幼い子どもの言い間違いは、かわいくて思わずふふっと笑ってしまいます。小さなうちにしか聞けない言い間違いの数々を楽しんでいたけれど、ある日突然、言い間違いが終わる瞬間に立ち合った体験談です。
はじめは正しい言葉を教えようとしたけれど
子どもが2歳半になったころ、話す言葉も増えてきて会話が成立するようになってきました。まだまだきれいな発音ではなく、子ども特有の舌たらずなしゃべり方。うまく発音ができないせいなのか、間違って覚えているからなのかわからないけれど、特定の言葉を言い間違いすることに気がつきました。
最初に気になったのは「さなか」。
「魚」のことです。「か」と「な」が逆になり、いつも「さなか」と言っていました。
正しい言葉を教えたほうがいいと思い、子どもが「さなか」と言う度に、
「さかなだよ。さ・か・な。言ってごらん」と間違いを正そうとする私。
でもそのうち、いま無理やり直さなくてもきっといつか直るだろう、今しか聞けないかわいい言い間違いを堪能しておこう、と考えるようになりました。
それからはあえて正しい言い方を教えることはせずに、「さなか」と子どもが言った時には「お魚さんいるねー」とさらっと流していました。
記憶に残る言い間違い3選
成長したら言わなくなってしまう言い間違いは他にもたくさんあり、特に記憶に残っている言い間違いが次の3つです。
「テヴェリ」
娘はテレビのことを「テヴェリ」と言っていました。大人の私からすると、逆に言いづらそうと思って印象に残っています。
幼稚園に入ってからもずっと
「ママ、テヴェリ見ていい?」などと言っていました。 他のお子さんでもテレビのことを「テベリ」と言うというのを聞いたので、よくある言い間違いなのかもしれません。
「おやびゆ」
これは親指のこと。「人差し指」「中指」「薬指」「小指」と、他の指は「ゆび」と言えるのに、なぜか親指だけは「びゆ」となってしまいます。そのうち親指と小指がまざって、小指のことを「こやゆび」と言うようにもなりました。
「かんぶり」
冠のことです。これは、娘の言い間違いの中でも私が一番好きだったもの。娘はディズニープリンセスが好きで、ドレスやティアラを身につけてよく遊んでいました。
その時も、
「このかんぶりかわいいでしょ」
「どっちのかんぶりにしようかなー」と、「かんぶり」を連呼。
私は「かんぶり」と聞くと、どうしても魚の「寒ブリ」をイメージしてしまい、そのギャップが面白かったです。
とうとう子どもが言い間違いに気がついた!その理由は..
言い間違いも、成長するにつれていつの間にか正しい言葉で言えるようになっていたものがほとんど。
ですが、子どもが言い間違いに気が付いた瞬間に立ち会えたものもあります。
なぜ子どもが自分で言い間違いに気がつけたのか。
それは、文字を読めるようになったからです。幼稚園の年長さんくらいになると読める文字が増えていき、自分で絵本を読めるようになりました。
ある日、家で絵本を読んでいた娘が
「えっ! かんぶりだと思ってたけど、かんむりなんだー」とつぶやいたのです。
娘を見ると、真顔でなにやら考えている様子。少しそのページを見つめた後、続きを読み始めました。
とうとう私の好きだった「かんぶり」も聞けなくなる時がきたなとしみじみ。
数日前の私の誕生日には、
「ママにもかんぶりかぶせてあげるね」と言っていたのに。 ちょっぴり寂しさを感じながらも、娘の成長を見られた喜びの瞬間でした。
(ファンファン福岡公式ライター/れみふく)