結婚して以来、今まで何度「ご主人は年下?」と聞かれたことでしょう。先日遭遇した件で、さすがに傷ついてしまいました。その出来事とは…
出会った時から夫はたしかに若かった
夫と初めて出会ったとき、てっきり私より年下だと思ったことを覚えています。実は私より3歳上と知り、大変驚きました。
誰もはっきりとは言いませんが、どうも私は実年齢より落ち着いて見られるようです。つまり! 老けてみられるのです。肌ツヤ髪ツヤにも自信がありませんが、顔の輪郭が面長で、首回りが瘦せているのも影響しているかもしれません。
それに引き換え、夫の顔の輪郭は丸く、いわゆる童顔。ひげは薄く、髪の毛は黒々とフサフサ。肌は地黒で、アウトドア派のような雰囲気。実際は出不精で面倒くさがりなインドア派なのですが。
あちらこちらで間違えられて、さすがに私も気になってきた!
交際中は、周りから年齢のことで何か言われた記憶はありません。しかし、結婚して長男を出産した直後から、たまに言われるようになりました。
「ご主人は年下?」
引っ越し先の町内会の班長さん。立ち寄った道の駅の店員さん。スーパーで偶然会った近所の奥さん…
初めのうちは「ふうん、やっぱり彼って若く見えるんだ」とのんきに再認識するだけでした。けれど、言われる頻度が増えるにつれ、だんだん気になり始めました。
ずっと私が送迎していた子どもの塾に1度だけ夫が行くと、後日先生に
「ご主人は年下?」
私の母の入院先に初めて夫を連れていくと、ラフな格好をしてきた彼を見て、看護師さんが
「そちらは弟さん?」なぬ? おとうと? 私は夫の姉に見えるのかしら?
このように間違えられるシーンがたび重なると、だんだんもしかして、夫が若いというより私が老けて見えるの? とヤキモキ。
とうとう私は夫の…!?
そして先日のこと。私は午後から半日、夫は終日有給休暇を取り、ランチの約束をしました。私の職場に迎えに来た夫は、パーカー、ジーンズ、スニーカーの普段着。スーツの時はそうでもないけど、普段着だと同年代の男性より若く見える彼。
ひきかえ、私は黒のロングスカートにグレーのブラウスカットソー、黒パンプス。いわゆる地味な通勤服。これでは私、さらに老けてみえるよな。着替え持ってきたら良かったな。ちらっと嫌な予感が頭をかすめましたが、空腹には勝てず。
平日限定のお得な美味しいランチでお腹を満たした後、散歩がてら、周辺の商店街をぶらぶらと歩いてみることに。私たちが歩く先に、女性が2人、何かを配布しているらしい姿が見えました。特に気にもせず進んでいくと、女性の1人が夫の前にチラシを差し出しました。
私も無意識に手を伸ばしたところ、その女性は私を見て、優しい声で申し訳なさそうに言ったのです。
「すみません。こちらは学生限定の新規カード会員様のご案内なんですよ」
夫と私は顔を見合わせて
「… 学生?」とポカン。ようやく意味が分かると笑いが出てきました。夫はいつまでも笑いがとまらず、
「こんなおっさんが学生に見えたんか? マスクの力ってすごいなあ」
私だってマスクをつけていましたが、決して学生には見られませんでしたよ! それより何より! 夫が学生だと認識された、ということは、一緒にいた私は何者だと認識されたのでしょう。ま、まさか…
「まさか俺たち、母親と息子にでも間違えられたんかな? あっはっは」さらに笑い続けるデリカシーのない夫を恨めしく思いながら、私の心は深く傷ついたのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/山ナオミ)