「もう宿題をするのはやめてくれ!」母の叫びは届かない|長男が考えた最高の勉強法

「もう宿題しないで!」ある日私が、長男へむけて発した言葉に、自分自身が驚きを隠せませんでした。「早く宿題やりなさい!」は幾度となく口にしてきた私に、いったい何が起こったの? その原因は、長男が彼なりに考えだした、とある勉強法にありました。

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忘れ物王と勉強嫌い

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 長男は小学生。小学校入学当初は忘れ物が多く、勉強も大嫌い。学校の宿題プリントは「教室に忘れてきた」と。こんな長男に、なんとか勉強の習慣をつけようと、試行錯誤の毎日でした。

 そして、3年生になった現在。長男の1日の宿題は、学習塾の宿題プリントが国語・算数・英語の3教科で15枚、学校の宿題プリントが国語・算数の2教科で1枚。さらに、忘れがちな漢字とカタカナ、タイピングのためのローマ字練習、正しい字を書くための書写、理科、社会は市販の家庭学習用ドリルを利用しており、6枚。

 新しい知識を学ぶと、すぐに過去の知識が抜け落ちる長男には、学校と学習塾の下支えをしてくれる家庭学習用ドリルが欠かせません。

 そんなわけで、宿題とドリルを終わらせるのに数時間かかるため、わが家では朝食後、学童保育中、夕食前、夕食後と4回に宿題時間を分けています。平日に自宅での余暇時間などありません。

 宿題がすべて完了すると、次に待っているのは採点です。私が採点を済ませると、採点済の宿題の束を、再び長男へ返却します。長男が誤答を直して、ようやく宿題完了です。

長男が考えた最高の勉強法

 わが家の寝る前のルーティンは、21:00から本の読み聞かせ、21:30就寝、6:00に起床。
 とある日のこと、「21:00までに宿題が全部終わった!」と、私が安堵していたところ、突然長男が
 「明日分の学習塾の宿題やる!」と言いだしました。宿題の前倒しをしたいというのです。

 最初はただの気まぐれと思っていた、長男の「明日の宿題やる!」は、その後も続きました。宿題先取りで爽快に就寝する長男とは対象的に、真っ暗な寝室に小さなライトをつけて、私は採点を始めるのでした。

明日の自分が楽になる

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 宿題先取りがしばらく続いたある日、おそるおそる長男に、宿題を先取りする理由を聞いてみました。すると
 「やればやるほど、明日の自分が楽になるから」と。さも当たり前のことのように、長男は答えます。

 それを聞いた私は目を丸くしました。なぜなら、先の発言は、勉強が手につかないときに、私が長男にむかって毎日のように言い聞かせている言葉だったからです。

 長男の宿題先取りは、次第にエスカレートしていました。あるときは、翌日分の宿題を終え、翌々日分の宿題にとりかかろうとしたり、学校の休み時間中にすべてのドリルを終わらせてしまったり。

 そのうちに、宿題を終えた長男は、以前まで勉強の時間に当てていた、帰宅後の時間を「休憩」と称して、お気に入りの漫画を読むようになってしまいました。

母の苦悩

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 長男は「宿題は終わった。漫画を読んでも文句ないだろう」という堂々たる態度。
 しかし、やっつけ仕事のように学校の休み時間や、学童保育中に終わらせたドリルは間違いが多く、集中できていないことが一目瞭然です。「自宅でこそ、集中して宿題に取り組んでほしい」と私は密かに思っていました。

 そして先日、長男の個人懇談があり、担任の先生に
 「息子くん授業中眠そうな様子で…」と、ついに言われてしまいました。

 この一件で、「宿題するのは〇時まで」と条件つきに変えてみたのですが、長男は
 「これやらないと寝ない!」と、口を真一文字にむすび、目は涙でいっぱいです。

 これまでは毎日、宿題に追われていた長男。しかし、今や、朝起床すると「今日の学習塾の宿題はもう終わっている!」この宿題地獄からの解放感が、たまらなく清々しいらしく、長男は宿題の先取りが、やめられなくなってしまったのです。気持ちはわかる、けど…。

 「もう宿題しないで!」こんな言葉をわが子に発する日がくるとは、想像もしませんでした。
 「宿題地獄のプレッシャーから解放され、自由になるために!」どんどん宿題を終わらせたい長男と、宿題先取りはしないでほしい私。この親子宿題戦争は、まだまだ先が長そうです。

(ファンファン福岡公式ライター/ダイワ エノ)

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