ゲームもスマートフォンも使えない、山奥のキャンプ場での2泊3日。普段から家でゲームばかりする息子は、キャンプ場でも不満ばかり。電波の届かない山奥で息子が仕方なしに手に取ったのは、「アナログな遊び」だった!? 親子で得たデジタルに対する適切な付き合い方や新たな気づきに関する体験談です。
キャンプ場でも不満を漏らす息子

大型連休に家族で楽しみにしていたキャンプへ行くことになりました。キャンプ場に到着してテントを建てようと準備していたところ、
「Wi-Fiのパスワードなに?」と聞いてくる息子。
「ここのキャンプ場Wi-Fiないからゲームできないよ。一緒にテント建てよう!」と答えると、毎日のようにゲームをしている10歳息子は、
「せっかくゲーム機を持って来たのに、意味ないじゃん!」 とぶつくさ怒り気味。
「パパのスマホでYouTube見たい!」と夫のスマートフォンを持ち出しましたが、YouTubeも見れません。なぜなら今回私は、電波の届かない山奥のキャンプ場を選んだからです。
「なんだよ、このキャンプ場! つまんない!」そう言って息子はキャンプ椅子から足を投げ出し、とても不機嫌な表情をしていました。
アナログな遊びにハマる息子!?

息子が不機嫌になるのは想定済みでした。息子の怒りのゲージが下がった頃を見計らい、
「せっかくキャンプに来たんだから、これで一緒に遊ぼう!」と、持参したけん玉とルービックキューブを息子に渡しました。
息子は返事もせずにルービックキューブをいじくりだしますが、上手くいきません。けん玉も何回か挑戦しましたが、上手くいかずに放り投げる始末です。
デジタル機器が使用できないためその後も仕方なくアナログ玩具で遊んでいた息子ですが、初めてけん玉が皿に乗ったとき
「乗ったよ!!」と声を上げ満面の笑みを見せました。
「え! こんなすぐにできちゃうなんてすごいね!」と私が言うと、ドヤ顔で嬉しそう。はじめて上手く遊べたことを機会に、夫にもけん玉のコツを聞き入れ、なんとその日にけん玉を剣先に入れることにも成功したのです。
そのように目を見開いて夢中に取り組む息子の姿を久しぶりに見れて、私は嬉しかったです。ゲームやYouTubeなどのデジタル以外に楽しめる何かを見つけて欲しくてこのキャンプ場を選んだので、私の作戦は成功したと思いました。
アナログ遊びに沼った先に

キャンプ場での体験をきっかけに、息子はけん玉の魅力にすっかりハマった様子です。学校から帰宅すると、今までは自宅でオンラインゲームをしたり目的なくYouTubeを見続けていた息子が、けん玉をやっている友達と外で遊ぶようになり、放課後の楽しみが増えた様子でした。
もっとけん玉が上手くなりたいという気持ちが強くなった息子は、YouTubeでけん玉のコツや技を熱心に勉強し始めました。結局は現在もYouTubeという「デジタル機器」を使って、けん玉が上手になる方法を調べています。
完全なデジタル断ちは不可能だったが…

息子にデジタルデトックスをさせたくて電波の届かないキャンプ場を選びましたが、デジタルネイティブ世代である息子にとってデジタル機器は生活の一部であり、完全に切り離すことは不可能でした。
しかし、現在息子はYouTubeがいつでも視聴可能な普段の環境の中でも、けん玉が上手な人のチャンネルを熱心に見ては腕前をあげています。以前の私なら
「またYouTubeダラダラ見て!」と思っていましたが、目的のあるYouTube視聴は良いと感じるようになりました。
何かを上達させるための方法を学んだり、試行錯誤して熱心に練習する過程は子供が習い事に行き上達することと同じです。YouTubeをただ漫然と見るのではなく、「けん玉の上達」という目的を持って利用している息子を見て、デジタル機器の上手な利用方法を学んでくれたと感じています。
デジタルデトックスは完全にデジタルを使わないことではなく、デジタル漬けにならないよう適切な距離感を保ち、目的を持って有効活用することだと気づかされました。親である私も、デジタルの利用方法を見直して適切に使用していこうと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/いとう まな)


