娘は、筋金入りの眼鏡っ子。彼女は1歳の時に斜視と遠視・弱視が判明し、それ以来ずっと眼鏡生活を余儀なくされています。見知らぬ人に「かわいそう」と言われることも多く、親としては正常な目に産んでやれなかったことをずっと心苦しく思っていたのですが…。電車で出会ったマダムの一言に救われ、思わず涙してしまった体験です。
生後半年頃に気づいた内斜視
娘が生まれて半年頃から、右目が内側に寄るようになったことに私は気付きました。1歳になる頃にはハッキリと黒目の寄りが分かるようになり、大学病院で検査してもらった所、斜視だけでなく弱視と遠視もあることが判明。結果、「調節性内斜視」と診断がつきました。
乳幼児期の斜視手術には「両眼視機能の回復が見込まれる」といったメリットの一方、「全身麻酔のリスク」「再発の可能性」といったデメリットもあります。私たち夫婦は何軒か病院を回り、最終的に手術はせずに矯正用の眼鏡を装着させて経過観察することに決めたのでした。
眼鏡生活スタート! しかし…
当時の娘はわずか2歳。イヤイヤ期も重なり眼鏡装着を(当然ですが)とにかく嫌がりました。治療のために眼鏡をさせないと、と思うもののなかなか装着してくれなかったり、雑に触っている内にフレームが曲がってしまったり…。
また、眼鏡をかけた娘を連れていると
「こんなに小さいのに眼鏡なんてかわいそうね」
「まだ幼いんだから眼鏡なんてしなくても…」等と見知らぬ人に言われることも頻繁でした。移動中にグズる娘をなだめようとスマホや絵本を取り出すと
「だから目が悪くなるんだよ」と言われたことも。
いま振り返ると、「娘に辛い思いをさせているのは私のせいだ」と毎日のように思い、完治するか分からない日々にノイローゼ気味だったように思います。
心が折れそうになっていた眼鏡生活と、素敵マダムの一言
そんなある日、ようやく眼鏡にも慣れてきた娘と電車でお出かけしていた時のことです。電車の座席におしゃれなスカーフを巻いて色付き眼鏡をしたご年配の女性が座りました。
そして、くるっと娘の方を向き
「あなた素敵な眼鏡ね! よく似合っているわ。私も眼鏡なのよ、お揃いね~」とほほ笑んでくださったのです。
初めて眼鏡を褒められた娘も大喜びでニコニコ! それにも関わらず私は
「でもこんな小さな子に眼鏡なんて…」と、いつも言われている台詞をつい口にしてしまいました。するとその女性は、
「何言ってるの! こんな小さな子どもの目の異常に気付いてあなた病院に行かれたのでしょう。母親として素晴らしいことですよ、胸をはりなさいな。視力や眼力は早期発見すればするほど回復しやすいのよ、誰に何を言われても気にしちゃダメよ」と、仰ったのです! 私は理解あるその優しい言葉に思わず涙してしまったのでした。
乳幼児が眼鏡を着用していたら「かわいそう」と言わないで!
当時はあまり見かけない乳幼児の眼鏡装着でしたが、最近では割に見かけるようになりました。早期発見・早期治療が浸透してきたのだなあと見かけるたびに嬉しく思います。
そんな娘も今はもう7歳。弱視・斜視はほぼ正常値内に回復し、遠視もごく軽度となり治療は無事終了を迎えました。
あの時のマダムにもう一度会えたら…、あの言葉のおかげで数年にわたる治療を親子で乗り越えることができたのだと、心からの感謝を伝えたいなと思う今日この頃です。
(ファンファン福岡公式ライター/Amy)