くなっていきたような…? などと不安になっている方もいるのでは。もしかしたらそれはお子さんが反抗期の入り口に立っているのかもしれません。反抗期は多くの人が通る成長の証ですが、大人の対応の仕方によって長引いたり、トラブルが悪化することも。
本記事では反抗期とはなんなのかを元保育士ライターがわかりやすく解説します。適切な親の関わりかたも合わせてチェックして、親子で反抗期を乗り切りましょう!
反抗期ってなに?
反抗期とは、子どもが成長する過程において身近な大人や家族に対して反抗的な態度をとる時期のことをいいます。反抗期というと、中学生や高校生の思春期に親に歯向かったり攻撃的な態度をとる様子をイメージする方も多いと思いますが、実は反抗期は大人になるまでに2回訪れるといわれています。
発達心理学などではこれを第一次反抗期、第二次反抗期と呼んでおり、同じ反抗期といっても成長過程における子どもの発達の様子や反抗の仕方などは異なります。
第一次反抗期
第一次反抗期は、“魔の2歳児”とも呼ばれる2歳から3歳くらいに訪れます。この時期の反抗期は自我が順調に発達している証拠。したいこと・やりたくないことの意思が持てるようになり、気持ちの整理ができない時に暴れたり泣いたりすることが多いです。俗にいう“イヤイヤ期”のことを指しています。
第一次反抗期の子どもの様子
第一次反抗期の時は、主に親や保育者への反抗が強くなります。指先の発達や言語の獲得などを経て、お着換えや、食事など生活の中で一人でできることが増えてくる時期。しかし、まだ未発達な部分も多いので、自分ひとりでやりたいことと、実際にできることの差が生まれ、心の葛藤が生まれるのです。
やりたいけどできない!これが欲しい・やりたいのに親がダメっていう!そうやって思いどおりにならずもどかしさから癇癪を起したりしています。
家の中でのイヤイヤ
お着換えの際に、一人で着替えたいのに親が勝手に手伝ってしまったり、靴を履く・帽子をかぶるなどを親がやってしまうと「自分でできる!一人でやりたかった!」と泣いたり怒る姿が見られます。
また、ブロック遊びや、お絵描きなどで自分のイメージしたものが上手に作れない時、やりたいのにできないことが発生した時にも心の葛藤が起き癇癪をおこすという子も多いようです。
外出先でのイヤイヤ
第一次反抗期の中でも多くの親が悩んでいるのが外出時の癇癪。公園で遊んでいたけど帰る時間になっても「まだ遊ぶ!」といって梃子(てこ)でも動かぬ子ども達。
スーパーマーケットでは欲しいものを買ってもらえなかったり、早く帰りたいのに買い物が終わらない時などは床に突っ伏して反抗している姿も見られます。
大人からみたら、わがままな子のように思えてしまいまい結局親もイライラ。この時期は家族皆でなんだかモヤモヤするという悪循環な日も多いのではないでしょうか。
第一次反抗期における親の対処法
2、3歳の第一次反抗期は親の対処法として、子どもの気持ちを受け止めるというのが一番のポイント。
イヤイヤの原因を探ろう
イヤイヤ期の子ども達はむやみやたらにイヤイヤしているわけではなく、きちんと子どもなりの理由があります。癇癪を起こして反抗しているときにはまず、その原因となるものを見つけてみましょう。
どのタイミングで癇癪がおきているのか、どのような場面で子どもが泣いてしまうのかをチェックしておくと、イヤイヤを回避することもできるように。
「~がしたかったんだね」と気持ちを代弁しよう
すこしずつお話が上手になってきた子ども達ですが、まだまだ自分の気持ちを100%伝えることは難しいです。何かやりたくてもできなかった時、お友達におもちゃをとられて悲しかった時、親はまず「~がしたかったんだね」「できなくて悲しかったのかな?」と気持ちを代弁して寄り添ってあげましょう。
頭の中でパニックになっている子も親がきちんと整理して気持ちを代弁してくれると、子ども自身でも気持ちの切り替えがうまくいくこともあります。
ゆとりがあるなら満足するまで見守る
子どもがやりたいという気持ちはできる限り受け入れてあげて親は見守ることが大切。例えば、大人が片づけたおもちゃも自分でしまいたい!といって癇癪を起こしている時は、おもちゃをまたもとの形に広げてあげて一から子どもが一人でできるようにしてあげるなどもあり。
