話題の廣津留すみれ、澤 和樹を迎えて響ホール室内合奏団が12月に演奏会

国内でも有数の室内楽専用ホールとしてその音響の良さは名高く、演奏者達から絶対的な支持を集める北九州市の「響ホール」。ここを拠点に活動を続けているのが”響ホール室内合奏団”だ。定期演奏会もこの12月に44回目を迎える。

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廣津留すみれをソリストに迎えて

 今回の定期演奏会は、現在TVなど各種メディアに引っ張りだこで人気のバイオリニスト「廣津留すみれ」と日本クラシック界の重鎮であり教育者、ソリストとして名高く、楽団創設当初より指揮者として、またミュージック・アドバイザーとしても何度も共演を重ねている「澤 和樹」の二人が競演するのも観どころ、聴きどころの一つだろう。

 廣津留すみれは大分市出身、12歳で九州交響楽団と共演、高校在学中に全米ツァーを行い、ニューヨークの殿堂カーネギーホールにてソロ・デビューを果たすなど華麗なキャリアを持ち、以降アメリカを拠点に研鑽を積みながら演奏活動を広げてきた。
近年は日本でもオーケストラと競演を重ね、テレビ番組などへの出演も多い。今年の春に再び九州交響楽団の定期演奏会に客演、また茅乃舎の里山音楽祭に出演するなど、大分市出身ということもあり、地元での演奏会を含め、九州との関わりは深い。

< Artist message >

「この度は12月に響ホールにて演奏できることを大変嬉しく思います。小学生の時にステージを踏んで以来、響ホールでは本当に久しぶりの本番になります。大分出身の私は、幼少期からバイオリンのレッスンやコンサートで福岡を訪れることが多くありました。「福岡=都会=頑張ったご褒美を買ってもらうところ」というイメージを勝手に持っていた私は(笑)、福岡に行くと天神で文房具や服を、北九州に行くと小倉の駅ビルで雑貨を買ってもらい…。それが大きなモチベーションでした。そんな馴染みのある福岡の地で、澤和樹先生と響ホール室内合奏団の皆様という素晴らしいメンバーと共演できることになり、本当に楽しみです。知った土地の安心感と、本番の緊張感の混じったワクワクを皆様にお届けできるよう、精一杯頑張ります!ぜひ会場でお会いしましょう。」 

廣津留すみれ

「九州人の血が騒ぎ始めたのかも」 澤 和樹

 そして澤 和樹はクラシック音楽界に於いて日本はもとより、長年に渡り海外での活動や教育に多大な功績を残している。2022年まで日本の音楽教育最高峰の一つである東京藝術大学の学長を務めてきたことは記憶に新しく、また2026年福岡・太宰府に開学が予定されている福岡国際音楽大学(仮称)の学長就任が発表されたばかりだ。創設当時よりこの響ホール室内合奏団の活動に尽力している。今後ますますここ福岡でのクラシック音楽の発展に欠かせない存在となっていくことは間違いない。今回の演奏会では指揮と、バッハの2つのバイオリンのための協奏曲ニ短調を廣津留と競演する。

< Artist message  >

「響ホール室内合奏団とは2002年に初めてご一緒して以来、2度の英国公演や数回にわたる韓国公演、そして創立10周年の東京、和歌山での特別な演奏会も含め20年以上にわたるお付き合いです。響ホールという弦楽アンサンブルにとって理想的なホームグラウンド、音楽に対する強い情熱と真摯な姿勢の団員の皆様、そして暖かく応援してくださる賛助会員の皆様。すべての出会いが私の音楽生活の中で大きな位置を占めています。今回の定期演奏会では「ジュリアードとハーバードをともに首席卒業」というとてつもない才能に加え、テレビでも大人気の華やかさを併せ持つ廣津留すみれさんとの共演、そして彼女とのトークセッションも大いに楽しみです。この度、私は2026年春に開学予定の福岡国際音楽大学の学長に就任することが決まり、福岡県初の4年制音楽大学設立に向け、ますます福岡とのご縁が深まりそうです。実は、最近になって母方の祖父母が大分出身であることが分かり、私の中に流れる九州人の血が騒いでいるようにも思えます。」 

澤 和樹

国内屈指の室内楽専用ホール 響ホールにて

 楽団創設時よりのメンバーの一人であるバイオリニストの中村美穂さんは「お二人が競演するのはバッハの中でも特に耳なじみがある曲ですし、タイトルをご存じなくても、どなたでも一度は聴いたことがあるメロディだと思いますので、クラシックの演奏会は初めてという方にも親しみを持って楽しんでいただけるでしょう。ぜひ多くの方々に足を運んでいただければ嬉しいですね。」と言う。

 響ホールは1993年に北九州市の音楽専用ホールとして開館し、その後初代館長の後藤忠雄氏(故人)の発案により「響ホール室内合奏団」が結成された。グルメ・ガイドとして有名なミシェランは「わざわざ行く価値のあるレストラン」を紹介したものだが、この響ホールはまさに「わざわざ聴きに行く価値のある響きを持つ室内楽ホール」だろう。 今回のもう一つのプログラムであるシェーンベルクの静謐な世界は、このホールを誰よりも知り尽くし、演奏を尽くしてきた合奏団だからこその音空間・世界観が体験できる。2024年最後を締めくくりに、ぜひ聴いていただきたいコンサートである。

(Text by 樋口洋子)

公演情報

〇日 時  2024年12月1日(日) 14:00開場 15:00開演 

〇会 場  北九州市立 響ホール (北九州市八幡東区平野1-1-1)

〇チケット 全席指定 \5,000

      学生スペシャルシート \2,000(限定26席/高校生以下/オンライン販売のみ)

〇お問合わせ 響ホール室内合奏団 TEL.093-647-0565  (http://www.hibikistrings.jp)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

長年音楽・楽器業界で仕事をしてきました。わくわくドキドキと感動をお届けできるアーティストの情報をご紹介していきます。

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