「悪気はない」とは何とも便利な言葉ですよね。無意識のうちに言ってしまうこともあるかもしれません。ただ悪気がなければ何を言っても許されるわけはなく、相手はしっかりと傷つくこともあります。これは義母の口癖に、夫婦でうんざりした話です。
孫が生きがいの義母
昨年産まれた娘は、義母にとって初孫。成長をとても楽しみにしてくれています。義母の家に行く頻度は、月1回の日帰り程度。あまり多いとはいえないので、なるべく頻繁に写真や動画を私 → 夫 → 義母の流れで送るようにしていました。
今は情報過多社会。義母は孫になかなか会えない代わりに、インターネットで子育てに関する記事を読んでは想像を膨らませているらしく、夫に電話で
「もう、○○できる頃よね?」
「△△は? まだできないの?」と聞いてくるようです。
義母の口癖は「悪気はない」
娘の成長は少し遅め。「首すわり」や「お座り」は平均といわれる月齢にできるようになったのですが、「寝返り」や「ハイハイ」はなかなかできませんでした。
私自身も気になっていたのですが「足腰は強いし、きっと大丈夫!」と、あえて心配しないようにしていました。
しかし義母は勝気でわが道をいくタイプの性格。加えて心配性のため
「散歩は毎日しなければダメ」
「ちゃんと野菜も果物も食べさせて」
「うちの子(夫)は早かったわよ!」などと会う度に念を押されてしまいます。
そして私が驚いていると、決まって
「悪気があって言っているわけじゃないのよ!」と言うのです。
私の育児が信用されていないのかな、と感じてしまうことも何度もありました。娘の成長が遅いのも、私のせいだと思われているのかもしれません。本当は誰のせいでもないはずなのに。
そこまで言わなくても… 温和な夫がついに激怒!
一番ひどかったのは、娘が生後7カ月になった頃でした。平均的にはハイハイができるようになる頃です。夫に
「ハイハイはまだ? 練習しているの?」
「Aさん家の子はもうできるわよ」といった電話があり、最初は夫も
「まだだよ、もう少しじゃないかな」と冷静に返していました。
しかし何度も何度も同じことを聞かれ、最終的には電話口から
「甘やかしてるからできないんじゃないの?」と言う義母の声が聞こえました。すると、ついに夫が…
「いい加減にして! 甘やかしているつもりはないし、娘には娘のペースがあるんだから。他の子と比べないでよ!」今まであまり聞いたことのない強い口調で言ったのです。私は驚きつつも、反論してくれたことを嬉しく思いました。
親である私や夫も、できないことがあると心配になってしまい、インターネットで検索して調べてしまいます。しかし親の不安は子どもに伝わり、プレッシャーになってしまう気がするので「子育ては見守るもの」と考えるようにしていました。
娘が元気でたくさん笑ってくれているならOK。「まだ娘はやりたくない時期なんだな」と思っています。
義母が変わる日はくるのか?!
夫の言葉は、少しは義母に響いたのかもしれません。
強く言われた直後は口を出す回数が減りましたが、また1カ月も経たないうちに口を出すようになりました。
「悪気はないのよ」と相変わらず孫の成長に口を出す義母。夫も自分の母親の性格は熟知しているし、何よりも初孫の成長に対する期待から来る行動とわかっているので、今では私に愚痴を言っては2人で苦笑いをしています。
もうすぐ1歳になる娘は、少しずつできることも増え、ゆっくりではありますが健やかに成長しています。とはいえ、まだまだ親になって間もない未熟な私の心は、その「悪気はない」言葉によって不安に駆られてしまうので、どうか義母には静かに見守ってほしいと願うばかりです。
(ファンファン福岡公式ライター / おーさと)