娘が小学校2年生の時の保護者会委員決め。私は出産間近の大きなお腹を抱え学校へと向かいました。進行役は前年度委員をしたKさん。KさんはPTAの執行部や町内会の役員なども精力的にこなす有名人。しかしここから驚くべき展開が待ち受けていたのです。
事情聴取のような雰囲気に空気も一変
10余名が出席した委員決め。Kさんが厳しい表情で
「この中で委員をやれる方、おられますか?」と出席者を見渡します。誰も手を挙げないため、Kさんは威圧的に
「じゃあ、ここにおられるみなさんは何か事情があってできないということですね? 一応、その事情を伺いましょうか?」とメモを取り始めました。
Kさんに促され、一番端に座っていた人が
「私は仕事をしているので…」と切り出した途端、
「仕事は理由にならないでしょ? 今は仕事されている方が殆どなんだから」ときっぱり。教室内は一気に張り詰めた空気に変わります。
しかし出席者の理由のほとんどが「仕事をしているから」だったので、Kさんは時折ため息をつきながら不機嫌そうにメモを取り続けていました。
いよいよ私の番。少し緊張しながらも一応控えめな感じで、
「今臨月で、ちょっと今年は厳しいかなと思っています」と言うと、
「分かりました」と意外にもあっさりとした返事。ホッとした瞬間、
「じゃあ来年からはできるってことですね!」と高圧的に言われ、思わず
「はぁ…」と頷くしかなかった私でした。
まさかの展開! 委任状をシャッフル!?
全員の事情を聞き終わると、Kさんは半ば呆れたような表情で
「どうですか? この中でやっぱり委員やりますって方いませんか?」と改めて確認。しかし誰も手を挙げないため、Kさんは横の机に置かれている委任状の束に手を伸ばし、
「ここにいるみなさんは都合が悪いとのことなので、この中から決めましょう」と言い出したのです。
Kさんは
「委任したんだから文句はないでしょう」と言いながら、委任状の束をシャッフル。名前が見えないよう裏側を上に向けて机に並べ、その中から委員人数分の3枚の用紙をランダムに取り上げました。その3枚の名前を読み上げると、
「以上の3名の方に今年度の委員をやって頂きます」と発表。あまりにも強引すぎる決め方ではないかと感じたものの、為す術もなく時間だけが過ぎていきました。
今でも悔やまれる委員決め
「この3名の方が何らかの事情で委員ができないという場合は、ご自身で代わりの方を探してもらうようにします。そのときはみなさんご協力よろしくお願いしますね」と締めくくり委員決めは終了。出席者の面々に笑顔はなく、みんな無言で帰って行きました。
結局クラス委員はその3名の方に決定したのですが、モヤモヤとしたものが心に残った委員決めとなってしまいました。進行役も委員を決める責務を負わされて大変ではあるものの、やはり「その決め方はフェアじゃない」と勇気を持って言うべきだったと思います。あのときは委員にしてもその決め方にしても、自分に振られるのだけは避けたいと思い、とにかく逃れることだけを考えていました。
1時間程度の委員決めでしたが、今でも悔いの残る忘れられない出来事として心の中に刻み込まれています。
トラブルも多い保護者会の委員決め。最近では共働き世帯が当たり前になっていることから、1年の行事を振り分けて全員が関わるような方法を取っている学校もあると聞きました。縁あって同じクラスになった保護者同士、楽しく学校行事に関われる方法に変えていってほしいと願っています。
(ファンファン福岡公式ライター/Natsuki)