2011年に1stアルバム「世界分の一節」をリリースし、今年で15周年を迎える人気バンド「GOOD ON THE REEL(グッドオンザリール)」。文学的な歌詞と美しいメロディーで、CDショップの試聴機をきっかけに口コミだけで爆発的な反響を起こした同バンドが6月9日にオリジナルフルアルバム「花歌標本」をリリースしました。そのアルバムのリリースツアー「HAVE A “GOOD” NIGHT vol.91-99~ハナウタツアー~」の福岡公演が7月10(土)、「福岡the voodoo Lounge」(福岡市中央区)で開催されます。ボーカル・千野隆尋さんにリモートでインタビューしました。
福岡で7本目、久しぶりのツアー公演
―全国ツアーは久しぶりになるかと思いますが、6公演を終えての感想は。
なんだか今までのライブと比べて早いなと思います。「もう6本終わったんだ~」って。一つ一つの公演が久しぶりということもあって、各地のファンの方たちと会えてテンションが上がり、全部がうれしくて楽しくて、あっという間だったなと思います。
すべての公演が印象的ですが、あえて言うなら1本目の仙台公演は「久しぶりにツアーに出られたな」という気持ちを強く感じました。ステージから見える景色は、こういう状況でいろいろな制限がある中、少し雰囲気は変わってしまったけどとても楽しかったです。
―公演のセットリストが細かく変化していますが、どういう組み方をしていますか?
今回のツアーに関しては、1本目(仙台公演)をスタートする前に僕が作ったセットリスト案をベースにしてスタジオに入りました。リハを重ねながら、「ここ、少しダラけちゃうよね」とか「ここはもう少し明るい曲を増やした方がいいね」とかメンバーと話しながら作ったんです。でも、ライブってステージに立って初めて分かる場内の空気感やリハーサルでは想像してなかった反応もあるので、それを踏まえて公演ごとに「この部分はもうちょっとこうだったね」とか「こういう曲が欲しいね」とか組み替えていきました。6公演を終えて、大分形が決まってきたかなと思っています。
その土地に合わせて曲を組むことももちろんあります! 例えば、大阪のお客さんは元気なイメージだからこういう曲を入れようかな、とか。今回はフルアルバムなのですが、曲数もいつもよりは少なくて、すでに先行配信などでリリースしていた曲もあったので、アルバムリリースタイミングでの新曲っていうと6曲くらいなんです。なので、それなら全曲やりたいなっていう気持ちがありました。過去のリリースライブは、その時々で「この曲は抜いてこっちを入れよう」とか、全曲演奏してなかったんですけどね。
アルバム「花歌標本」推し曲は
―アルバム「花歌標本」の中で、千野さんの“推し曲”は。
なんだろう…。あえて挙げるなら「標本」。6本ライブをやってきて、ライブ中に感じる感動が「標本」が結構でかかったんです。だからかな。
「標本」は、曲を(ギターの)伊丸岡(亮太さん)が作っているんですけど、最初はサビの弾き語りみたいなデモテープだけがあって。僕がそれを聞いて歌詞を書いたんですけど、そのあとに上がってきた打ち込みで作られた曲を聞いたら、弾き語りの時に聞いたメロディーよりすごく壮大になっていたんです。「これは…ちょっと元々書いていた歌詞じゃ楽曲に追いつけないな」って思っちゃって、先に書いていた歌詞のメッセージとかは残しながらも、結構書き換えました。
―そこでボツになった歌詞は、今後の楽曲で生かされることもありますか。
どうでしょう。日々結構歌詞は書き溜めているんですよね。ふっと思いついた時に言葉をメモに取ってるんですけど、でもそうやって書いた歌詞って曲にならないことが多いんですよ(笑)。だから「標本」に関しても、書き直した歌詞が今後出てくるっていうのは可能性、かなり低い気がしますね。一応材料として置いてはあるけど、っていう感じです。
―歌詞というと「虹」の歌詞はものすごくリアルな女性像を描いていたと思います。書く時になにか、思い描いたものやことはありましたか?
