インドネシアに在住していた時の話です。5歳の息子を学習塾(日本発祥で、算数に強く、世界中に展開している某学習塾)に体験レッスンに通わせようとするも、人見知りする息子は思うように体験レッスンに参加できず…。どうやって通えるようになったのでしょうか。
やりたい放題の息子
当時5歳だった息子の生活態度はあまりにも悪く、母の言う事は聞かない、父が威圧しても効果がない、幼稚園に忘れ物をしてくる、友達と喧嘩する、わがままが酷い… とやりたい放題でした。息子に辟易するとともに「これから立派な大人になれるだろうか」と心底心配していました。
幼稚園の先生に相談しても
「別にいいじゃない。甘やかしてあげれば。何が問題なの?」と楽観的な答えしか返ってきません。
そうだ、ここは甘やかし大国インドネシアだったんだ! と毎日再認識するばかり。
そんな時、いつも通る道に日本でもよく見かけるブルーの看板を見つけたのです。
そうだ! 学習塾に行こう!
見た瞬間に「これだ!」と思いました。息子が日本式の学習塾にいけば、もっと人の言う事を聞いたり、生活マナーを身に着けることができると思ったのです。
早速聞くと、新しいことが大好きな息子は
「行く!」と即答。そこで学習塾に問い合わせると、字が書ける息子は体験レッスンが可能との事! まずは受付で子どもの情報を記入、その後教室に移動、レベルを知るために簡単なテストを受けるという流れだそうです。
教室に入れない息子
ついに体験レッスン当日。優しそうな先生に
「じゃあ、教室に行こうか」と促されたものの、私の腕に絡みつき
「NO!」と泣き出す息子。
「大丈夫だから、行ってきなさい!」となだめても
「絶対にいやだ!」と動きません。
こんな子どもは多いようで
「大丈夫ですよ、お子さんのやる気が出たらいつでも連れてきてくださいね」と優しい笑顔で対応してくれる学習塾の先生。
「ごめんなさい。また来ます」とその日はあきらめることにしました。
帰宅中に息子に話を聞くと
「今日ははじめて行く教室だから嫌だった。次は行く」との返事。
その言葉を信じ、別の日に再度行くと、以前の先生は不在で、今度は事務的な対応の先生のみ…。入った瞬間の雰囲気で「これは無理かも」と察したのですが、案の定
「帰る!」と言い出した息子でした。
更に、次の週も挑戦するものの、やはり受付で「嫌だ」の繰り返しでした。
救世主現る
もう無理かも。と諦めかけていたある日、受付にいつもと違う先生が! 50代前半頃の温かい雰囲気の先生は、にっこりと優しい声で
「噂の○○君ね。頑張って来てえらいね!」と一言。
そんな素敵な先生でも
「やだ。帰りたい」と言う息子。
すると先生は
「帰っちゃうのは残念だけど、また来週も○○君に会いたいな。テストは受けなくてもいいから、ただ遊びに来てね。私の名前は○○だから、覚えておいて!」と言ってくれたのです。息子は照れたような、嬉しいような顔で、はじめて先生にバイバイして帰宅したのでした。
家に帰ってから
「来週は先生に会いに行く。約束したから」と言い出し、先生との約束1つで学習塾に通うようになったのでした。
あとで聞いたところによると、先生はエリアの支部長で大ベテラン。きっと子どもの扱い方を熟知していたんだと思います。
そんな息子は12歳になり、今も楽しく学習塾を続けています。学習塾の効果かはわかりませんが、外に出しても恥ずかしくない人間に育ちました。
あの時、あの先生に出会えてよかったと感謝する出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター / Maiko)