椰月美智子による小説「明日の食卓」が、映画「糸」などの人間ドラマで手腕を振るう瀬々敬久監督によって映画化されました。 10年ぶりの映画主演となる”菅野美穂”、演技力と歌唱力を併せ持つ女優”高畑充希”、主演女優賞など数々の個人賞を受賞した”尾野真千子”の3人が、母親を熱演。 実力派女優たちは瀬々敬久監督とは初タッグとなり、三者三様の石橋家と向き合います。各々のドラマを濃密に演じ、緊迫のクライマックスへ向かわせる。どこにでもいる、母と子どもたちの、リアルで壮絶な物語です。
石橋ユウ、10歳。同じ名前の息子を持つ3人の母親たち。 住む場所も環境も違う彼女たちは、それぞれが子育てに奮闘しながらも、息子を心から愛する幸せな家庭を築いていたはずだった。だがある日、ひとりの「ユウ」君が母親に殺された―。どこで歯車が狂ってしまったのか。なぜこのような事件を起こしてしまったのか、そして「ユウ」の命を奪った母親は誰なのか…。 三つの石橋家がたどり着く運命は、あなたの運命そのものかもしれません。
【石橋家1 ・留美子の場合】
神奈川に住む43 歳のフリーライター・石橋留美子(菅野美穂)は、二人の息子を抱え、仕事に復帰したばかり。育ち盛りの兄弟は隙あらばケンカを始め、しつけに手を焼くあまり長男の悠宇(外川燎)にはつい強く当たってしまう。 そんな折、フリーランスのカメラマンである夫の豊(和田聰宏)が、大きな収入源だった仕事を打ち切られる。家計を支える責任、母親業との両立、夫への苛立ち…自らの手で虐待してしまうことを怖れつつも、ストレスの矛先はどうしてもやんちゃな子ども達に向かってしまう。 あるとき自宅で唯一の聖域だった仕事部屋を荒らされた留美子は、思わず悠宇に掴みかかり…。
【石橋家2 ・加奈の場合】
30歳のシングルマザー・石橋加奈(高畑充希)は、仕事をしながら、昼夜を問わずがむしゃらに働いてきた。家計は苦しく、楽しみといえば一人息子である勇(阿久津慶人)と過ごすわずかな時間ぐらい。そんな母の苦労を目の当たりにしてきた勇は文句も言わず、親子で助け合いながら暮らしを守ってきたが息子の将来を願うあまり、加奈は目の前の勇が胸の内に抱える寂しさや悩みに気づけない。 借金の完済を間近にしたある日、加奈は仕事の一つであるクリーニング工場でリストラに遭う。さらに勇が一人で留守番中に訪ねてきた弟の正樹(藤原季節)に通帳と印鑑を奪われてしまう。問い詰められた勇の口から「オカンはほんまはぼくのことも嫌いなんや!」という言葉を聞いた加奈は、思わず頭に血がのぼり…。
【石橋家3 ・あすみの場合】
36歳の専業主婦・石橋あすみ(尾野真千子)は、夫・太一の地元の静岡に家を建て、息子の優(柴崎楓雅)は、恵まれた環境で健やかに成長していた。 ところがある夜、優の同級生であるレオンの母から、突然電話がかかってくる。優がレオンに暴力をふるっていると言うのだ。素直で優しくて天使みたいな「いい子」だったはずの優は、物事を自分の都合よく解釈して現実から目を背けるあすみや、そんな妻を支配しようとする太一に失望し、世の中を冷めた目で見ていた。うろたえるばかりのあすみに太一は「お前のしつけが悪い」と追い打ちをかける。 ある日同じ敷地内に住む姑の雪絵を踏みつける優を目撃したあすみは、咄嗟に優を引き剥がそうとして…。
「明日の食卓」
公開日:2021年5月28日(金) 監督:瀬々敬久 出演:菅野美穂、高畑充希、尾野真千子 ほか 配給:KADOKAWA/WOWOW 劇場: KBCシネマ、イオンシネマ福岡、小倉コロナシネマワールド 全国公開