サ日記 ちゅ~るを食べる用のキャットマスクが出来た(ありがた迷惑)

 猫のサニです。9月に入ってからの福岡はぱらぱらだが、小雨模様で梅雨のごたります。少しは涼しくなってしのぎやすいが、おれは相変わらず一日の3分の2から4分の3は寝て過ごしておる。一般的な人間の逆だ。外敵に脅かされることなく安心して眠れるのは飼い猫の特権であり、ありがたい。

 一方で、飼い猫には飼い主が付きものなので、飼い主の道楽というか気まぐれにもお付き合いしなければならない。

 最近、飼い主のJがおかしな箱を作って、おれを無理やり押し込んだ。なんのつもりか。

 通販での買い物好きなわが家に届いたアマゾンか何かの箱に、こんなマスクの絵を描いて穴を空けている。別に今入りたいわけじゃなかったのに、抱えて中に入れられた。手前には気になるものが写っている。

 おれだけでなく、猫族共通の好物、ちゅ~るではないか。このマスクの口の部分からペロペロ食べさせようっていう寸法ですニャ。

 正直ちゅ~るの魅力には逆らいがたく、そこは飼い主の思うつぼといえるが、この工作ははっきり言って失敗だ。

 ほんとうは、下の円いところからおれの口と鼻が出て上の二つの穴には目がのぞくようになっているべきだろう。どう考えてもこの顔は大き過ぎる。

 Jは、フェイスブックか何かの猫好きのグループの投稿を見てヒントを得たようだ。そこには、タイガーマスクとミル・マスカラスのマスクがあったみたいだが、「猫用」ということを意識して、アメリカのバンド「KISS]の”猫男”ピーター・クリスのメイクを描いたという。

 アイデア倒れだったニャ。ちゅ~るがいただけたからおれはよかったが。

 満足しただろう、もう出ますぞ。

 おれが外出できないもんで、相変わらず庭にはよその猫がうろちょろしている。時々晴れ間が出ると、おれの居間の近くにまで忍び寄る。

  あいつがゆったりくつろいでいる岩は、かつておれもよく乗っかったもんだ。小柄なやつだが、前はほんのちびだったからこれでも大きくなったうちだ。おれが網戸の手前から威嚇すると、いっちょ前にうなり声を上げるが、全然怖くない。

 鼻から口のあたりに茶色い模様がついて、それが変だと言って、飼い主のCは「変顔」と呼んでいる。

 ほら、こんなに近くまでやって来てる。もしかしたら、おれに弟子入りしたいのか。車に乗ってるところをツルハシで襲われたたけしさんのことを思えば、平和的ではある。

 おれもけっこうないいトシになってるので、昔みたくギャアギャア大声を上げて意地でも追い返すようなことはしない。こうやって、にらみを利かせていれば、外の連中もあきらめて帰っていくのが常じゃ。

 外をパトロールしたい気もあるが、昔ほど荒々しく脱出することもめっきり減った。人間界も自粛自粛でがまんしてるしニャ。

 と言いつつ、先日は久々に飼い主が閉め忘れたドアを目ざとく見つけて、ちょいと脱出したぞ。と言っても、庭の中の本来のおれのなわばりを静かに見て回る穏やかなものだが。他の猫に匂いを確認しながら、草の葉や枝をかむと、健康にも良い気がする。

 このあたりは、さっき紹介したチビ猫の「変顔」がやってくる場所だ。こうやっておれの身体をこすりつけることで、なわばりであることを主張しておかんとニャ。

 回転する身体の動きもなめらかだ。老いたりとはいえ、まだまだ気力体力とも充実している。猫界のキングカズはおれだ。

 最近、ネットでワクチンを打たれて痛がってるような猫の写真が話題になっているが、これはおれが痛がっているわけではないぞ。

 久々に外を歩き回って気分が上がっているので、飼い主のマヌケさを豪快に笑い飛ばしている図だ。

 ところで、お気づきの読者さんもいるかと思うが、アクセサリー嫌いのおれがバンダナを巻いている。いわゆる”ドロボー”柄にハチワレ猫の絵があしらってあるデザインだ。絞めつけられるような首輪は苦手だが、これはふわっと巻いてあるだけなので、抵抗が少ない。おれの男ぶりもさらに上がった、と好評だ。

 この商品についてはいずれ少し詳しく説明しましょう。

 さてさて、例によっておれの集中力もそろそろ限界、これにて失礼します。

 みなさん、コロナに十分お気をつけてお過ごしくださいましニャ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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