子どもに「怪我はつきもの」とよく言われますよね。はじめての大怪我の時、私は頭が真っ白になってしまいました。これは、4歳の息子が救急搬送された時のエピソードです。
親戚が集まって息子の誕生日会
わが家では、県内に住んでいる私の両親、姉一家と集まって子どもたちの誕生日会を開催しています。0歳~5歳の子どもが総勢5人の、とてもにぎやかな会になります。
息子の4歳の誕生日会は、いちばん広い姉の家で開催されました。昼食ができるまで、子どもたちは室内テントで遊んでいました。みんなで楽しそうにおままごとをしているのを、私は料理をしながら見ていました。
だんだん子どもたちのテンションが上がってきて、きゃーきゃーじゃれ合いをしているようなので、そろそろ止めに行かなければと思ったその時…
「いたーい!!」息子が大泣きでテントから出てきました。
なんと額からは大量の血が流れています。じゃれ合っているうちにどこかにぶつけたようです。とりあえず止血を、とタオルで押さえますが、どんどんあふれ出てくる赤い血。よく見ると、ぱっくり割れた額からは白い骨がのぞいていました。
救急搬送することに
「いたい、いたい」と泣きじゃくる息子といっこうに止まらない血。他の子どもたちも不安になり、泣き出してしまいました。さいわい、姉夫妻が子どもたちをなだめてくれ、私の母が息子に
「大丈夫だよ、大丈夫」と声をかけ続けてくれていました。
私は半分パニックになりながらも救急車を呼びました。救急車に乗り込む頃には少し落ち着き、むしろちょっと嬉しそうな息子。救急隊の方は、息子を安心させようと救急車の中を紹介してくれて、私にも
「お母さんもびっくりしましたね、もう大丈夫ですよ」と声をかけてくれました。急にほっとして、溢れる涙をこっそり拭いながら、息子を抱いて救急車に揺られていたのを覚えています。
病院でも先生の処置が見事で、息子は泣かずに縫合を終えました。ようやく息子に元気が戻り、姉の家に帰り着いた時は本当に安心しました。
この日唯一の救いだったのは、頼れる大人がたくさんいたことです。下のまだ小さい子たちをお願いすることができたのはとても助かりました。こんなことが私1人の時に起きたら… と思うとぞっとします。
保険証忘れによる代償も…
搬送された病院は、自宅からだと電車で往復3時間の距離。まさかこんなことになるとは思っていなかったので、保険証や医療証は持ってきておらず、現金も必要最低限しか準備していませんでした。隣のコンビニATMに走り、なんとか処置費の3万円を支払いました。
後日保険証を持参すれば返金されるとのことだったのですが、4歳になったばかりのやんちゃな息子とイヤイヤ期真っ只中の2歳の娘、まだ0歳の娘を連れて3時間の電車移動はとても大変でした。この事件があってからは、ちょっと公園に出かけるだけでも、保険証と医療証は必ず持つようにしています。
息子の傷は1カ月で治療が終わり、1年経った今では傷跡もほとんど目立たなくなりました。息子は、
「きゅうきゅうしゃにのって、しゅじゅつしたんだ」と少し誇らしげな武勇伝として記憶されているようです。私も、優しく励ましてくれた救急隊の方と病院の先生への感謝の気持ちは忘れません。
大人がたくさんいる時は、「誰かが見ているだろう」とつい気を抜いてしまいがちですが、そんな時こそ気をつけて子どもを見守ろうと心に誓った出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター/demi)