単刀直入に言いましょう、息子が救急車に乗りました。安心してください、息子は無事です。ですが私の中では心をザワザワさせる一件でしたので、ぜひ共有させてください。
夫と息子を残して仕事へ
その日はよく晴れた日でした。日曜日でしたが夫に3歳になったばかりの息子を任せ、私はスーパーのパートへと出かける準備をしていました。連日雨が続いており、夫と息子は久しぶりの晴れにワクワクしながら窓の外を眺めます。
大の乗り物好きな息子のためにバスに乗り、いつも行く公園より遠く広々した公園に行くと、お弁当を持たせ出発しました。2人の出発を見送って私も職場へ向かいました。
職場に電話が

日曜日のスーパーはいつも開店前からバタバタしていて、時間に追われながら働いています。やっと午前中のピークが落ち着きそろそろお昼休憩に入ろうかという頃、店長に呼ばれ
「旦那さんから電話が来たよ、なんか焦ってそう」と言われました。
私はドキッとしながらも急いで電話のある店長室に駆け込み、受話器を取りました。
「もしもし、私だけど… どうしたの?」
「じ、実は… 救急車乗って今病院に来たんだ」かわるやいなや夫が言いました。
「救急車?! どういうこと?!」と思わず声を上げてしまいました。続いて部屋に入ってきた店長にも聞こえたようで、驚いてこちらを見ています。
「◯◯くん(息子)が公園で怪我して、救急車呼んだんだよ。今病院にいて、結構血が出て、止まらなくて」と続いて夫。不安からか言葉がまとまらないようです。普段は物腰が柔らかい夫ですが、話し方から電話越しでも焦っている様子が伝わります。
「血は救急車の中で止めてもらった、今CT検査をしてもらってるんだ」と言うので私は店長に事情を説明し仕事を早退させてもらい、すぐに病院へ向かうことにしました。急いで乗り込んだ車、ハンドルを握る手が震えてエンジンをかけるボタンすら押し損ねました。
もし脳に何かあったら、打ちどころが悪かったらと不安がよぎります。とにかく考えても仕方がない、と深呼吸をして出発します。救急病院までは30分ほど、これほど長く感じた運転はありませんでした。
病院の駐車場に到着し、急いで警備員さんに説明をして通してもらいました。休日の病院の廊下は薄暗く静まり返っており、いつもと違う光景が余計に不安を掻き立てます。救急外来の看板を見つけると、椅子に座る夫と息子がいました。
病院で息子と再会、息子から意外な言葉が?!

「◯◯くん!(息子) 大丈夫?!」と思わず駆け寄ります。息子は私の声に振り向き、ネットを被った頭でこちらに向かってきました。ドラマでしか見たことがなかったネット頭の姿に心を痛め、ぎゅっと抱きしめます。
「一緒にいられなくてごめんね、痛かったね、頑張ったね」と背中をさすると、息子から意外な言葉が返ってきました。
「ママ〜、救急車かっこよかったよ〜」
先ほども書きましたが、息子は大の車好き。特に救急車は1番好きな車なのです。自分は怪我して血が止まらないと言うのに、大好きな救急車に心躍らせて乗ったようです。
夫に詳しく聞いたところ、公園でしばらく滑り台を楽しみ、近くのベンチで休憩するために歩いていたそうです。木製の階段で足を滑らせ転んだ先に根っこが生えており、頭をぶつけてぱっくり。深めに切れたので血が止まりにくかったようです。幸い、CT検査でも異常がなく、2週間ほどでガーゼも取れて今では元気に過ごしています。あの時、咄嗟に救急車を呼んでくれた夫に感謝ですが「救急車」と聞くだけでドキッとする体験でした。
(ファンファン福岡公式ライター/「もずく」)


