長崎県南島原市の原城跡は、世界遺産登録を目指す「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつ。1637年(寛永14年)に島原半島南部と天草地方のキリシタンが起こした「島原・天草一揆」の主戦場となった城跡です。
現在は、石垣などの一部の遺構が残るのみですが、足元を見ていると、この土中深くに封印された当時の人たちの息吹きが感じられるような不思議な気配がします。
「島原・天草一揆」とは、飢饉や重税、キリスト教の弾圧に耐えかねた有馬や天草の領民たちが蜂起した戦いです。その一揆を指導したと伝えられているのが、天草四郎。なんと一揆勃発時は16歳程度の少年で、十字架を掲げて戦闘を指揮したそうです。
この地に立てこもり、壮絶な戦いを繰り広げた領民たち。幕府は原城を総攻撃して徹底的に破壊し、虐殺された一揆軍の遺体は廃墟となった原城の敷地内にまとめて埋められたと伝えられています。この地に立つ、目を閉じて祈りを捧げているような天草四郎像が印象的でした。
一体、南島原の地で何が起きたのか。キリシタンの歴史とは―。そんな疑問に答えてくれる「有馬キリシタン遺産記念館」も訪れました。
ここには、南島原におけるキリスト教の伝来から繁栄、そして、島原・天草一揆に至るまでの歴史が分かりやすく展示されていました。
十字架や龍の飾り瓦といったと発掘調査の出土品をはじめ、島原・天草一揆の蜂起と終焉までのシーン模型が展示されるなど、歴史が体感できる見どころ十分の内容でした。
長崎県南島原市といえば、市が運営するFacebook上のページ「撮ってくれんね!南島原コンテスト」を見て、いつか行ってみたいと思っていましたが、風光明媚な自然風景だけでなく、歴史的にも文化的にも奥が深い魅力的な地域ということを感じました。 最近は、南島原市の観光ショートフィルム「夢」もできたようです。南島原出身でなくとも、どこか懐かしく、切なく、温かい気持ちになる8分間のショートムービー。どの風景を切り取っても絵になる南島原にすっかり魅了されてしまいました。 みなさんもぜひ南島原市を訪れ、その魅力と歴史の奥深さ肌で感じてみてください。