『親ばか』ならぬ『伯父ばか、伯母ばか』。友人がそのような状態になっている様子を見たことはあったのですが、自分には縁のない話だと思っていました。しかし実際に伯母になってみると、甥は素晴らしく可愛い存在でした。
里帰り出産での癒し
私が里帰り出産のために帰省していた時のことです。甥は弟夫婦の子どもで私の実家で両親と同居していますが、長く一緒に過ごすのは初めてでした。甥は当時生後10カ月。
大きくなった私のお腹を何度も触りながらニコニコ笑う様子を見て、出産に対する不安も大きかった中でもわが子の誕生が待ち遠しく感じられたことを覚えています。
娘を出産して実家に戻ると、甥は笑顔で赤ちゃんを迎えてくれました。
甥の成長が励みに
初めての子育ては、睡眠不足との戦いでした。夜間の授乳や、昼も夜も布団に置くと泣いてしまうため、ずーーっと抱っこ。たまに布団で眠ってくれた時に甥と顔を合わせていました。
甥は1歳に満たないながらも赤ちゃんに興味津々。まだ力加減はわからないので、娘が新生児のうちはなるべく触れ合いを避けていました。私が娘に付きっきりだった間にも甥はできることが増え、ハグやハイタッチ、バイバイやいい子いい子(相手の頭を撫でる)を私にもやってくれるようになり、『なんて可愛い生き物なんだ!』と思うようになったのはこの頃からです。
無邪気な行動に癒されると同時に、娘にもこんなことができるようになるんだ! と思うと頑張ることができました。
甥の素敵男子ぶりに感動!!
娘が生後3カ月になって首が座り始めた頃、娘と甥が同じ部屋で過ごす時間が少しずつ増えていきました。寝顔を見てニコニコしたり、おもちゃで一緒に遊ぼうとしたり、隣に寝転がってみたり。でも触る時は指一本だったり(笑)
友達目線のような、兄目線のような、それでいて『赤ちゃん』という特別な存在とも感じているような、そんな雰囲気でした。
そんなある日、甥が散歩から戻って私にハグやハイタッチをしにきてくれました。いつもならそこで自分のママのところに戻っていくのですが、その日は娘に駆け寄って行ったのです。すると甥はハグ→ ハイタッチ→ いい子いい子と、一つずつ優しく丁寧に娘にしてくれました。娘はまだよくわからずにキョトン顔。
でも私は涙が出るほど感動してしまい、甥に
「ありがとう!」と何度も伝えましたが、甥は意味もわからずニコニコと笑うばかり。
つい先日まで娘に触れる時は指一本だったのに…! いつの間にか自分よりも小さい赤ちゃんも一人の人間として見てくれている姿に心が温まり、とても癒されました。それと同時に、伯母として誇らしい気持ちも芽生えていたのです。
自分のお腹を痛めて産まれたわが子は、私にとっては言葉にできないほど尊くて特別な存在です。間違いなく誰よりも可愛いと思えます。しかし不思議な話で、私にとって甥は存在自体が可愛いと思えるのです。娘のものを買いに行くとつい甥の顔が浮かんで何か買ってあげたくなったり、新しい写真や動画がほしくなったりします。
一緒に過ごした思い出がそうさせるのか、一番は娘に甥のように素敵に育ってほしい!いとこ同士良い関係を築いてほしい! という願いから来ているのかもしれません。里帰りを終えた今ではなかなか気軽に会えなくなってしまい、娘も甥も当時のことは忘れてしまいますが、私の記憶にはしっかり焼き付けておきたいと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/おーさと)