ただ、毎回そうはいってられないというのが親の本音でもありますよね。どうしても待てない時には、「ごめんね。やりたかったよね。でも今日はお母さんがお手伝いさせてくれる?」と気持ちを汲んだ言葉を添えてお願いベースで伝えてみましょう。そのうえで子どもが我慢してくれた時には「ありがとう。おかげでママすっごく助かったよ」など感謝をつたえることも大事。
親から子へも「ごめんね」「ありがとう」の気持ちはきちんと伝えることが大切です。相手がどんな気持ちなっているかを伝えることが第一次反抗期の子ども達の成長には欠かせません。
できた時はおもいっきり褒めてあげよう
子どもが一人で何かチャレンジした時、できたことをおおげさなくらい思いっきりほめてあげましょう。ママだけでなく、「帰ってきたらパパにも言おうね。」「じじばばにも教えてあげなくちゃ」など成功した嬉しい気持ちをみんなに伝えてあげると、子どもはさらに自信につながり、やる気がまします。
もし、うまくいかなくて泣いてしまっていた時には、「一人で頑張って偉かったね!」とチャレンジしたこと自体を褒めてあげましょう。
頑張るあなたが素敵!優しいあなたが大好き!という気持ちを沢山伝えてあげると自己肯定感も高まります。
第一次反抗期の終わり
第一次反抗期は、小学校へ上がる前に多くの子どもが自然となくなります。基本的生活習慣を身につけられるようになると大人の手助けなく一人でできることがグッと増えていきます。お話も上手にできるようになり、友達や親など自分以外の人の気持ちも考えられるように。
嫌な事や思いどおりにならないことがあっても癇癪以外の方法で解決することが増えていきます。しかしまだまだ幼さもあり発達には個人差もあるためイヤイヤ期が人より長めでも焦らずに見守ってあげましょう。
第二次反抗期
第二次反抗期は、イヤイヤ期から約10年ほどたった小学校高学年から中学生にかけて訪れます。西日本新聞が2019年12月に発表したデータによると、子どもの反抗が始まったと思う時期として小学生が57.7%、中学生が30.6%と全体の80%以上の子ども達が小学生・中学生で反抗期を迎えていることがわかりました。
この年代は学校生活を通して、多くの友人や先生たちと関わりさまざまな価値観や思考を学んでいくように。そこで感じた親の価値観の矛盾や、親とは違う自分の信念や価値観を確立していこうという精神的な側面から親への反抗が始まることが多いようです。
親から自立していく過程でおきる“心理的離乳”がちょうど第二次反抗期辺りの子ども達に起き始めます。この時期から新たな親子間系を構築していくため、親の関わり方次第で家族間の様子もガラッと変化。親の対処法が重要になっていきます。
第二次反抗期の子どもの様子
第二次反抗期の子どもは、2.3歳頃にあった第一次反抗期に比べて周囲の影響を多大にうけています。反抗の仕方はその子の元々ある性格や家庭環境によっても異なりますが、大きく分けて「静」と「動」2種類の反抗がみられます。
「静」の反抗:コミュニケーションの遮断
第二次反抗期は親との積極的なコミュニケーションを回避し、殻に閉じこもって反抗の態度を示す子がいます。親が子どもにしゃべりかけても「別に…」などといって会話を遮断し自分のことや友達のことを話したがらなくなるように。
西日本新聞のデータでも、反抗期で親が困ったこととして14.4%の人が「子どもとの会話がない」と回答しています。
普段おしゃべりだった子がだんだんと口数が少なくなってきたり、なんだかご機嫌斜めな日が増えてくると反抗期のサインかもしれません。しかし、元々口数が少ない子は反抗期なのか親が分かっていない場合も多く、あからさまな態度で示さないために子どもの悩みや問題に気づきにくいという面があります。
「動」の反抗:言葉や態度が攻撃的になる
多くの方がイメージする反抗期といえばドラマなどに登場する暴言を吐いたりものを壊して反抗的な態度をとる子ども達。
「ウザイ!」「うるさい!」など強い口調で親に反抗したり、ものを投げたり、物の扱いが乱暴になったり荒っぽい行動が目立ってきます。怒りの原因が親でない場合でも、感情をぶつける相手(精神的に甘えられる存在)が親になるので親からしたら理不尽な気分になることも。
