面倒くさい親戚は世間の窓口!? 子どもの頃の経験が大人になって役に立つ

今も昔も付き合いの面倒な親戚はいます。盆暮れ正月などに親戚達と会う機会が多かった人は、付き合いにうんざりした経験もあるのではないでしょうか? しかし、その親戚付き合いは実は貴重な「人間関係のトレーニング場所」だったのかもしれません。子ども時代の目線から思い出してみました。

子どもの頃に見た親戚達の集まり

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 現代の子ども達を見ていると、実に様々な家族の形が増えました。祖父母と同居している家族や両親がそろっている家族が逆に珍しがられるようになるとは、思いもしなかったのではないでしょうか?

 「え? 従兄弟はいるけど会ったことないよ。遠いし」娘の友人の中にはこんな子もいました。家族の形が変わって、祖父母や親戚達との付き合いが希薄になり面倒ごとは減ったのかもしれません。代わりに、癖のある大人や人との付き合い方を学ぶ機会も減ったのではないでしょうか?

 親戚達の集まりは大人も子どもも気を使う場でした。昭和世代にとっては、集まりがあればお母さん達が忙しく料理をするのを見ていたのではないでしょうか? 子ども達はそれを手伝ったり、従兄弟の中で年齢が一番上の子どもが年下の子ども達の面倒を見るのは暗黙の了解でした。

 子どもが親戚達の集まりの場でまず最初に学ぶのは、「誰が怖い親戚なのか」「誰が優しい従兄弟なのか」ではなかったでしょうか? ほとんど会えない者同士が、気分よく過ごそうと駆け引きする場だったのでしょう。

 「おう、〇〇君(従兄弟の父)。久しぶりじゃな! 全然会いに来んが会いに来るのが嫌か? 長男なんじゃからしっかりせなな~」
 「まぁええわ。遠くてよかったの! 言い訳できて」こんな風に大人同士では発言権の強い親戚がいたり、それに賛同する人や黙っている人がいたりしました。

 子ども達は大人の会話には極力入ってはいけない空気があり、言い返すのは厳禁でした。
 「こぅら! 大事な話中じゃ! あっちいっとれ!」
 「おやつあげるって言われたの…」
 「あっちにいっとれ!」このように間の悪さもNGになることも、こういった時に学んだのではないでしょうか?

お年玉には勝てない?

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 その他にも子ども達にとって、人間関係と金銭面を両天秤にかけるイベントもありました。
 「お正月の親戚の集まり、我慢すればお年玉がゲットできる!」と意気込んでいた人もいるのではないでしょうか?

 「いいか? 学校でいじめられたらな、襟首掴んでぶん投げてやれ!」と親戚。
 「えぇ!? (そんなん怒られるし、無理。でもお酒飲んでて怖いから返事だけしておこう…)」
 「勉強せぇ! なぁ? 頭のいい奴にはかなわんからな! ほら、お年玉! しっかり頑張るんだぞ? わかったか? 返事は?」
 「はい。ありがとうございました!」
 「よし!」

 その後物陰で中身を確認するまでが、子どもにとっての親戚付き合いの第一歩だったと覚えています。

大人になって役に立つ「コミュニケーションスキル」

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 親戚付き合いの中でも、要注意なのは「お酒の席」でした。特にお酒で激高するタイプの大人と長い愚痴を吐く大人です。
 「おれが言うことがわからないのか! あぁ!?」このタイプには、お酒を飲んだら近づかないのが最適解! と学習しました。翌日お酒が抜けると別人になる人もいたので、お酒との付き合い方を学ぶ場でもあったと思います。

 こういった経験が、社会人になってから役に立つ場面もありました。例えば、「癖のある上司や同僚」がいても、面倒な親戚の人と似たような癖を見つけられるためある程度対処ができます。他にも、「気難しい人には、誉めどころを探しながら違う話題を振る」や「案件は複数人で話をすることで、個人だけの責任になるトラブルを回避する」など。

 親戚付き合いが昔から多かった私の同級生は、誰にでも物腰柔らかに対応できるスキルが身についているためか、ほどんど愚痴もなく会社で仕事をしていました。

 十人十色と言われるほど、人はそれぞれです。それゆえ様々な人に合わせた「コミュニケーション能力」が必要になってくると思います。体得していくのは簡単ではありませんが、親戚付き合いを通してに限らず、今後子ども達が身につけていってくれたら強く育ってくれそうです。

(ファンファン福岡公式ライター/musukari)

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