息子は小学6年生の時に、担任の先生が初めて女性になりました。少し人見知りする息子の性格から、馴染むのに時間がかかるかなと思っていました。真面目で熱心な30代後半のベテラン学年主任の先生だったのですが、熱心ゆえに、毎日アポなしで家庭訪問に来る事態に。一体何が起きたのでしょうか。
運動会の応援団長選び
クラスにも慣れた頃、息子は運動会の応援団長に選ばれました。うちの息子は活発な性格で、先頭に立って何かをするのが好きでした。そこで先生は息子に
「団長やってくれへん?」と頼んだそうです。
学校から帰宅した息子が話をしてくれた時、なぜか乗り気ではありませんでした。実は、応援団長に立候補した子があと2人いたようです。3人は団長に立候補する思いを一言ずつクラスメイトの前で発表し、投票で選ぶことになったとか。息子は
「がんばります」の一言だけだったのに、あとの2人は団長への思いがかなり熱かったため、投票の結果とはいえ自分以上にやりたい子を差し置いて団長を引き受ける事に引け目を感じたといいます。
先生にも
「自分以外の人がやった方がいい」と話した息子。そんな息子の気持ちとは裏腹に、先生は
「選ばれたからにはやって欲しい」と説得。
「先生は〇〇君にやって欲しいんや…」と最後は泣きながら説得されたそうです。
息子は反発!
結局、応援団長を引き受けたのですが、「強引にやらされた」と思った息子は、先生のことが苦手になってしまったようで、先生に何かと反抗的な態度を取るようになりました。
反発してくる息子に、先生も自分だけでは手に負えなくなったのでしょう。親である私に、学校での様子を伝える電話が頻繁にかかってくるようになりました。
「今日はシャープペンシルをカチカチしていたから注意したんですけど、言ってもやめないんです」というような報告が毎日電話であり…。私は最初「男の子だしそれくらい…」と軽く受け止めていました。
しかし、先生の熱心な指導は続きます。
毎日アポなしの家庭訪問
ある夕方、玄関のチャイムが鳴りました。今頃誰だろうと確認すると、慌てた様子の先生が! それからは毎日息子の言動や態度について、“相談”という形で家庭訪問が行われるようになったのです。
本当に毎日でした。先生も疲れた様子で
「今日もね、私の言う事を聞いてくれなくて…」とぼやき、私も親としてどう対応すればいいのか分からなくなってしまいました。訪問が10日くらい続いた日でしょうか。ついに私も感情的になって
「私はどうしたらいいんですか?」と先生を前に泣いてしまいました。
先生は泣いた私を見てはっとした様子。慌てて
「いえ、私は○○君(息子)に良くなって欲しいと思って…」と言い足早に帰られました。やり取りを家の中から見ていた息子は、先生が帰った後
「先生熱すぎるんや…」と困ったように言いました。
家庭訪問はその日を境になくなりました。先生は私が泣いたのを見て、自分が良かれと思ってした事が逆効果だったと気付いたのかもしれません。
先生との距離は難しい
運動会での息子の団長ぶりは、ママ友からも褒めてもらったほど良い出来栄えでした。先生としては、息子の良さをもっと引き出したいという熱い思いだったのだと思います。自分の思う方向に向かって欲しいという思いもあったのかもしれません。
私は今まで、学校のことに親がしゃしゃり出ず、先生に任せるスタンスでした。でも子どもの話をちゃんと聞いて、伝えるべきことは親から伝えることが大切だと思った体験です。
(ファンファン福岡公式ライター / ともともママ)