最近クレーンゲームにはまっている夫と、それを隣で見るのが好きな4歳の娘。田舎の小さなゲームセンターにて、景品が取れず落ち込む娘のもとに現れたのは?
クレーンゲームにはまった夫
今年31歳になったわが家の夫、突然クレーンゲームにハマり出しました。いつも娘が欲しいと言った景品を取ろうと頑張るのですが、まだまだ技術が足りません。
そんなある日のこと、娘のカバンを買いに訪れた商業施設の入り口付近に、小さなゲームセンターがありました。それを見た娘は、すぐさまクレーンゲームへとダッシュします。
「パパ! 見て! これかわいいよ!」好きなキャラクターのフィギュアがあったようで、大興奮の娘。
「よし、取ろう! 腕のみせどころだ!」と張り切る夫。
そんな2人に呆れつつ、私は
「あんまりお金使わないようにしてよ〜」と言って、息子と先に店内を見て回ることにしました。
落ち込む娘
しばらくして、夫と娘の様子を見にいくと、2人はまだ景品を取ろうと粘っていました。
「いくら使ったの?」
「2000円くらい」
「2000円!? もったいない〜」
「でもここまできたら取るしか…」
「… お小遣いぜんぶなくなるぞ〜」
「…」
「小遣いがなくなる」というワードが効いたのか、夫は慌ててクレーンゲームから離れました。今回は諦めることにしたようです。
一方、娘は
「嫌だ〜 これがいい。今ほしいんだよ〜」と、泣いて諦めようとしなかったものの、私が
「お金がないから今日は諦めよう。大人になってお仕事したら、たくさんゲームできるよ〜」と言うと、何を言ってもダメだと悟ったのか
「お仕事してお金たくさんもらったら、いっぱいゲームやる」と言って、納得してくれました。
こうして、当初の予定よりもかなり遅れて、本来の目的である雑貨店の中へ入ったのでした。
声をかけられ…
店内を見て10分ほどした頃です。急にうしろから
「スミマセン!」と声をかけられました。
「?」と思い振り向くと、そこには、背の高い外国人のお兄さんが。すると、そのお兄さんは、
「コレ、ドウゾ」と言って、先ほど取れなかったクレーンゲームの景品を差し出してきたのです。
「え! い、いいんですか?」と聞くと、お兄さんは何も言わずに娘に景品を持たせると、ニコニコしながら手を振って、そのままゲームセンターへ戻って行きました。
これには娘もポカン。しかし、手に持ったフィギュアの箱を見て、状況が理解できたのか、
「やった〜!」とその場で踊り出すほど喜んでいました。
夫に聞くと、どうやらそのお兄さんも、友達3人くらいとクレーンゲームをしていたようです。一連の流れを見ていて、わざわざ娘のために取ってくれたのでしょうか。
「ちゃんとお礼がしたい!」そう思った私たちは、再度ゲームセンターへ戻り、唯一話せる英語「センキュー!」を使って、一生懸命お礼を伝えます。会話はできませんでしたが、外国人のお兄さんとその友達も、終始笑顔で、なんともいえない素敵な時間でした。
この出来事は、私だけでなく娘にとっても印象深いものになったらしく
「ママ、外国人のお兄さん優しかったよね〜」と、今でもよくこの話をします。そして、もっとも影響を受けたのは夫だったようで、その後YouTubeで英語を勉強するようになったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/きゆな なみ)