「コロナで就職活動が難しくなった」「これからどんな世の中になるかわからない」という漠然とした不安を抱える人も多いかもしれません。本記事の筆者であるアブローダーさんも、コロナの影響を受けて、自分の「働き方」を考え直すきっかけになったと話します。今回はアブローダーさんが、福岡の「若い世代」がどんなことを考えて、どう行動に移しているのかを実際に大学生と会話をしてきました。
福岡の学生起業家にインタビューをしてみた
今回インタビューをしたのは「Navi-raz(ナビラズ)」という企業情報メディアを運営する現役大学生の砂畑龍太郎さんと大塚千尋さんです。 取材現在、お二人は福岡大学の商学部4年生です。「あること」がきっかけとなり、チームで起業されたとのことでした。 何がきっかけで行動するようになったのか。また起業するまでどのようなことがあったのか伺ってきました。20代の若者が、今どんなことを考えているのか聞いてきたことを踏まえ、率直に主観でまとめます。
どの世代も感じる将来への不安
今や誰もが将来に何らかの不安や悩みをお持ちなのかもしれません。コロナ禍だからこそ、1年後すらどうなるかわからないのは言うまでもありません。特に、大学生から社会人になろうとしている世代は、もっと漠然とした不安を抱えています。 「これから企業に就職できるだろうか」「ブラック企業やパワハラ上司に当たらないだろうか」「そもそも就職すること自体が外れなのではないだろうか」と悩みは尽きないはずです。
今回対談させてもらった学生のお二人にも、多少なりとも小さな不安や悩みがあるようでした。ただ、普通の学生と違い「清々しい顔」をされていました。むしろ、不安を上手くエネルギーに変えて行動に移されていたのです。
「将来への不安」を解消する行動
対談の中で一番印象的だったのは「不安がある」という言葉でした。お二人とも将来への不安があるからこそ、起業という選択肢に行き着いたようです。「コロナ禍といわれる今の世の中、2、3年先すらどうなるのかわからない」という思いがあるとお話しされていました。この漠然とした見えない不安を解消すべく行動をしているようです。
僕が二人から感じたのは「大人に騙されず、自分で将来を決めたい」ということです。既存の就職活動にあるような大手就職斡旋企業が開催する合同説明会や就職活動ナビなどの「大人がビジネスで作ったレール」ではなく、「自分たちで作った道」を試してみたいという感情が強いのだろうなという印象です。 お二人が手がけている「企業情報メディア」では、就職活動や社会人になるために必要なリアルな情報が投稿されています。「大学生の目線」で大学生が自ら作る大学生のために必要な情報サイトです。また気になる企業に直接出向いて、丁寧な取材をして、企業情報を発信するメディアとして運営されています。
要するに、就活という「大人が作ったレール」の上を通るのではなく、自分たちで不安を解消しながら「自分たちのレール」を新たに作る行動をしているようでした。漠然とした日本社会への「危機感」や「将来への準備」の一つとして行動を起こされた結果が起業という選択肢につながっているのです。彼らにとって起業は手段の一つだったわけです。
経験をビジネスでアウトプットする
もっというと、より先の未来を描いている印象を受けました。「コロナで2、3年先が全くわからない」からこそ、今できることを「試している」感覚に近いです。 そもそも「就職すること自体は安定ではない」からこそ、今の自分たちにできることをやり尽くしているようでした。例えば、彼らはフクリパでライターを経験しています。このライター経験を活かして、自分たちの企業情報メディアのコンテンツを増やしたり、広告掲載をしてもらうための営業活動をしています。
他にも大学で学んだ経営学を自分たちのビジネスに応用しているそうです。「ライターや取材経験」、「大学で学んだ経営学」を使って、自分たちのサービスを作っているとのことでした。これまでの20年間で培ってきた経験やスキルをビジネスでアウトプットしているわけです。
起業はただの手段
砂畑さんいわく「起業はただの手段でした」とのことです。起業して大金持ちになるというような目的ではなく、学んだことをアウトプットしたカタチが企業情報サービスの運営につながったそうです。 学生は「自由な時間」があります。ひたすらバイトする時間に使ってもいいし、友達と飲み明かすのもいい。自由に好きなことに時間を使えるからこそ、せっかくなら「実益」につながる活動をしたいと行動されたとのことでした。
「起業」や「ビジネスの立ち上げ」と聞くと、「大きなこと」だと考える人も多いです。ただ、彼らにとっては、ただのステップであり、結果として起業しただけに過ぎないという印象を受けました。ただ単純に面白い「趣味」に没頭しているイメージすら感じられました。
売上をアップさせることよりも問題の解消
こうなると、僕からすると、どうしても「お金」の話が気になってしまいます。このビジネスが本当に成り立つのかどうかです。ただ、お二人の話を聞く限り「お金」よりも「問題解消」に重きを置いているようです。近いうちに、数千、数億円もの売上を目指すのではなく、ビジネスを運用する上で必要最低限の資金があればよいという構えです。 もちろん、売上がなくていいということでもなく、より現実的なマネタイズ案を持たれていました。学生起業のビジネスモデルだからこそ、福岡大学や大学の就職支援相談所、ならびに、福岡の中小企業サポートセンターなどとの関わりが持てているそうです。業務提携できる見込みもあるなど、いくらでもビジネスを堅実に広げられるようでした。
既に3社から契約をもらっているそうです。今後、より具体的に取材を重ねていきながらメディアとして本格運営されるとのことなので何も心配がいらない様子でした。
若い世代のニューパワー
自分よりも若い20代前半の学生に会って感じたのは「リアル感」です。抽象的な漠然とした夢はお話されませんでした。より現実的で具体的な話です。2、3年先すら全くわからない時代だからこそ、より確実に達成できる目標ややることを着実にこなす堅実さを感じました。
「NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ」の著者、ジェレミー・ハイマンズさんらがいう「古い考え方から新しい考え方」にシフトしている「ニューパワー」の考え方のように、利益拡大から自己実現へ重きを置いているようです。今回対談したお二人から「ニューパワー」を感じました。 また「ニュータイプの時代」の著者、山口周さんのいう「従順で、論理的で、勤勉で、責任感の強い人が優秀な人材であったオールドタイプ」から「自由で、直感的で、わがままで、好奇心の強い人材であるニュータイプ」に価値が変化していることと同じ「ニュータイプ」を体現しているような印象です。 対談を通して「若い世代」が、より自由で新しく、直感的で現実を見た思考で、冷静に物事を、世の中を俯瞰しているような印象を受けました。もちろんこうした学生は稀でしょうが、今後はより「ニューパワー」や「ニュータイプ」の流れに時代は変化していくのだと感じました。
世の中はまだまだ何が起こるか読めない「不安」がつきまとっています。誰もが将来に何かしらの悩みがあることは否めません。今回対談させてもらった学生のお二人のように、不安を感じながらも「行動する」ことが最善の策になるかもしれません。僕もお二人を見習いながら、行動せねばと感じました。堅実に着実に前に進まれているお二人を素直に応援したいと思いました。 文=アブローダー
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