初ボーナスで母に財布を贈りました。母はプレゼントをもらっても「気を遣わなくて良いのに」と遠慮するタイプですが、きっと喜んでくれると思っていたのです。渡してみると母は涙を流しました。その後、涙の理由を聞いた私まで泣いてしまうことになったのです。
遠慮しがちな母
私の母は遠慮しがちな性格で、
「子どもの頃から遠慮してばかりだった」と祖母が言っていました。外食では好物ではなく安い料理を選び、みんなでケーキを選ぶときには
「余ったもので良いよ」と言っていたそうです。
小学生の頃、母に誕生日や母の日のプレゼントを渡していましたが…
「嬉しいけど、お小遣いは自分たちのために使って良いよ」と申し訳なさそうな顔をされました。毎回そんな顔をされるので兄と話し合い、私が中学生になる頃にはプレゼントをやめてしまったのです。
初ボーナスで財布をプレゼント
母へのプレゼントをやめたことはずっと心に引っかかっており、社会人になって初めてボーナスをもらったとき、母に贈り物をしたいと考えました。何を贈るか悩んでいると、前回帰省したときに、とあるブランドの財布が紹介されたネット記事を母に見せられたことを思い出したのです。
普段ブランドものに興味を持たない母が
「この財布知ってる? 可愛くない?」とはしゃいでいたので、驚いた記憶があります。せっかくなら母が喜ぶものを選びたかったので、少々値が張りますが財布を贈ることに決めました。
母につられて…
その財布は人気のようで入荷待ちになっていましたが、なんとかお盆前にゲット。直接渡そうと思い、財布を持ってドキドキしながら帰省しました。当時、実家には母と兄夫婦が住んでいたのですが… みんなの前で渡すのは気恥ずかしかったので、母が自分の部屋で1人のときに渡すことに。
「ボーナス出たから、プレゼント」と紙袋を渡すと、
「え! ありがとう! でも自分のために使って良かったのに」と想像通りの遠慮した反応でした。私に促されてラッピング袋から財布の箱を取り出した母は、箱に印字されたブランドロゴを見て
「え? これ、あの財布?」と驚いた後、涙を流したのです。
遠慮しつつ喜んでくれると思っていた私は、まさかの反応に困惑。すると、母は
「母子家庭で贅沢させてあげられなかったから、お小遣いや給料は自分のために使ってほしかったの」と話し始めました。母の気持ちを聞いて、プレゼントをあげないほうが良かったのかなと思っていると 「でも、こんな風に優しい子に育ってくれて、すごく嬉しい」と言われたのです。
その言葉を聞いて、私まで泣いてしまいました。母も私もグスグス泣いていると、兄が部屋に入ってきて「え?! 何ごと?」と騒ぎ、兄の奥さんまでやって来ることに。事情を知った兄の奥さんは、
「前から思ってたけど、おかあさんは遠慮しすぎ! これからはもっとプレゼントするからね!」と宣言していました。
嬉しそうに財布を使う母
母にプレゼントして良いのか迷う気持ちがありましたが、財布をプレゼントしたことで遠慮していても喜んでいることが分かりました。母がとても嬉しそうに財布を使ったり手入れしたりする様子を見ると、プレゼントして良かったと感じます。
今でも
「気を遣わなくても良いのに…」と母の遠慮しがちなところは変わりません。ですが、兄の奥さんに倣って私もどんどんプレゼントを贈ることにしています。
(ファンファン福岡公式ライター/水素)