絵本は子どもの心と脳を育む素敵なツールです。ご家庭でも寝る前の親子のコミュニケーションとして読み聞かせを行っているという人も多いでしょう。しかし、子どもに絵本の読み聞かせをしたいけど、本の選び方や読み方がよくわからないという親もいるのではないでしょうか。
絵本の読み聞かせはちょっとしたコツをつかむと子ども達の入り込み方も変わっていきます。今回は保育士ママライターが読み聞かせのコツや、本の選び方のポイントをお教えします。
絵本から身につく子どもの力
保育現場でも毎日のように行われている絵本の読み聞かせ。読み聞かせは時間潰しで読んでいるわけではなく、きちんと目的や保育方針に合わせて行われています。
絵本は子どもの発達においてとても有効なツールです。どんな魅力があるのか・絵本にはどんな力があるのか知っておくことも大切ですよ。
想像力をみにつける
子ども達は絵本を通して想像力を身につけ、自分が今まで経験したことがないことでも目からの情報や耳からの情報で世界観を楽しむことができるようになります。
知的好奇心を刺激する
「なぜ?」「どうして?」幼児期の子ども達にとって、毎日が新しい発見の連続です。そんな子ども達の知的好奇心を満足させたり刺激してくれるのも絵本の魅力の一つ。
一つの気付きから、新たな「なぜ?」がうまれてもっと知りたい・誰かに教えたいなどという気持ちを育んでくれます。絵本の中にはそのような知的好奇心を刺激してくれる面白い本がたくさんあります。
語彙力を上げる
「わんわん」「ぶーぶー」「ママ」「パパ」「どうぞ」など子ども達は親や兄弟などと関わっていく中で自然と言葉を覚えていきます。そんな語彙力をさらにあげてくれるのが絵本。絵と言葉を結び付けて繰り返し読み聞かせをしてあげることで、言葉をたくさん吸収することができるようになります。
子ども達は言葉の響きやリズムがよいものだと真似っこしたくなります。絵本の世界に入り、みずから声にだして真似っこすること素敵な絵本の楽しみ方です。
絵本の世界感を楽しめる
ページを開くだけで、ベッドの上が宇宙になったり、海の中になったり、憧れのプリンセスになれたり…。さまざまな世界観を楽しめるのが絵本の最大の魅力かもしれません。
ただ世界感を楽しむだけでなはく、絵本の世界に子どもが入り込むことで主人公や登場人物の気持ちに寄り添うことができるようにもなっていきます。
コミュニケーションを図れる
絵本を保育者や親に読んでもらうことで、自然とコミュニケーションが図れるようになります。大好きなパパやママの安心する声で読んでもらうだけでも子ども達は心が満たされるでしょう。
また、絵本は大人と子どもの関わりを増やすだけでなく友達同士でのやりとりに対しても良い効果を与えてくれます。保育現場では、お友達に読み聞かせをしてあげたり仲良く一緒に読む姿も沢山みられています。
家庭での絵本の読み聞かせのコツ
家庭での絵本の読み聞かせは、保育士が対大勢の子どもへ読み聞かせする場合とは少しコツが異なります。親子でゆっくりと絵本の世界を楽しめるような読み聞かせのコツをご紹介します。
読み聞かせの前にストーリーを理解しておく
絵本の読み聞かせをする前に、どんなおはなしなのかどんな展開があるのかを親が事前にチェックしておくとよいでしょう。特に寝る前の読み聞かせには子どもが苦手な絵や怖がるポイントがありそうなものは避けるなどの配慮も大切です。
絵本の世界に浸れるように環境を整える
絵本の世界感を楽しめるように、お家の環境を整えることも必要。例えば、本を読む時にはTVや音楽は消して他のことに興味がいかないようにするのがよいですね。お昼寝や夜寝る前の読み聞かせは照明の明るさにも注意。暗すぎると絵が良くみえないということも。
物語にあったテンポで読む
読む時の声の速さは物語に合わせて変えていくのもポイント。例えば、ゆっくりとおだやかな調子のお話なら読むテンポもゆっくりめで。対して、臨場感のあるシーンやテンポが良く進んでいくストーリ―なら少しスピードを上げて読むのもよいでしょう。
セリフの抑揚や登場人物の声色は自然に
