乳児期を終えて集団生活を送るようになると、子どもの語彙力が急に増えたと感じることがありませんか? わが家の場合もそうで、3歳クラスのころに小規模保育所から認可保育園へと移ったタイミングで、言葉の幅が広がっていきました。そして進級し4歳クラスになったある日、大人顔負けのセリフに驚かされることになるのです。
感受性が強くて繊細な娘
現在保育園の4歳クラスに通う私の娘は、もともと感受性が強く、繊細な部分がある子でした。
普段はとても明るくて賑やかなのですが、悲しい展開のアニメを観ると号泣したり、それを観て少し時間が経った後も
「かわいそう。〇〇(娘)が助けてあげたい」と思い出して泣き、落ち込んだりしています。
小規模保育所のころの園長先生に
「この子は実はとっても気にしやすい子なので、よく注意して見ていてあげてくださいね」と言われたこともありました。
きっかけは友だちとのケンカ
ある夕方、保育園に娘を迎えにいくと、娘が
「もう保育園はいや!」と言いながらぷんぷん怒り、そのあとしゅんとなってしまいました。普段は楽しそうに通っているので不思議に思って、担任の先生に話を聞いてみると、友だちとケンカしたと言うのです。
ケンカについては娘が「いじわるをされた」という認識なのですが、さらに詳しく聞いていくと娘にも悪い部分はあって(子どものケンカはそういう場合が多いですよね…)子ども同士の意思の疎通が上手くいっていないんだな、という印象でした。
娘の方が相手の言葉を必要以上に重く受け止めてしまって、気にしすぎているというような。私はまだ少し落ち込み気味の娘を連れて、保育園を出ました。
大人みたいな台詞にビックリ!
帰りながら、娘の口からもめごとの一連の流れを聞きました。先生から聞いた話と合致するところもあれば、娘が捉え違いをしているところもあり、こちらが思っているよりも、とても傷つきやすい子なのだな、と思ったのをよく覚えています。
そのとき、なんとなく
「〇〇(娘)は繊細なんだね…」と言いました。娘にはまだ『繊細』という言葉を理解できないと思っていたので、ひとり言に近い感覚でした。ところがそれを聞いた娘は、私の想定を裏切る返事をしてきたのです。
ものすごく真面目な顔をして、まるでドラマのセリフのようにはっきりとした口調で
「〇〇はね、いつも心の真ん中に繊細さを置いてるんだ!」と。
これには心底びっくりしました。そもそも『繊細』という言葉の意味を理解していた(本当の意味でわかっていたかは不明ですが)こともですが、「繊細さを心の真ん中に置く」という、なんとも大人っぽい言い回しに
「一本取られた!」と、思わず笑ってしまいました。娘は
「なんで笑うのー!」と不服そうでしたが、
「そんな言葉を知っててすごいね」と私が言うと、ちょっとうれしそうにしていました。
みなさんもお子さんの大人びた発言にびっくりしたことはないでしょうか? 言葉だけに限らず、子どもって、生活を通して触れたさまざまな経験をスポンジのようにぐんぐんと吸収していくのだな、と感心しています。こうして少しずつ大人になっていくんですね。もしかしたら、対等に会話ができる日もそんなに遠くはないのかもしれません。
衝撃のセリフから約半年。
「よく気が付くね」
「その発想ママにはなかったな」と娘を褒めると、今でも
「だって心の真ん中に繊細さを置いてるから!」と、得意そうにする娘なのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/にしふみえ)