家の前にパトカーが3台も! 通報は難しいと感じた話

 ある日、わが家の前にパトカーが! 児童虐待を疑う通報をされ、追い詰められたご近所のお母さん。決して他人事とは思えなかった体験談です。

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家の前にパトカーが

出典:写真AC

 ある夕方の出来事です。 家の前で野球の練習をしていた息子が、複雑な顔で家に飛び込んできました。
 「母さん! 警察が来てる!」 警察と聞いて嫌な予感がした私。
 「ウチに用事? 何しに?」と聞くと
 「ウチじゃないみたい。名前を聞かれて答えたら、『ここじゃない!』って、他の家のドアを勝手に開けていったよ…。」と言います。

 リビングのカーテンから外を覗くと、ちょうどわが家の前にパトカーが3台も停まっています。わが家はアパートの1階。警察が来たのは、どうやら隣の家のようでした。

 そこは若いお母さん(Aさん)と2歳くらいの男の子の母子家庭でした。 隣の部屋からは、よく男の子の泣き声は聞こえていましたが、お母さんがヒステリーで叱るというのではなく、癇癪持ちのちょっと手のかかるお子さんで、大変だな… とは感じていました。

 何があったんだろう?  そもそも、誰が通報したの? 窓の陰から様子を覗っていたのはわが家だけではないはずです。  結局、2時間ほどで警察官は帰って行きました。

 後日Aさんの話によれば、いきなりやってきた警察と児童相談所の人に色々と聞かれ、子どもの体に傷がないか確かめられ、写真を撮られたとのこと。

 どんな通報が誰からあったかは、教えては貰えなかったそうです。 勿論男の子の体に傷はなく、その後警察が来ることもありませんでした。けれどここは、とても小さな町で、警察が来たという噂はすぐに広まりました。その後Aさんは元気が無くなり、結局暫くして引っ越してしまいました。

親が追い詰められることも…

出典:写真AC

 以前、私の友人の家にも、警察と児童相談所が来たことがあるそうです。 虐待なんてしていないのに、通報され、疑われて、彼女はそれ以来アパートやマンションには怖くて住めないと言います。

 子どもなら、大声で泣くことはあるし、親なら叱るのは当たり前。それが果たして虐待なのかどうか…。「分からないなら、通報を」と言いますが、警察が来たことは近所の噂になっても、実際の虐待の有無は噂にはなりません。

 勿論本当に虐待があるケースもあり、その場合には子どもを助けることが重要です。しかし最近の風潮として、親切で子どもに声かけをしても不審者として通報されるのは、逆の意味で怖いと感じてしまいます。

 私の別の友人の子どもは発達障害の傾向があり、すぐにパニックになり泣き叫んでしまいます。同じ育児でも、特性のある子の育児は並大抵の苦労ではないはずです。 しっかり者の彼女だからこそ、逃げ出さずに子どもと向き合えているのだと、いつも尊敬の念を感じています。そんな彼女も、心無い周りからの言葉で、心が折れそうになることがあると話していました。

 世間の目が、かえって親を追い詰めるとしたら、それは結局子どものためにはならないのではないか…?

社会の目が変わってくれたら

 虐待を見逃せと言っている訳ではありません。けれど、頑張っている親たちを追い詰めるのではなく、もっと子育てしやすい“環境”を作ることに、社会の目が向いてくれたら…。

 同じくシングルで子育てする私。シングルというだけで色眼鏡で見られることは少なくありません。だから、人一倍頑張らなくてはと、常に気を張って生きています。

 空き家になった部屋を見つめて、どうか彼女が心折れずに生きていけますように… と祈らずにはいられませんでした。 (ファンファン福岡公式ライター/Kitakitune)

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