長女の小学校入学に合わせて家を建てた私たち。新生活にワクワクしながら引っ越しをしていましたが…。当日ふいにやってきた義母に振り回されることになるのです。
急な訪問
ある年の3月末、私たち家族は新居へ引っ越しをしていました。新しい家にワクワク。子どもがいると中々進まないので、娘たちは実家へ預けていました。
夫と2人アパートの整理をしていると、インターホンが鳴ります。誰だろうと思って出ると、にこにこした義母が掃除機を持って立っていました 。義実家からここまで1時間の距離。
「2人じゃ大変だから手伝いに来てあげたわ。」と有無を言わせず部屋へ上がり込みます。
引っ越しの日は伝えてはいましたが、手伝いは頼んでいません。まあ掃除でもしてもらえるなら助かるかと思い、床等汚れているところの掃除を頼みました。
ある程度部屋もきれいになり、あとは新居へ最後の荷物を持って行くだけとなった時。夫が
「母さんありがとう。後は俺らだけで大丈夫だから!」と言うと
「私も新しい家に行くに決まってるじゃない」と鼻で笑います。その後何を言っても
「行く」の一点張り 。義母は自分の意見は曲げない頑固者なのでこれ以上は時間の無駄だと思い、とりあえず義母も車に乗せて新居へ向かいました。
新居でお茶
1つ気になったのは、義母が車に乗り込む前、自分の車から何やら大きな荷物を取り出してわが家の車にのせたこと。私が
「これ何ですか?」と聞くと
「着いてからのお楽しみ」と嬉しそうな義母。その様子に悪い予感しかしませんでしたが、そのことに触れるのはやめました。
新居に着くと、まず荷物下ろし。最後の荷物だったので量も少なく、あっという間に終わりました。今度こそ義母を送って行こうと声をかけた瞬間、
「さ、お茶でもしましょう!」と言う義母。どういう意味かと混乱している私に
「早くお茶の用意をしてちょうだい。ロールケーキ持ってきてるの」と義母の手にはケーキの箱が。
まだ全く片付け終わっていない新居、食器も段ボールから出していません。私は、急かす義母の横で、お皿とフォークを探し、ロールケーキを切りました。極め付けに
「紅茶とかないの?」と言われましたが、イラッとしたので無視。食べ終わったあとは、まっさらなシンクで洗い物。まさか最初の洗い物が、義母と食べたケーキの皿だとは思ってもみませんでした…。
息子の家は私の家
お茶も終わり、やっと帰ってくれると思った私たちの前に、また義母が。
「これ忘れてた」とあの大きな荷物を車から持ってきました。義母が箱から出したものは、真っ白な背景に赤い模様がうねうねと入った、素人が理解するには難しい絵画!
「これは有名な画家さんの絵なの」と鼻高々に言いますが、私も夫も絵画に興味がありません。
早速、玄関の壁に勝手に飾ろうとする義母。さすがに
「飾るところはこれから考えてもいいですか?」と聞くと
「こんなに良い絵、玄関の他にどこに飾るって言うの?」となぜか怒り気味です。
「息子の家は私の家でもあるのよ! 私の選んだ絵が飾れないの?」と言う義母に、私たちはもう無言でした。
とりあえず玄関に立てかけておくことで一旦落ち着きましたが…。楽しみだった新生活の始まり。とてつもなく疲れたのは言うまでもありません。新居での生活が始まって、義母はまだ家に来ていません。というより、何かあるごとに誘いを断っています。あの絵が押し入れにしまわれていると知ると、何と言われるか分かりませんからね。お互いに干渉しすぎない距離を保ちたいものです。
(ファンファン福岡公式ライター / こんぺいとう)