劇団四季「キャッツ」でスキンブル演じる小林唯さんにインタビュー

 劇団四季ミュージカル「キャッツ」福岡公演がキャナルシティ劇場(福岡市博多区)で上演中です。出演者で“鉄道猫”スキンブルシャンクス役の小林唯さんに話を聞きました。

目次

“鉄道猫”スキンブルシャンクスは、優しくてサービス精神旺盛

スキンブルシャンクス役の小林唯さん

―ミュージカル「キャッツ」の魅力を教えてください。

 人間が猫を演じるという幻想的な世界観でしょうか。そして「キャッツ」には主役がいません。主役がいない作品って珍しいですよね。あえて言うなら、個性豊かな24匹が主役なんです。劇場に入った瞬間から物語は始まっていて、いつの間にか非日常の世界に引き込まれている、独特な作品だと思います。

「キャッツ」の舞台には個性あふれる24匹の猫が登場
提供:劇団四季 撮影:重松美佐

―小林さんが演じるスキンブルシャンクス(以下スキンブル)は、どんな猫?

 鉄道を愛する、世話好きで優しい猫です。寝台列車に乗り込んで乗客をもてなすなど、サービス精神旺盛。性格は穏やかで、けんかはちょっと苦手かな。スキンブルが歌う「スキンブルシャンクス~鉄道猫」のナンバーは、思わず手拍子をしたくなるとても明るい曲。みんなに愛されているスキンブルの魅力が感じられる、劇中でも印象的なシーンの一つです。

―小林さんとスキンブルの共通点は?

  世話好きというか、サービス精神にあふれている点でしょうか。僕も人を楽しませようと頑張っちゃうところがあるので(笑)。

スキンブルシャンクスの楽しいナンバーに客席からは手拍子が♪
提供:劇団四季 撮影:重松美佐

―役作りで苦労した点があれば。

 “鉄道猫”のナンバーの時に、手をお腹のあたりに構えているんですが、それは乗客への給仕の気持ちを表しているんです。その手のポーズが自然に見えるようにするのが意外と難しくて。最初はなかなかうまくできず、稽古の時には実際にタオルをかけて手の位置を覚える練習をしていました。

スキンブルのこのポーズに注目を

―舞台上の猫たちの動きがとても面白いですよね。

 「キャッツ」は他の作品とは違い、役者に委ねられた自由な時間が多いのが特徴です。そこで、どれだけ猫らしくいられるかも見せどころ。お客さまに楽しんでいただくと同時に、舞台に立つ僕たちも楽しみながら、それぞれ自由に猫を演じています。

―では毎公演、猫の動きが違う?

 そうですね。公演やキャストによって多少、毎回動きが違うのも生の舞台の良さでもあるので、それも含めて楽しんでもらえたら。舞台の端や奥にいる猫が、どのように過ごしているか、ぜひその動きにも注目してください。

スキンブルは俳優人生の原点

「スキンブルのナンバーが俳優人生の始まりでした」 

―小林さんと「キャッツ」の出会いは?

 劇団四季の入団オーディションで歌ったのが、「キャッツ」のスキンブルのナンバーでした。実は、その時はまだ作品を生で見たことがなく、いい曲だなって感じて選んだんです。入団後、作品を見てどうしてもスキンブルを演じたいという気持ちが強くなり、演出家に直談判して配役オーディションを受けさせてもらいました。

 配役オーディションを受けた時は、正直、歌も上手に歌えていませんでした。でも、スキンブルを演じたいという熱意が伝わったのか、合格をいただいて。その時は本当にうれしかったです。その後、稽古を積んで2015年に初めて出演することができました。特別な縁を感じる作品と役ですね。

スキンブルが登場する印象的なシーン
提供:劇団四季 撮影:重松美佐

―スキンブルを演じる上で大切にしているのは?

 舞台上で「演じようとしない」ことですね。これまでどう演じたらいいのか、たくさん悩んだり考えたりしましたが、「僕そのものがスキンブルなんだ」と考えるようになりました。稽古場ではしっかりと稽古を重ね、その上で一旦舞台に上がったら、そこで感じたことを素直にそのまま表現するようにしたらいいのではと思うようになりました。

―何かきっかけがあったのですか。

 他の作品に出演するなどで、しばらく「キャッツ」から離れていた時期がありました。それを経て東京・大井町のキャッツ・シアターでロングラン上演中の昨年9月、久々にスキンブルを演じることになったのですが、もう毎日が楽しくて。その時、僕が自然体で演じるのが、一番スキンブルらしさを表現できるんじゃないかと思えたのです。

 昨年はコロナ禍でいつ公演中止になるか分からない状況で、さまざまなことがあり、つらい気持ちの日々を過ごしていました。そんなタイミングの中、僕の俳優人生の原点ともいえるスキンブルを再び演じることができたのは運命的に思えたし、大きな転機となりました。スキンブルには、僕自身が本当に元気をもらいました。その後しばらくの間、出演することになったのですが、あっという間で、まだまだ演じ足りないくらいでしたよ。

テークアウトで福岡グルメを楽しんでいます

「めんたいこ、もつ鍋おいしいですよね!」

―体のケアなど、気を使っていることがあれば。

 特別なケアは特にしないんですよ。ありがたいことにケガもなく。「キャッツ」はダンスシーンが多いのと姿勢が独特なので、久々に出演すると、足などが筋肉痛になります。そのケアくらいですね。

―福岡でのオフの過ごし方は?

 福岡は食べ物がおいしいよって聞いていたので、感染対策で気軽に外食ができないのが残念。でも、テークアウトやデリバリーでめんたいこやもつ鍋など福岡グルメを楽しんでいます。

―読者にメッセージを。

 来年4月17日(日)に千秋楽が決まり、劇団四季がキャナルシティ劇場を専有的に使用するのは、この公演が最後です。カンパニー一同、1公演1公演を大切に最後まで頑張りますので、ぜひ劇場に足を運んで「キャッツ」の世界を楽しんでください。

「キャッツ」の世界を堪能しにキャナルシティ劇場へ!
提供:劇団四季 撮影:重松美佐

こばやし ゆい

大阪府出身。2013年劇団四季研究所入所。初舞台は 「コーラスライン」。「キャッツ」のスキンブルシャンクスは2015年から演じている

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