引っ込み思案な息子。幼稚園に入園して間もなくは、積極的にお友だちの輪に入れず、砂遊びを遠慮していました。ようやく慣れてきたある日、泥んこで遊んでくれたことがうれしくて「良かったね!」と言った時、側にいた女性に思わぬ言葉を掛けられました。
泥だらけになるのが苦手な息子
息子が幼稚園に入園して間もない時の話です。息子の通う幼稚園はキリスト教系で、教会関係者もよく出入りしています。 息子は、砂遊びが大好きだけれど、洋服がぬれたり、手が汚れたりするのが苦手。おまけに、引っ込み思案な性格で、1カ月たっても、幼稚園になかなかなじめずにいました。
先生からも、砂場で遊ぶお友だちをただ眺めているだけだと聞いていたので、私はずっとやきもきした状態。泥だらけの服で園バスから降りてくるお友だちを尻目に、息子の服はいつもキレイなまま。
園ママたちも
「またこんなに汚して。泥はなかなか落ちないのにー」と言いつつも、まんざらでもない様子。どうしてうちの子は… と私の焦りは募るばかり。けれども、無理強いしてもできる子でないのは分かっていたので、私はただ見守るしかありませんでした。
そんなある日、たまたま園までお迎えに行くと、担任の先生が私に駆け寄って話し掛けてきました。
「お母さん、ビックリしないで! 今日は泥んこになって、いっぱい遊びましたよ! やっとお砂遊びするようになりましたね」
やって来た息子を見ると、洋服は本当に泥だらけ。私はそれがうれしくて思わず
「わぁ、いっぱい遊んだね。こんな泥んこになるまで遊べて楽しかったね! よかったね」とニコニコしながら息子を褒めました。
と、そのとき
「ちょっとあなた」と呼び止められたのです。
女性の一言とは
変なことを言ったつもりはなかったのですが、私は何か注意でもされるのかと一瞬ビクッとしました。
私の不安そうな顔を察したのか、教会関係者と思われる年配の女性は、
「急に声なんか掛けてごめんなさいね。最近は、子どもが服を汚すと叱っているお母さんしか見たことなかったから、ついつい…。今どきのお母さんでも、あなたみたいに褒めるお母さんもいるのね。良かった。安心したわ」と、笑顔で言ってくれたのです。
「普段、汚れるのを嫌がる子なので、いっぱい遊んだのがうれしくて…」 まさかそんなことを言われるとは思っていなかった私は、しどろもどろに答えるのが精いっぱい。でも、引っ込み思案の息子の子育てに自信がなかった私には、本当にうれしい言葉掛けでした。
園ママたちも決して服を汚したことを叱っているわけではありません。
「また汚したの?」という感じで、子どもを褒めたりしないだけです。 けれども、よく園に来るあの女性からすれば、泥んこを褒めた私を珍しいと思ったのでしょう。
おかげで、それからも息子が食べこぼしや砂遊びでどんなに洋服を汚すことがあっても
「洗えば落ちるから大丈夫だよ。汚れても気にしない!」とおおらかな気持ちで言い続けることができました。
ただし今は、
「汚れても落ちるんだったら、別に汚してもいいだろ!」と言い放つ反抗期の息子を軌道修正中です…。
(ファンファン福岡公式ライター/kotchan)