きょう3月2日はおれの日「サ日記」

 3月になってあったかくなってきましたニャ。喜んどるサニです。

 きょうは、3月2日ということで、いつどこで生まれたかわからないおれのために、飼い主が「サニの日だから誕生日でよかろう」ということにしてくれた。まあ、ありがたい。

 13歳くらい、らしい。といいかげんな感じだが。 

 とにかく読んでいるみなさん、おれのために祝って下さい。

 誕生祝いのつもりか、きのう何か届いたぞ。

 「ねこじゃすり」という猫をなでる道具だという。ねこじゃらしとやすりを組み合わせた造語のようだ。猫の舌を模しているので、毛づくろいをしているかのように気持ち良いとのこと。おれをなでつけて、「気持ちよかろうが」と言う。

 おれへのプレゼントというわりには、チョビもなでてやっている。こいつはまださわられるのに慣れていないから、おっかなびっくり、警戒している。

 きのうもチョビ母らしき猫が来てずっと座って見ていたぞ。コロナ禍でガラス越しに対面しているわけではない。戸を開けると、チョビもおれも脱走するからだ。

 昨夜は久しぶりに界わい一の大猫、クマもやって来てガラス戸の中をのぞきこんでいた。大きなうなり声を上げて来るからすぐわかる。以前おれが追っかけて戦い、ケガをさせられたことがあったが、その頃より一回りデカくなっている。相変わらずあちこちでケンカを売るのか、身体じゅうあちこち傷だらけだ。

 よくよく見ると、右耳が「さくら耳」になっている。これは去勢して「地域猫」になった証しではないか。誰か近所の人が捕まえて病院に連れて行ったのか。

 あまり認めたくないが、野良にしては色つやが良く、筋骨隆々としている。地域猫になったのだから、少しは温厚になって欲しい。

 チョビもさくら耳になったが、地域猫にならず、なんとかこの家にとどまっておる。病院に連れて行った飼い主はひと月ほど家に置いてみてどうしても慣れなければ、外に戻すつもりだったらしいが、こうやって居間で香箱座りをするまでにリラックスしている。もう3か月経った。

 ほら、パソコンの上でも香箱座り。おれの猿真似(猫なのに)ばかりするチョビだが、パソコンの上に乗るのは狭いスペースに収まりたがる猫の性分で、おれの専売特許ではない。

 飼い主のNは、かつて「1日1アマゾン」を誇ったネット買い物好きだが、最近は高じて「1日3アマゾン(クロネコや佐川などもあるが、ここでは一括りに「アマゾン」という)」になったり、影響を受けた他の飼い主も色々取り寄せるので、段ボール箱に事欠かない。おれが狭い箱に入っていると、チョビまで入って来て迷惑していたら、たちまち2つ用意された。

 さらに、「2匹一緒に入っている様子が見たい」と勝手なことを言い出して、かなり大きな箱に変わった。チョビは喜んでるようだが、おれは落ち着いて眠れない。チョビは身近にきょうだいがいないせいか、いいトシしたおれにきょうだいのような遊び方を求めて困る。取っ組み合いを挑んで来るのはなんとかならんか。

 おれはこんなふうに、手足を伸ばしてゆったり眠りたいのだが。

 チョビは子どものせいか、おれほどは眠らない。目をらんらんとさせていることが多い。

 すきあらば、おれをたたき起こして暴れようと虎視眈々と構えている。

 箱から出てこないおれにしびれを切らして、腹が空いたとアピールを始めた。

 ニャアニャア鳴くこともあるが、黙って健気に待っているのを飼い主が好むことを覚え、こうやってじっとしている。

 そうこうするうち、おれも空腹で目が覚めた。こういうときは、徒党を組んで無言でじっくり訴える。

 「もうきょうは十分えさやった」とかたくなだった飼い主が根負けして動き始めた。

 ついに、ちゅ~るにありついた。いやたまらんね。

 ケソケソしたチョビがよくおれが1本舐め終わるまで待てたな。このうれしそうな顔。

 さあ、きょうは誕生日だから特別に2本いただけますかニャ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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