2022年の確定申告にはいくつかの変更点があります。今年の提出期限は2月16日~2022年3月15日であり(※国税庁 確定申告・還付申告|参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm)、スムーズな申告のためにも内容が変更された部分には注意が必要です。そこで今回は、押さえておきたい変更点をファイナンシャルプランナーの川畑がピックアップして解説します。
確定申告書など税務申告書に押印が不要になる
2022年の税制改正により、税務関係書類への押印が不要になりました。これには確定申告書のほか、青色申告決算書なども含まれます。これにより、押印がないため不備になるといったことがなくなるほか、押印する手間が省けます。
確定申告書に「区分」欄が追加される
確定申告書における事業所得と不動産所得、雑所得の収入に「区分」欄が追加されました。具体的には以下のとおりです。
申告書Aと申告書Bの違いとは
「申告書A」とは、給与所得や雑所得などの申告に使われます。「申告書B」と比較すると簡易版になっています。
具体的に「申告書A」は、給与所得や公的年金、配当所得、一時所得、そのほか雑所得がある場合に使用します。例えば、会社員で医療費控除を受ける際や、住宅ローン控除を受ける場合には申告書Aで手続きが可能です。
一方「申告書B」は記入項目が多く複雑であるものの、誰でも使用が可能です。青色申告などがある個人事業主は申告書Bを選ぶことになります。また、会社員であっても副業などで事業所得がある場合は「申告書B」を使用することになります。
「申告書A」で済ませられる場合はその方が楽に申告手続きができるでしょう。
各収入の区分欄の内容
事業収入および不動産収入の区分欄では、帳簿が電子方式か紙方式かといったことを選択します。雑収入の区分欄では、保有する暗号資産(仮想通貨)や個人年金による収入があるかどうか確認を行います。
e-TaxでICカードリーダが不要になる
2022年1月より、マイナンバーカード方式によるe-Tax送信が便利になりました(※国税庁 所得税|参照元:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/r3_)。具体的にはPC上で表示される2次元バーコードをスマホで読み取ることでe-Taxの送信が完了します。これにより、従来必要であったICカードリーダや事前のPC設定が不要になりました。
確定申告でのふるさと納税の手続きがより簡単に
寄附金控除に該当するふるさと納税は従来、寄附した自治体すべてから寄附金の受領書を送ってもらう必要がありました。しかし、2022年の確定申告より寄附金の受領書だけでなく、「寄附金控除に関する証明書」も認められることになりました。
「寄附金控除に関する証明書」とは、指定業者が発行する書類です。指定業者とは、例えば「ふるなび」や「さとふる」などふるさと納税サービスを展開している業者です。指定業者が発行する書類が認められたことで、自治体から受領書を送ってもらう必要がなくなり、手続きが簡素化されます。
住宅ローン控除の期間延長と床面積の要件緩和
コロナ特例として、新築住宅は2021年9月末までに、分譲住宅は2021年11月末までに契約し、2022年12月末までに入居すれば13年間の住宅ローン控除が適用されます。
住宅ローン控除が適用される要件の1つである床面積については、上記の期限までに取得しており尚且つ所得金額が1,000万円以下、もしくは床面積が40㎡以上50㎡未満であれば適用可能です。(※国土交通省 住宅ローン減税|参照元:https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000164.html )
変更点に注意して2022年の確定申告を
マイナンバーカード方式で申告書を作成する場合や、ふるさと納税をしている人は2022年の確定申告からより便利に手続きができるようになりました。
これからも書類の電子化やスマホを活用した手続きなどが一層進むことが予測されます。事前にご自身の環境が整っているか確認しつつ、簡素化されたシステムを最大限に活かして確定申告をしていきましょう。
(ファンファン福岡公式ライター/川畑彩花)