​​【ほっこりする話】6歳息子が半泣き「今日のごはん、キツネの皮が入ってる」

息子が通っていた保育園は食育がとても充実していました。無農薬野菜を使った給食に、おやつは小魚やふかし芋! 0歳から通っていた息子は、美味しい給食のおかげで、年長さんになる頃には好き嫌いなくなんでも食べる健康優良児に育ちました。

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お手伝いへのアツい情熱

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 その保育園は、芋掘りや野菜の収穫はもちろん、年長さんになると自分たちでサンマを捌き、炭火で焼いて食べるサンマパーティーやお米とぎ当番が体験できる、ユニークな保育園でした。
 そして、そのユニークさは多岐に渡り、園のクリスマスパーティーで貰うプレゼントは、毎年保護者が自分の子どもに手作りをするのです。

 年長さんへのプレゼントのお題は「世界でたった一つのエプロンと三角巾」。クリスマスまでの1カ月、夜な夜なミシンを引っ張り出し、せっせとエプロン作りを頑張る日々が始まります。毎晩栄養ドリンクを片手に、ママ友とライン通話で
 「眠すぎる!」なんて愚痴りながら…。

 そんな母たちの愛の夜なべの甲斐あり、パーティ当日、なんとか無事に子どもたちの元に手作りプレゼントが届きました。息子も大好きな消防車がデザインされたエプロンと三角巾を手にして、大喜び。帰宅すると、すぐに両方を身に着けて
 「今日ばんごはん作るのお手伝いする!」と目を輝かせて言いにきました。

初めての挑戦

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 その日のメニューの一つは、和食好きな息子の好物「ひじきの炒め煮」。

 「じゃあ、野菜切るのお願いしようかな?」と言うと、息子は
 「オッケー!」と早速子ども用の包丁を手に取ると、お気に入りのエプロンをかけ、誇らしげな表情でしいたけをトントン。次はさやいんげん。 

 一生懸命に包丁を使う様子は、​​普段のやんちゃな息子とは違って真剣そのもの。
 「美味しく作ろうね!」と声を掛けると、満面の笑みで
 「うん!」と答えました。

 しかし、それからわずか約10分後、なんだか怪しい雲行きに…。さやいんげんをなんとか切り終えた途端、
 「手がめっちゃ疲れたんだけどー」と言い始めたのです。そして戦線離脱。

 エプロン姿のまま遊び始めた息子を横目に、私は残りの具材を切り、鍋に入れて炒め始めました。しばらくすると、いい匂いに釣られたのか
 「​​オレがじゅーってやろっか?」と再登場…。

 正直、自分でやった方が早いのですが、彼の意気揚々とした顔を見て、思わず
 「じゃあ、お願いしようかな」と答えました。その日2度目の
 「オッケー!」の言葉と共に戻ってきた息子は、踏み台に上がり鍋の中を覗き込みます。

思わぬ叫び声のその理由は…

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 そして次の瞬間、叫びました。
 「えーー!!!! まじかよーー!!!!」

 その声に驚き、私は
 「えっ何? 大丈夫?」と駆け寄りました。すると息子から驚きの一言が。
 「オレひじき煮物大好きなのに、今日のやつ、キツネの皮が入ってる! 食べられないじゃん!」

 キ、キツネ….? しかも、皮? 私が切ったのは人参と油揚げ。 もしかしてキツネの皮って油揚げのこと? よく分からない私に、息子は半泣きになりながら
 「だってさ、おれが前にいなり寿司食べようとしたら、お兄ちゃんが『それ実はキツネの皮だよ』って言ったもん…」と訴えます。

 彼は、9歳年上の兄が最後の一つのいなり寿司を争奪するために言った冗談、
 「油揚げはキツネの皮」を信じていたのです。

 と、その時、いいタイミングで兄帰宅。ことの顛末を聞いた当時中学生の兄は、爆笑しながら
 「ごめん! 冗談! キツネじゃないよ。大豆ってわかる?  その仲間だよ」と目の前で油揚げをパクリと食べて見せました。

 その姿を見て、
 「キツネの皮じゃない?」と何度か確認した後、息子もパクリ。
 「ほんとだ〜。キツネの味しない! おいしい!」と二口目をパクリ。キツネの味とは… と心の中で思いながらも、この日は家族みんなに
 「作ったの? すごいじゃん。おいしいよ!」と褒めてもらい、息子は鼻高々。

 こうしてキツネの皮の誤解もなんとか解け、息子の純粋さと兄弟ならではの微笑ましさに家族みんなで思わず笑顔になりました。

(ファンファン福岡公式ライター/さくらえ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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