考えたくはないけれど、いつかはやってくるのが親との別れ。親は子供に面倒をかけないよう片付けられるものは片付けておきたいと思い、子供は親に片付けて欲しいと考えます。「片付けたほうが良い」という共通認識はあるものの、いざその場面になるとなかなかうまくいきません。そこで、いきなり片付けはじめるのではなく、「片付けの準備」をしながらモノを減らす方法をご紹介します。
モノがたまる原因を理解しましょう
戦争やオイルショックを経験した親世代は、モノが無くて困った経験から、いつくるかわからない「いざという時」のためにモノをため込みがちです。それに加え、まだ使えるのにと「捨てる」ことへの罪悪感も強く、なかなかモノが手放せません。
育った時代背景のほかに、加齢に伴う健康不安や体力の衰えから、買い物ひとつとってみても、以前のように気軽にできなくなっています。その結果、「腐るものではないから」とか「必ず使うものだから」を理由にストックとして買いだめをしてしまいます。
親はモノが多くても困ってはいない場合が多い
これまで何十年も生活してきた習慣はそう簡単に変えられるものではありません。今の生活に不自由を感じていなければ、何も困ることはなく、できればこの生活を変えたくないとさえ思っているかもしれません。
片付けの最中に親子喧嘩をしてしまったという話をよく耳にしますが、話を聞いてみると「処分」の判断をくだす時に親の家の片付けなのに、子側の基準を押し付けたことが原因である場合にその傾向が強いようです。
これからあげる「片付けの準備」を予めやっておくと片付けがスムーズにできるようになりますので、片付けが進まないという方は是非お試しください。
「片付けの準備」とは?
1. 実家にある荷物を無くしましょう
自宅には置くスペースがないからと、実家に置きっぱなしにしている自分のモノはありませんか? 片付いていない理由の一つがあなたの荷物だとしたら、親に片付けるよう言う前に、まずあなたの荷物の全てを実家から無くしましょう。実家はあなたの家でも物置でもありません。
親にもしものことがあり、家を処分しなければならない事になったら、その置いている荷物はどうしますか? 遅かれ早かれ、片付けなければならないモノなら、その荷物こそが最優先で片付けないといけないモノなのです。兄弟姉妹、人数が多ければ多いほど片付きます。
2. 使えないものを探し、間引いていきましょう
誰が見ても、使えないものは処分する理由が明確なので、親も抵抗なく手放すことができます。
・ 賞味期限
・ ヒビ、欠け、シミ、変色、破れ
・ 動作不良、破損、使用に苦痛を伴う
このようなキーワードが当てはまるモノを見つけ出し、先延ばしにするのではなく、その都度処分しておくことが大切です。
何気なく見ていると気付かないものですが、キーワードに注意しながら見ると、いろいろなものが見つかります。
3. この先も使う場面はなさそうなものは、売ったり寄付することをすすめる
箱に入ったまま実家の押入れで眠っているモノがありませんか? もしあれば、買取ってもらう、寄付するという方法で、欲しいと思っている人の元へ届けることができます。
TV番組でメルカリなどがとりあげられ、目にする機会が多くなりました。もし親がそれをご覧になっていたらそういう方法を提案するのもいいでしょう。
人の役にたち、それで得たお金によって別の楽しいことに使うこともできます。昭和レトロなグッズが案外高値で売れたりするので、親もモノを手放すのが楽しみに変わるかもしれません。
4. これちょうだい!作戦を決行しましょう
実家で自分が欲しいものを見つけたら「これ、ちょうだい」とおねだりして譲ってもらうのもいいですね。子供が使ってくれるならと親もすんなり手放すことができるものです。
逆に、最後まで行き場がなく廃棄処分するしかなさそうにないものは、譲ってもらい、親の目の届かない所で処分してあげるという手もあります。
親が所有し続けているものの中には、自分の手で処分することができず「とりあえず」で保管しているものも意外と多いものです。ちょうだいと言われたら、迷いなく手放せるモノであることが多いのです。
遺品整理にも役立つ「片付けの準備」
「片付けの準備」をしておくと、後に行う「片付け」がスムーズにいくようになります。親側の判断基準に沿って荷物を間引く感覚で、ゆっくり、少しずつそれを繰り返しながらモノを減らしていきます。劇的変化は望めませんが、徐々にモノの構成内容は変わっていきますので、全体を片付ける際に大幅に時間の短縮を図ることができます。
この片付けの準備中に交わされた親子の会話は貴重で、万が一、荷物が「遺品」になってしまった時にも役立ちます。親側の基準をもって既に間引かれた状態から整理を開始することになるので、何から手をつければいいかわからず途方に暮れることも無くなります。