「更年期以降の気になる婦人科の病気」について専門医がアドバイス【青葉レディースクリニック】

一般に「更年期」とは、閉経の前後5年間を言います。日本人の平均的な閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳代前半、遅い人では55歳近くで閉経を迎えることも。今回は更年期以降の気になる婦人科の病気について、青葉レディースクリニックの小松一先生にうかがいました。

出典:西日本新聞
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【産婦人科専門医】青葉レディースクリニック 小松一 先生

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 九州大学病院総合周産期母子医療センターを経て2007年5月、青葉レディースクリニックを開院。2010 年6月には医療法人の承認を得て、現在はマタニティヨガ、離乳食教室、母親教室なども行う。患者との対話を重視し、安心・安全な診療を心がける。

更年期の症状の陰に別の疾患が隠れているかも 専門医の見極めが肝心

閉経の訪れ方は人によってさまざま

 一般に「更年期」とは、閉経の前後5年間を言います。日本人の平均的な閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳代前半、遅い人では55歳近くで閉経を迎えます。  閉経が近くなると卵巣機能が低下するため、多くの方は月経不順、経血量が少なくなるなどの月経異常を経験しますが、突然、無月経となることもあります。無月経が1年間続くと、医学的には「閉経した」と診断しますが、閉経後、更年期障害の症状や突然の出血に驚いて、慌てて婦人科を受診される方も少なくありません。今回は更年期以降の気になる婦人科の病気について、お話しします。

更年期症状には心理的因子・環境因子も関与

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 更年期の症状は多彩で、程度もさまざまです。[セルフチェック]のような症状に思い当たる場合は、ご相談ください。    診断にあたって、これらの症状がほかの病気によるものではないことを確認することが重要です。そのため、検査では子宮がん検診、超音波検査などの一般的な婦人科検診に加え、血圧測定、検尿、心電図のほか、実際に女性ホルモン(エストロゲン)が低下しているかどうか、また、甲状腺ホルモンの分泌状態や肝機能、貧血などを調べるため、採血も行います。また、成育歴や性格などの心理的因子、生活習慣、職場や家庭におけるストレスなどの環境因子が関与することも多いため、詳細な問診も大切です。  治療の選択肢としてはホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、睡眠薬、向精神薬などの投薬が検討されます。

「子宮頸がんは 40 代から」は昔の話。若い方も高齢者も油断せずに検診を。

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若年女性が罹患するがんの1位は「子宮頸がん」

 子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんと呼びます。子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。以前は発症のピークが40〜50歳代でしたが、最近は20〜30歳代の若い女性にも増えて、若年女性が罹患するがんの中で1位となってしまいました。  子宮頸がんの発症には、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が必須であることが、1980年代前半に明らかになりました。このウイルスは、性行為によって子宮頸部に感染し、持続感染することがあります。日本人を対象とした調査では、一般女性の60%以上にHPVの感染歴があるものの、約90%の人は自分の免疫の力が働き、ウイルスが排除されることが判っています。  一方、排除できなかった約10%の女性のうち、子宮頸がんの高リスク型HPVに持続感染(=キャリアと言います)すると、前がん病変である異形成が発生。子宮頸がんに進行する危険性が高まります。  したがって、閉経するまで定期検診を受け続け、一度も異常を指摘されなかった方はあまり心配する必要はありませんが、前がん病変の異形成と診断されたことがある方は、閉経後も定期検診が必要です。

「子宮体がん」が高齢の方に見つかることも

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 超音波検査を行って、閉経しているのに子宮内膜が厚く、お産の経験がなく、肥満傾向、糖尿病などがある方には、子宮体がん検診も併せて実施します。高齢女性の場合、子宮内に古い血が溜まった「子宮留血症」が原因のこともありますが、子宮体がんが見つかることもあるので、注意が必要です。  閉経後、子宮がんでなくても性交渉後に腟の疼痛と出血をきたすこともあります。その際には女性ホルモン剤の腟内投与や、少量の内服治療を行います。帯下(おりもの)が多く臭いが認められる場合は、細菌によるびらん(ただれ)が原因なので、まず腟内の洗浄消毒を行い、改善が認められなければ薬剤やレーザーなどでびらん部位を焼灼します。

青葉レディースクリニック

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