待望の娘が生まれ、出生届を提出しに市役所へ向かった夫。帰宅後、提出した書類の控えを確認すると、なんと娘の漢字が間違っているではありませんか! 訂正のため慌てて市役所へ戻った夫でしたが、そう簡単にはいかなかったのです…。
出生届の漢字を間違えたことに気づく
娘が生まれたのは8月上旬の猛暑日。
沖縄に住む私たちにとって、この暑さの中で赤ちゃんを連れて移動するのは、車でも不安がありました。そこで、出生届を含む諸々の手続きを夫に頼み、私と娘は自宅で留守番することに。
自宅から市役所までは車で10分ほどと近く、そんなに混んでいなかったこともあり1時間ほどで夫が帰ってきました。
「大丈夫だと思うけど、一応提出した書類の控え確認して」そう言って夫が差し出してきた書類を確認すると… なんと娘の漢字が一文字違っていたのです。
娘の漢字には琉球の「琉」が使われており、沖縄がだいすきな夫が、子どもができる前からつけたいと言っていた漢字でした。それが今回、出生届では「流」になっていたのです。
自分でつけたいと言った漢字を間違える…? 状況が理解できず呆気にとられた私はポツリと一言。
「漢字が違う…」
私の一言に夫は真っ青になりながら、とりあえず二人で書類を見直してみました。しかし何度見ても、やはり娘の漢字が一文字違うのです。
記入前に何度も漢字を練習していたのに、いざ本番になると緊張して間違えてしまったのかもしれない… と夫。普段はとてもしっかりしているのに、漢字だけにめっぽう弱い夫になんだか笑えてきて、怒る気力もなくなりました。
とにもかくにも、すぐさま訂正が必要と判断し、夫にもう一度市役所へ戻ってもらうことに。
まさかの訂正不可
出生届を提出してから1時間ほどしか経っていなかったので、その場で訂正してもらえるだろうと特に心配もせず待っていた私。しかし、その安心は夫からの電話で一気に不安へと変わるのです。
「訂正できなかった… 市役所では無理だから、裁判所に行くようにって」。夫からの予想外な電話に、一瞬で頭が真っ白になったのを覚えています。夫の声も元気がなく、とても落ち込んでいるのが伝わってきました。
市役所いわく、一度受理した出生届は市役所で訂正ができないため、家庭裁判所へ行き改名届けを出す流れになるとのことです。提出からまだ1時間くらいしかたっていないのに? と納得がいかず市民課へ電話をかけたのですが、裁判所へ行ってくださいの一点張り。
モヤモヤした気持ちもありましたが、そもそもは私たちのミスなので、指示どおり裁判所へ行くこととなったのでした。
無事に訂正はできたものの…
家庭裁判所には2回ほど足を運び、あとは封書でのやり取りとなりました。
申立書に、名前を変更したい理由や今の名前だと不都合があるのかなど、裁判官が納得できるような理由を詳しく書いて提出します。その後、裁判官側から質問があれば封書で届き、記入して返信という形で手続きが行われました。
そして「改名を認める」という手紙が届いたのは、裁判所へ行ってから1カ月半ほどたった日のことです。
無事に訂正ができホッとしたのですが、戸籍謄本には改名履歴として、名を変更した日と変更前の名前が記載されることとなってしまいました。
戸籍謄本を見るたび落ち込む夫ですが、娘が大きくなった時に
「こんなことがあったんだよ〜」と笑い話にできるような信頼関係を、子どもと築いていけたらいいなと思っています。
(ファンファン福岡公式ライター/きゆな なみ)