登場人物が複数人いるとき、声色を全て変えようとしなくても大丈夫です。子ども達は絵やセリフから自然と頭の中で登場人物を作り上げて絵本の世界に入ります。面白いお話などはキャラを作り上げて読み聞かせするととても盛り上がりますが、そういうことが苦手な人もいるでしょう。
子ども達は大好きなお母さん・お父さんの声で読んでもらうことで安心感も得ていますので無理をせず自然体でよんであげてください。セリフの中で強調したいこと、文字が大きくなっている場面などは抑揚をつけると臨場感を表現することもできます。
子どもの反応を見ながら読む
子どもの反応をみながら読み進めていくのがポイント。絵本の絵に見入っている場合は子どもが満足した様子をみてから次のページをめくるなどタイミングを子どもの反応にあわせましょう。
絵本によって絵を楽しみたいもの・どんどんページをめくりたいものなど子どもの楽しみ方も変わっていきます。早く読みたいという気持ちはグッと抑えて子どもに合わせてあげる心の余裕をもっておきたいですね。
読み聞かせの途中の質問には対応しよう
絵本の読み聞かせの途中に子どもから「これはなに?」「ママはどっちがいい?」「○○ちゃんはね~」などと会話が生まれることもあります。子ども主導の質問や会話は是非付き合ってあげましょう。
子ども自身が絵本から何かに“気づく”“疑問に思う”ことは成長にも大切な経験です。会話を楽しみながら絵本って面白い!という気持ちを育ててあげるとよいですね。ただ、子どもが集中して絵本の世界に入っている時には親主導の質問は控えた方がよいでしょう。
子どもの心を育む絵本の選び方
年齢にあったものを
絵本にはある程度対象年齢が設定されています。赤ちゃん向けのものは、絵が大きくはっきりしているもの。単語や擬音が多く、耳に入ってきやすいものを選ぶとよいでしょう。言葉の繰り返しがあるものは耳にも残りやすく子ども達が真似っこしやすいです。
幼児向けには、ストーリー性のあるものを選んでも楽しめるようになります。しかし、子どもによって絵本の好みや集中力も異なりますので、お子さんが好きな絵・興味のあるものを題材にした本を選んであげるとよいでしょう。
季節感を感じられるもの
日本には素晴らしい四季があります。読み聞かせをするときには季節感を感じられるものを選ぶのもおすすめ。春なら桜やひなまつり、夏は海やおまつり、おばけのお話。秋なら運動会や季節の食べ物、冬はクリスマスや雪のお話などがありますね。
行事を楽しめるもの
お祭りや、七夕、海水浴など夏ならではのイベントに参加する前には、是非そのイベントに関する絵本を読み聞かせしてあげましょう。
行事の由来やどんな楽しみ方があるのかを絵本を通して知ることができ、親子でさらに楽しめるようになります。
想像力を働かせる絵本
絵本は、身近な生活の場面を描いたものから、実際にはありえないような空想の世界を体験できるもの、言葉遊びを楽しんだり、ただただ面白くて笑ってしまうものなどジャンルも多岐にわたります。実際には起こらないような体験を楽しめるのが絵本の醍醐味でもあります。こどもの想像力を高められるようなファンタジー要素のある絵本や、冒険もの、動物や食べ物がおはなしするものなどを選ぶのもおすすめです。
気に入った絵本は何度でも読み聞かせしてあげよう
子どもは気に入った絵本は何度でも繰り返し読みたくなります。同じ展開でも毎回大笑いしたり、セリフを丸暗記してよんだりとさまざまな楽しみ方をしながら満足感を得ています。親側は何度も読むのは飽きたと思うこともあるでしょうが、子どもが要求する間は繰り返し選んであげるのも大切です。
シリーズ作品の中で気に入ったものがある場合は、違うシリーズを選んで読んであげるのもよいですね。
絵本を通して素敵な親子時間を過ごそう
子どもと寄り添って絵本を一緒に読む時間は今しかできないとっても幸せな時間。小さい頃に読み聞かせしてもらったことは大きくなってからも子ども達の想い出に残ります。子どもの心と脳を健やかに育む絵本タイムを親自身もゆったりとした気持ちで楽しんでくださいね。