私は40代の主婦です。子どもが幼稚園の頃、行事にどの程度参加したらよいのか、ママ友との関係に悩んだことがありました。その思い出の一つがバレンタインデー。私が体験したエピソードをお話します。
増えるママ友行事
娘の入園と同時に、ママ友との仲が深まり、行事に参加する機会が増えました。親同士価値観を探り合ったり、戸惑うこともありましたが、子どもが楽しむ様子はとても嬉しかったです。
そんな中、毎年ちょっと心に引っかかるのがバレンタインデー。私は幼稚園、子ども会、習い事などで娘にチョコを配らせることはありませんでした。
以前、仲の良い友人から
「息子がもらうチョコのお返しをすることに、負担を感じている」という話を聞いたことがあり、私もその意見に賛成だったからです。
ママ友が家にやってきて…
ある年のバレンタインデー前のこと。幼稚園のママ友のリーダー的存在、Aさんに
「チョコを配らない理由があるの?」 と言われたことがありました。
Aさんは3姉妹のママで、バレンタインやクリスマスなどの行事を盛大に主催しているので
「チョコをもらった人に負担をかけるのが嫌だから」とは言えません。
「作るのが苦手で、忙しくてお店にも行けないから…」と無難に答えておきました。
すると、バレンタインデーの前日、なんとAさんが突然うちにやってきたのです!
「チョコ、あなたの分も作って来たわよ!」と。
もらった袋には、チョコが一つ一つラッピングされて、配れるようにセットされています。
私は、きちんと言うべきだと思い
「ありがとう。でも来年からは遠慮しておくね。うち、お友だちにはチョコは配らないでおこうって決めてるの」と言いました。
するとAさんは
「せっかく作ってあげたのに! 女の子の親がそれでいいの? ママ友からも外されることになるかもよ!」と言うと怒って帰ってしまいました。
Aさんが押し付ける価値観にカチン!
バレンタインデー当日。娘と習い事へ行く途中に公園を通ると、Aさんを中心に8組くらいの親子でチョコ配布会が行われていました。
「何してるの?」娘が友だちに駆け寄っていきます。
すかさずAさんが、敵視するような表情で娘に言いました。
「あなたには関係のないことよ。女の子なのにチョコを配らないなんてね!」娘はきょとんとしています。
さらにAさんは続けます。
「チョコがない女の子は参加できないの!」
もう今後の付き合いなんてどうでもいい、一言文句を言ってやる! と私が前へ進もうとした時、他のママ友が言いました。
「配る配らないは自由だよね? 実は私、経済的な理由で、来年からは辞退したいんだ!」
Aさんが何か言おうとした時です。また別のママ友が
「毎年高価なお返しをもらって申し訳ない。お互い負担になってる気がして… みんなはどう?」と問うと、なんとAさん以外が同調。
Aさんは
「あ、あら、偶然ね、私も負担になっていたの。そ、そうね、来年からやめましょう!」としどろもどろに答え、子どもをひっぱって帰っていきました。
他のママ友の勇気ある発言によって、頭にカッと上った火がすっと消えていく感覚を感じました。残ったメンバーで相談し、翌年からバレンタインデーはホワイトデーとセットで計画し、チョコもお返しも予算を決めささやかにすることに。
親子で楽しめるようにすることにしました。
子どもが小さい頃の行事には、どうしても親の価値観や金銭事情が関係します。押し付けることなく、ほどよく楽しめることが大切だと痛感した出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター / takase)