「え… そこから教えるの?!」新入社員からの質問に思わずあ然…!

私が和菓子店の店長をしていた時、後輩の急な退職で店舗は人員不足に悩まされました。半年後に他店から新入社員が異動してくることになりほっと一安心のはずが…? 新入社員からのまさかの質問に、あ然となったのでした。

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後輩の急な退職で人員不足に

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 私が店長になった時、店舗スタッフは私と後輩社員、それにアルバイト2人の4人でした。和気あいあいとした環境でしたがその後、後輩社員が家庭の事情で3月末に退職してしまいました。

 人手不足になった店舗には、4月から他店スタッフが日替わりで応援に来てくれました。
 しかし店舗ごとに商品の保管場所やレジの打ち方などが異なり、応援に来るスタッフ全員に毎回一から教えなければいけません。

 応援はありがたいのですが、本音では「早く社員がきてほしい」と、店舗スタッフ全員が思っていました。そのまま4カ月が過ぎた頃、他店に配属された新入社員Aさんが異動してくることになりました。

 「嬉しいです!」と満面の笑みで言う私に対し、上司は苦笑いで
 「少しおバカちゃんなんだけどね…」と言います。少し引っ掛かりましたが、社員が増えることが嬉しくて深く考えませんでした。
 自分の一年目を思い出し、精一杯寄り添っていこう! と意気込んで当日を迎えます。

フリーズする新入社員

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 そしていよいよAさんの異動初日。
 「緊張していると思うからフォローお願いね」とアルバイトの2人にも伝え、迎える体制を万全にしました。

 Aさんは色白に黒髪、ぱっちりとした目で大人しそうな和風美人という印象です。
 まずはレジの打ち方をひと通り教え
 「大丈夫そう?」と聞きながらAさんを見ると、こわばった顔で全身は硬直状態。

 そして間があった後に
 「……… はぁ…」と、小さくて気の抜けた声で返事をします。

 理解できたのかどうか分からない返事でしたが
 「慣れたら難しくないと思うよ!」と、フリーズ状態のAさんに対して明るく笑いながら言いました。

 しかし、その後も仕事を一つ教えるとフリーズするAさん。詳しく話を聞くと、理解するのに時間がかかってしまうようです。その後はゆっくり何度も教えるようにしたので、他の人に教える倍の時間がかかってしまいました。

閉店後の質問にあ然

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 Aさんに仕事を教えていて一番驚いたのは、閉店後に行う売上計算の時。当時は累計売上と前年比を、手計算で算出していました。

 前の店舗でやったことがないというので、まずは計算方法を教えます。そして、算出した前年比の
 「少数点第二位を四捨五入してノートに書いてね」と言うと、Aさんはまたもやフリーズ。

 説明不足だったかな? と思い、話しかけようとした時です。眉間にしわを寄せ、やや困り顔のAさんから
 「四捨五入ってなんでしたっけ?」と、驚きの質問が! まさかの質問内容に、今度は私がフリーズしてしまいました。

 Aさんは
 「学校で教わったんですけど思い出せなくて…」と続けます。そこから教えるの? と、思わぬ展開に戸惑いながら
 「四捨五入っていうのはね…」と、たどたどしく説明を始めます。

 説明を終えると
 「あぁ、そうだ!」とひらめいた顔のAさん。思い出せて嬉しいのか、少し笑顔です。一方の私は、心待ちにしていたAさんの異動初日に、説明疲れでヘトヘトになったのでした。

教育にてんやわんやの半年間

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 先行きに不安を感じながらも、なるべく早くAさんがひとり立ちできるようにしなければいけません。なぜなら、私もアルバイトの2人も3月末で退職が決まっており、4月にはAさんが店舗に一番長くいるスタッフになるからです。

 まずはAさんにしっかり返事をするよう注意し、教育計画を立てて少しずつ実行。Aさんの教育はもちろん、Aさんに対して説明疲れするアルバイト2人のフォローも行っていたため、私は常に気を張っていたと思います。2月にはストレスで膀胱炎を発症しながらも、なんとかAさんをひとり立ちさせるという目的を果たすことができました。

 新入社員には仕事内容の他にも社会人としての自覚など、教えることはたくさんあると分かっていたつもりです。しかし、四捨五入から教えるのは想定外でした。「新入社員」という言葉を聞くとAさんが頭に浮かび、初日からあ然とした半年間を今も思い出すのです。

(ファンファン福岡公式ライター/坂 真琴)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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