ご近所との関係は、距離が近いぶん繊細で、ちょっとしたことがトラブルに発展することもあります。例えば、工事や掃除など、日常の些細な出来事が思わぬ形で影響を及ぼすことも…。皆さんも、近所の方との関係で悩んだ経験はありませんか? 今回は、わが家に起こったご近所トラブルをご紹介します。
坂の上に建つわが家
わが家は坂の一番上にあり、お隣りとは高低差があります。そのため、わが家の駐車場は隣家の一階より少し高く、二階よりは低い位置。普段、隣家とは交流がなく、ゴミ捨てのタイミングや区内のイベントなどで顔を合わせた際、挨拶を交わす程度の関係です。
子どもたちが小さかった頃は一緒に遊ぶこともありましたが、今ではそのような交流もなくなり、お互いの生活リズムが異なるため、接触する機会もほとんどありません。
私自身、近所付き合いは深入りせず、ママ友やご近所さんとは一定の距離感を保つ主義。最近はご近所の家々も築20年が経過し、外壁や塗装のメンテナンスが必要な時期に差し掛かっています。
去年、わが家の外壁を塗り直した際、隣家の奥さんと立ち話をしました。
「うちもこの前の台風の時に雨漏りして、そろそろメンテナンスが必要なんだよね」とのこと。そして、翌月には工事が始まるという挨拶を受けました。足場が組まれ、大きなトラックが出入りするとのことで迷惑をかけるかもと言われましたが、そこはお互いさまです。
隣の工事が始まった
その日は土曜日で、普段よりも少しゆっくり過ごしていました。朝早くにインターホンが鳴り、覗いてみるとそこには作業服姿の日焼けした顔が…。ドアを開けると、
「あー。すいません。隣に工事にきてる者ですけどね」とぶっきらぼうな最初の一言。
「えーとね、今日、屋根を洗浄するんで、ちょっと汚れた水が車にかかるかもしれないんすよ。ま、でも作業後にしっかり対処するんで」と伝えてくれました。
私はその雰囲気と、喋り方にやや不安を覚えたものの、「洗浄をしてくれるっていうし、大丈夫だよね」と考え、そのまま家の中で過ごしていました。
しばらくすると、「ズザザザザザーーーーッ!!」という高圧洗浄機の音が家の中まで響いてきました。かなりの勢いで水を噴射しているらしく、どうやら隣家の屋根を念入りに洗い流しているようでした。音はうるさかったものの、家の中で過ごしている分には気にするほどでもなく、いつもの休日のように過ごしていました。
しかし、音が止んでしばらくしてから、夕方に買い物に出かけようと外に出た瞬間、思わぬ光景が目に飛び込んできました。
お気に入りの愛車が…
車に目をやると、私のお気に入りの愛車(クリーム色)が、泥水の茶色いドット模様で覆われていたのです! 高圧洗浄機の水が隣家の屋根から跳ね返り、泥混じりの水が車に付着してしまったようです。
驚いたものの、工事の方に対処してくれることを期待していましたが、すでに撤収後で、現場には誰もおらず。そのまま出掛けるわけにもいかず、泣く泣く自分で洗車するしかありませんでした。心の中では、「お隣さんには罪はないしなあ」と思いながら。
実は、うちも飼い犬がよく吠えてしまい、お隣さんに迷惑をかけている自覚があったため、今回は何も言わず、我慢することにしました。
近所付き合いの難しさと譲り合い
長年同じ地域で暮らしていると、こうした小さなトラブルは誰にでも起こり得るものです。
特に今回のような外壁工事や屋根のメンテナンスなど、大規模な作業が行われる際には、周囲にどのような影響があるのかを事前にしっかりと確認しておくことが重要だと改めて感じました。
1カ月後、20年の経年劣化で少しくたびれた感じだった隣家の黄色い外壁は、とてもかわいいクリーム色に生まれ変わっていました。
後日、奥さんと顔を合わせた際
「長い間、工事のトラックが出入りしたり、色々迷惑だったでしょ? ごめんね」と声をかけてもらいました。その気遣いの一言がとても嬉しく、気持ちが晴れました。これからもお互いの立場を理解し合い、譲り合いながら暮らしていきたいと思います。
近所付き合いは難しい面もありますが、お互いに思いやりを持って生活していくことができれば、きっと日々の生活がもっと豊かになりますね!
(ファンファン福岡公式ライター/さくらえ)