義父は、初孫ができたことを知ったとたん、スイッチが入ったように失言ばかり言って頭を悩ます存在に。そんな義父の失言の数々を一刀両断し、私を救ってくれたのは義母でした。まだ新米ママだった私が、義父の失礼な発言の数々をかわせるようになるまでのお話です。
妊娠報告は「おめでとう」より「性別は?」が先でした
義父は普段、困った人を放っておけない優しい人ですが自己主張が強く、頑固な“昭和の男性”というイメージの人です。安定期も近くなってきたある日のこと。
「妊娠しました」と報告すると、義母は少し驚きつつも優しい笑顔で
「おめでとう! よかったね」と喜んでくれました。
義父も笑顔だったので「喜んでもらえた」と思いきや、最初に出た言葉は
「性別はわかってるのか? 男か?」でした。男の子であってほしいとの願いからか、なんとも真面目な声のトーンで聞いてきたのです。
家業があるので、跡継ぎが必要なのは重々承知して嫁いだ私ですが、お祝いの言葉が無かった事に少し驚きました。ちなみに
「おめでとう」と言ってもらえたのは妊娠8カ月目。やっと分かった性別が“男の子”だったことを伝えたときでした。
退院直後に「次は女だぞ」
初産だったので時間がかかり、私はボロボロになりながらも無事に長男を出産しました。退院後、私には実母がいないので義実家でお世話になることに。
退院当日。義実家に帰るとそこには上機嫌な義父がいました。
「お世話になります」と言うと
「ご苦労さん。次は女だ! すぐに産むんだぞ。子どもは何人いてもいいんだ!」と純粋な笑顔で言うではありませんか。
「初めての出産で体力が戻らないまま退院してきて、もう次の子どもの話? 体もしんどいのに。でも嬉しそうだから喜んでくれてはいるのかな…」もやもやした感情のまま、何か言い返したいけど時が止まったように言葉が出なくなってしまいました。すると黙って聞いていた義母が口を開きました。
「お父さん! いい加減にして。子ども産むのは命がけなのよ。男も女も関係ないの。それを言っていいのは本人だけ! 育児してこなかったくせに何偉そうなこと言ってるの。さぁ、あっち行こう! 疲れたよね、お菓子食べよう」
3人を育てあげた義母の言葉には重みがありました。私の気持ちを代弁してくれた義母にお礼を言うと、私に対して
「悪かったね。あの人適当なことばっか言うから。育児してないから苦労を知らないの!」と謝ってくれました。
義父は好き勝手ばかり言うので私はもうお手上げ状態。でも義母がいるから「大丈夫。この人が義母でよかった。たくさん親孝行したい!」と、心から思った瞬間でした。
身についたスルースキル
義父の失言は現在も続いています。義父は覚えていないであろう言葉の数々は、しっかりと私の心に残っています。例えば…
産後の抜け毛がひどく、悩む私に
「長男は髪が薄いな! ママがハゲているから似たんだ」
長男が泣き出すと
「お腹空いたな。おっぱい製造機の所へいってきな!」
出産後、体重が減らない私に
「まだ腹がでてるな、もう一人いるのか?」
思い出すときりがない失言の多さですが、それ以外は本当に優しくて頼りになる良いおじいちゃん。
2人目の性別が“女の子”と分かったときはとても嬉しかったのでしょう、上機嫌で晩酌を楽しむ義父でした。性別に関しては満足したようで、2人目出産以降は
「もっと子どもを産んだほうがいい!」とよく言うようになりました。
現在は4人の子宝に恵まれて賑やかな毎日を過ごしていますが、子ども達もおじいちゃんっ子なので、義父との衝突は避けたいのが本音です。
話を真面目に聞くと私の心が疲れてしまうことに気付いてからは、必要ない言葉は無視するようになりました。あからさまに無視してしまうと角が立つので、すっと立ち上がりその場からいなくなるという方法をとっています。
やっと身に着けたスルースキルで失言をかわせるようになり、私は心の平和を保てるようになったのです。
(ファンファン福岡公式ライター / niko)