福岡の書店員さんに、福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。第34回は、紀伊國屋書店天神イムズ店の花岡美穂さんを訪ねました。併せて、今話題の9冊を紹介します。
さまざまな分野で活躍する著名人6人による福岡を舞台にした小説集
「ぴりから 私の福岡物語」 堀江貴文、田中里奈、鈴木おさむ、坪田信貴、小林麻耶、佐々木圭一著
―こんにちは! 今回花岡さんが手にしているのはどんな本ですか。
「ぴりから 私の福岡物語」(幻冬舎、2018年11月発行、1,430円税込み)です。さまざまな分野で活躍する著名人が福岡を舞台に書き下ろした短編小説集で、著者は堀江貴文さん、田中里奈さん、鈴木おさむさん、坪田信貴さん、小林麻耶さん、佐々木圭一さんの6人。6作はそれぞれつながっていて、ある作品の脇役が別の作品の主人公で登場するといった仕掛けもあります。
―この本との出合いは。
図書館で見つけてパラパラとページをめくるとなじみのある地名が多く、また小説を書くイメージの無い人の作品がほとんどだったため興味を持ちました。
― 6作の中で好きな物語は。
1つは第2話「とこやさんの魔法」です。著者はファッションモデルの田中里奈さん。モデルとは違う田中さんの新たな一面を見ることができる作品。福岡で美容師として働く妹と東京の出版社に勤める姉との絆を感じ、心温まる物語です。
2つ目は福岡のデザイン事務所を舞台にした第6話「伝え方が1割の男」。著者の佐々木圭一さんは著作にビジネス書「伝え方が9割」もあるコピーライター。恋愛の話なのですが、数カ所に「伝え方のレシピ」というコミュニケーションの仕方の解説が入ります。それが話を邪魔していなくて、物語を読みながら勉強にもなるんです。
― 著者の個性が出ますね。ほかの4作も気になります。
どの作品も面白くて、全体的にさらっと読めました。一冊を通して方言の使い方がわざとらしくなく好感が持てます。実在の地名もたくさん出てくるので、故郷の福岡を離れて暮らす人などが読んでも楽しめるのではないでしょうか。巻末には福岡の神社やグルメスポットの紹介もあって盛りだくさんです。
― イムズは8月末で閉館しますね。
イムズは華やかで素敵な店舗が多く、その中に4年ほど出店していました。閉館は寂しいですが、チームワーク抜群のイムズ店で働くことができて幸せでした。8月末の閉店まで「スタッフお薦め本フェア」をしているのでこの機会にぜひ!
― 閉店を名残惜しく思います。ありがとうございました!
続いて話題の9冊を紹介します。
「英語の読み方」【中央公論新社】
北村一真/著 902円(税込み)
「英文って、こう読めばいいんだ!」。特殊な言い回し、強調・省略の表現、見出し言語、Whole Part法など…目からウロコの読み解き術を一挙公開。英語学習者の口コミで話題沸騰! “自力で英語を読みこなす”ためのレッスンに。
「能面検事の奮迅」【光文社】
中山七里/著 1,760円(税込み)
“どんでん返しの帝王” 中山七里が描く、一気読み必至の検察ミステリー。9万部超の絶好調シリーズ第2弾! 大阪地検一級検事・不破俊太郎。“忖度(そんたく)しない! 空気を読まない!”完全無欠の司法マシン、再臨。国有地不当払い下げ、公文書改竄(かいざん)、贈収賄疑惑…現実の事件を彷彿(ほうふつ)させる物語に、能面検事・不破の鋭いメスがさえわたります!
肩こり・不眠・美顔に効く!1分「耳ストレッチ」【青春出版社】
市野さおり/著 1,100円(税込み)
マスク生活が続く中、耳の痛み、頭痛や肩こりといった「マスク不調」が増えているといいます。解決のヒントは実は「耳」! 耳は頭や首周りまわりの筋肉と近く、全身のツボが集中している場所なので、耳を刺激することで全身の不調を改善に向かわせることができる、と本書。どこでも手軽にできる「耳ストレッチ」で、健康的な毎日を過ごしませんか?
「“がんばり筋”をほぐせばおなかも脚も細くなる!」【学研】
miey/著 1,320円(税込み)
SNSで大人気! miey(ミー)初の著書。女性らしいしなやかな体づくりのポイントは、筋肉のバランスを整えること。ムキムキの原因になる“がんばり筋”をほぐし、普段はさぼっている“なまけ筋”を目覚めさせれば、おなかや脚がきれいに引き締まる!と本書。引き締まったしなやかボディーになりたい人必見!
「変貌する未来 世界企業14社の次期戦略」【講談社】
クーリエ・ジャポン/編 990円(税込み)
「これが世界の潮流、次代の世界標準だ!」。GAFAM、スタートアップ、レガシー…、世界を動かす企業がいま考えていること、そして描いている未来とは? 海外メディアだから書けた、「今日の社会」を変えていく14社の素顔。話題作「新しい世界」に続く第2弾!
「ワラグル」【小学館】
浜口倫太郎/著 1,980円(税込み)
漫才日本一を決めるKOM(キング・オブ・漫才)の敗者復活戦でも敗れてコンビを解散した加瀬凛太。先輩KOM王者から「死神」の異名を取る謎の作家・ラリーがコーチに付けばKOM優勝も可能だと紹介され、ラリーの元を訪れます。しかし、来年決勝に残れなければ芸人を辞めろと告げられてしまいます。笑いと涙と戦慄(せんりつ)の起死回生ストーリー!
「加害者よ、死者のために真実を語れ 名古屋・漫画喫茶女性従業員はなぜ死んだのか」【潮出版社】
藤井誠二/著 1,045円(税込み)
平成25年、愛知県の山中で漫画喫茶女性従業員の遺体が発見されます。元経営者夫婦が傷害致死容疑で逮捕されますが、夫婦は黙秘に転じ「死因不明」で不起訴になります。真実を求める被害者遺族らの苦悩と、加害者の「黙り得」の現実とは。加害者親族の手記や黙秘権をめぐる弁護士との対話を新たに収録し、文庫化。
「犬棒日記」【双葉社】
乃南アサ/著 693円(税込み)
犬も歩けば棒にあたる―。その故事のごとく、一歩外に出てみれば、そこで出合うのは災難でしょうか幸運でしょうか? 巧みな人物造形と心理描写で多くの共感を呼んでいる著者による、日記形式の人間観察記。直木賞作家の目に、その人は、あの出来事は、どう映るのでしょうか。あなたの身近の風景も、著者の手にかかれば、一瞬にして物語になります!(双葉文庫)
「今さら聞けない 農業・農村用語事典」【農文協】
農文協/編 1,760円(税込み)
「月刊現代農業」と「季刊地域」で使われてきた384の用語を収録。ダイジェスト版としても読めます。独特な農家の技術用語から農業全般の基礎用語まで。地域資源の活用や自然エネルギー、地域循環型経済にかかわる農業・農村のリアルな現状がよく分かる実践的な事典。地域に暮らすことに誇りが持て、元気が湧いてきます。
いかがでしたか。暑さで疲れぎみの人も、本を開いてひと息ついてみてください。次回もお楽しみに!