第二次反抗期は、親だけでなく、教師や周囲の大人に対しても反抗的な態度みせたり仲間と群れて一緒に反抗することも。集団でのトラブルなどもでてくることがあり、親を悩ますこともあるでしょう。
第二次反抗期での親の対処法
いよいよわが子も第二次反抗期に突入!そんな時には親はどういった態度で子どもに接するのがよいのでしょうか。一番大切なことは反抗期は成長の証であるということを肝に銘じてドンと構えておくことです。
そのうえで子どもの目線で寄り添い、丁寧に対応してあげましょう。
感情的に怒鳴らない
子どもがイライラしていて親に対して暴言を吐いたり八つ当たりしてくると、親も人間ですから思わずイラっとしてしまいますよね。しかし、子どもと同じレベルで怒鳴り返したり怒っていては逆効果。
親はグッと我慢。可愛く素直だったころの子どもの様子を思い出して、今は子ども自身も葛藤しているんだ。成長中なんだということを思いながら冷静に対応しましょう。子どもが落ち着いた時に話を聞いてあげるのがよいですね。
大好きで大切に思っていることを伝える
子ども達は思わず感情的になり「大嫌い!」「ウザイ!」など時に悲しくなる言葉を投げかけてくるかもしれません。ただ、それは本心ではなくどうしようもない気持ちのモヤモヤや苛立ちから発言してしまうことがあるのです。
そんな時でも親は大好きな気持ちを伝えつづけてあげてください。「○○は嫌いでもママは大好きだから」とあっさり言い返せばよいのです。ありのままの子どもが大好きで大切だと伝え続けることが大切です。
子どもの世界を安易に批判しない
第二次反抗期が始まる頃は、子どもは子ども同士のつながりを強め、独自の世界を作り出しそこで人間関係や社会性を学んでいきます。反抗期が始まると友達の影響かな?などと心配になり、親が交友関係に口を出したり制限させてしまうこともありますがそれはやめた方がよいでしょう。
子どもは大事な友達やコミュニティーを批判されると、自分自身の存在を否定された気分にもなります。あまりにも悪いことがあるならば切り離すことも必要ですが、そうでない場合にはそっと様子を見守り、時には保護者同士で連携しながらサポートしていくといいですね。
してはいけないことはきちんと伝える
反抗期はグッと我慢。様子を見守ろうと伝えましたが、危険なことをしたり、誰かを傷つけることをしてしまった時にはきちんと叱ることも必要です。
頭ごなしに怒るのではなく、なぜそんなことをしてしまったのか。それがなぜいけないことなのかを子どもに考えさせてあげましょう。いけないこととはわかっていてもつい手がでてしまった、暴言をはいてしまったという時には、イライラした時の落ち着く方法なども一緒に考えてあげるとよいでしょう。
適度な距離感でコミュニケーションをとろう
毎日子どもの反抗に付き合うのは親だって大変です。その都度真に受けるのではなく、さらっと流すこともしてOK。イライラしている時には話しかけず、子どもの機嫌がよさそうな時を見計らって会話をするなど適度な距離感でコミュニケーションを図ってみましょう。
親だけでは抱えきれない場合もありますよね。そんな時は一人で悩まず、スクールカウンセラーや学校の先生に相談したり、仲の良い友達に話を聞いてもらうなど第三者を頼ってくださいね。
反抗期に負けない!親はドーンと構えよう
反抗期は特別なものではありません。最近は反抗期がないまま大人になる子もいますが、反抗期は成長過程おいて必要な期間でもあります。悩んだ時には是非自分の子ども時代を思い返してみてくださいね。皆さん反抗期を終え立派な母親父親になっているでしょう。
親はドーンと構えて子どものモヤモヤとした心の葛藤を見守り、支えてあげることが大切です。いつか子どもと「あの時は大変だったわよ」と笑いながら話せる日が必ずやってきますから大丈夫!
【参考文献】
・反抗期「小学生から」6割 | アンケート | 西日本新聞 10分トレーニング (nishinippon.co.jp)
・「反抗期子育て乗り切りマニュアル」主婦の友社
・「完全カラー図解 よくわかる 発達心理学」監修者 渡辺弥生 ナツメ社