「春」と「日」の文字を市の名前に持つ福岡県春日(かすが)市。新年度や新入学など「始まり」の季節でもある「春」にちなみ、ワクワクするようなまちをつくろうというブランドイメージ「みんなで春をつくろう」に2018年から取り組んでいます。2020年度からは、子どもたちの夢を応援する「KASUGA KIDS DREAM」企画がスタート。「春日市の宝は人」と話す井上澄和市長にお話を伺いました。
地域の協力で、憧れの職業を小学生が体験
―小学生が憧れの職業を体験し、その様子を動画で紹介する「KASUGA KIDS DREAM」。始めたきっかけは何でしょうか。 井上市長 春日市は、夢に向かって頑張る市民を応援する「KASUGA DREAM」というプロジェクトに取り組んでいます。「KASUGA KIDS DREAM」はその第2弾で、子どもたちの生き生きとした姿はまちを明るくするという思いからです。職業体験ですので、この企画には地域の方々のご協力が不可欠ですが、春日市には地域で子どもを育てようという風土があり、力強い応援団となっています。
2021年3月上旬に公開した「KASUGA KIDS DREAM」の動画「#1ケーキ屋さんになりたい」。児童が洋菓子店で菓子作りを体験しました。
協働のまちづくり、原点は20年続く「出前トーク」
―なぜそうした風土があるのでしょうか。 井上市長 福岡市に隣接する春日市は、昭和50年代から人口が飛躍的に増え、現在、約11万3,000人が暮らしています。新住民が増え、転出入も多いことから、地域の連帯感が薄れてきているのではないかと危惧する声もありました。そこで2001年から市内35地区の自治会で市民と意見交換する「出前トーク 市長と語る」を始め、現在も続けています。「出前トーク」は地域の身近な問題から市の将来の姿まで、自由に語り合う場になっており、協働のまちづくりの原点となっています。
先駆的な取り組み「コミュニティ・スクール」
春日市には、地域と家庭、学校が一体となって子どもたちの教育にかかわる「コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)」という先駆的な取り組みがあります。 井上市長 市民と行政が信頼関係を築いていく中で2005年に、学校と家庭、地域が一体となって子どもたちを育てようという「コミュニティ・スクール」の取り組みが始まりました。学校の運営に地域の方々の声を生かすとともに、学校・家庭・地域がそれぞれの役割や責任を果たしながら「共育(共に育てる)」に取り組んでいます。自治会など地域の方々が汗を流して子どもたちの育ちに関わっていただき、子どもたちも餅つき大会や清掃活動をはじめ地域の行事に参加するなど、双方向の動きも起きています。
いろいろな花を咲かせる市民の活動を行政が応援
―春日市は2022年4月に市制50周年を迎えます。目指す姿は。 井上市長 「協働のまちづくり」という花を市民の皆さまとともにさらに咲かせていきたいと思います。市内では、高齢者のためのサロンや子ども食堂など地域の方々によるさまざまな取り組みが行われています。行政と市民は対等なパートナーとしてこれからも共にまちづくりに汗を流していきたいと思います。