福岡県久留米市の久留米シティプラザ全体を展示場に見立て、アーティストと市民が作り上げた写真を展示するプロジェクト「プラザあちこち写真館」(主催:久留米シティプラザ)。第1弾のアーティストは映画「浅田家!」のモデルとしても知られる写真家の浅田政志さん。2025年3月に開催する写真展「わたしとくるめ」に向けて、8月上旬から撮影がスタートしました。連日の猛暑の中、暑さに負けず笑顔いっぱいの撮影現場をリポートします!
「かっぱ」をテーマにJR田主丸駅で撮影
二宮和也さん主演で話題の映画「浅田家!」(2020年)でも描かれているように、浅田さんの作品はテーマやポーズ、衣装、場所などを事前に細かく決めてから撮る「演出写真」というのが特徴です。このスタイルで浅田さんが久留米をテーマに撮影し、市民参加型の写真展を開催するのが今回の企画内容。春から準備に取りかかり、久留米にまつわる10の題材<ラーメン、エツ、久留米のお酒、上履き、そろばん、病院、久留米絣、鬼夜、かっぱ、自転車>のエピソードを一般から事前に募集して撮影内容を決定。写真に登場するエキストラ募集にも多くの参加表明がありました。
8月8~11日に6つの題材を撮影するスケジュールで、この日は「かっぱ」。エピソード投稿者とエキストラ2組を含む6人が参加し、かっぱのデザインがユニークなJR田主丸駅(同市田主丸町)で撮影が行われました。
かっぱ姿の浅田さんとくるっぱが楽しく共演!
今回、採用されたのは同市田主丸町に住む古賀仁美さん(52)のエピソード。「学生時代、かっぱの駅があるとテレビで知っていましたが、まさか田主丸に嫁ぐとは思ってもいませんでした。30年経ち、高校生になった娘をかっぱ駅に送り届けていると、娘もいつかこの駅から遠くに嫁いでいくのかな…という思いがわいてきます」と古賀さんは話します。
「エピソードは個人的であればあるほどいい」と語っていた浅田さん。古賀さんとの事前打ち合わせでエピソードをさらに掘り下げ、どのような演出にするか決めていったそうです。
撮影には、久留米市のゆるキャラ「くるっぱ」も参加。エピソードに合わせて、この日のためにタキシードを新調し、着用しています。浅田さんは、かっぱの衣装を装着して被写体として参加。よく見ると腰には久留米絣(かすり)が巻かれ、足元には上履きが…10の題材を盛り込んでいるらしく、残り8つは写真展で確認してください♪
過酷な暑さでしたが、現場は和気あいあい。浅田さんは三脚を立て丁寧に確認しながら、出演者の立ち位置やポーズ、小道具などを臨機応変に指示し、連続シャッターを切っていきました。最後には、思わず笑ってしまう飛び切りの一枚が完成!
古賀さんの長女、高校1年生の美陽さんは、「1枚の写真を撮るのにたくさんの人が関わっていることが知れて、貴重な体験ができました。浅田さんは優しくて気さくな方でした。いい夏の思い出になりました!」と笑顔。最後はかっぱ駅を背景に記念写真も♪
エキストラとして5歳と8歳の男の子と一緒に参加した同市の春口夏美さんは、「浅田さんの写真集が楽しくて好きなので、片隅にでも写れたらと思って参加しました。子どもも楽しんでいたので参加して本当に良かったです!」と話しました。
ここまでに「鬼夜」「上履き」「かっぱ」の撮影を終えた浅田さん。残り7題材の撮影に向けて、「久留米絣やお酒は、大人数が参加する大がかりな撮影になる予定です。ラーメンは眼鏡が曇るだろうし、どの撮影も一筋縄ではいかないと思いますが、最後まで頑張ります」と意気込みます。来年3月の展示に向けて、久留米市での撮影は続きます。「久留米絣編」もお楽しみに♪