「虹」は、僕が作詞作曲した曲で「花歌標本」のアルバムを作ろうってなった時に新しく制作した楽曲。なんとなく自然と曲も歌詞も同時に浮かんできて、特別何かを意識していたわけじゃないんです。
ぼんやり思い描いていたのは20代後半の女性で、いろいろ諦めているようなふりをして諦めきれていない、ちょっとカッコつけているけど出会いを求めている、みたいな(笑)。僕自身、コロナ禍で外に出る機会も人と交流する機会も減ったせいで、「人と会いたい」とかそういった気持ちが無意識に出たんじゃないかなと思っています。
―コロナ禍で楽曲への影響は。
そうですね、意識はしていないんですけど…。少なからずはあるかもしれません。あとで読み返すと「出てるな~」って。僕、本来死生観みたいなものとかはあまり書かないんですけど、そういうものを書いてみたりしているので。人と人のつながりや、相手をより一層意識した楽曲を作っている気がしますね。
―GOOD ON THE REELの曲は、感情の描写もさることながら、情景の描写が美しいと感じますが、千野さんの中に原風景みたいなものはありますか。
あります。元々僕は、日本語の表現の仕方が好きで、「はい」でも「いいえ」でもない、その間にある言葉、みたいな。有名どころで言うと「I LOVE YOU」を「月が綺麗(きれい)ですね」と訳した夏目漱石のような。僕もそういう直接的な言葉じゃなくて、日常の風景から寂しさだったり恋しさだったりを描きたいタイプ。聴いている人がなんとなく「この曲を聞くと寂しいな」とか「うれしい気持ちになるな」と思ってくれるような表現をしたいと思っています。
福岡での思い出は数年前の…
―アルバムのアートワークを担当されているイラストレーターの森博嗣さんには、どのくらい希望や要望を伝えていますか?
(先行配信された)「交換日記」「虹」と、フルアルバムのアートワークを全て担当してもらったので、ぶっちゃけスケジュールがかなりかつかつだったんですよ(笑)。だから、森君へは結構細かくイメージとかを伝えました。僕の性格もあるのかもしれないですが、より描きやすいようにって思って細かく伝えてしまう(笑)。もちろん自由に描いてもらいたいんですけど、スケジュールとかありますからね(笑)!
―福岡でのワンマンは久しぶりですが、福岡の思い出などはありますか。
やっぱり打ち上げのラーメン「やまちゃん」ですね。一番特徴的だった打ち上げは「BEA × Zepp Fukuoka presents FX 2014」。(2014年に)福岡であったフェスで、結構打ち上げボロボロになった思い出があります(笑)。先輩方もすごく多いフェスだったので、2、3軒連れ回していただいて、ご指導をいただいた記憶が…(笑)。一番最後まで連れてってくれたのはTOTALFATのBuntaさんですね(笑)。
今はこういったご時勢なので、全然打ち上げもできていないのですが、各地のイベンターさんがご当地の名物弁当とか総菜を用意してくださってて、それはかなりうれしかったです。仙台だと牛タン弁当だったんですけど、それをホテルに持ち帰って1人で食べました。
―今後やってみたいことや、試してみたいことは。
ギターの伊丸岡が、今回のライブから1曲だけ鍵盤を使って演奏しているんですが、これは前からずっとやってみたくて、今回実現できたことでより一層イメージが広がったというか…。今後鍵盤を使用する曲をライブでもっとやってみたいと思いました!
―千野さんが一番「生きている」と感じる瞬間はいつですか。
やっぱりライブ中かな。ステージ上が一番自分が生きていると感じます。生きていることに一番集中している、かな。ライブ後のビールにそれを感じたりもしますけど(笑)。一番必死に“自分”を生きているのはステージ上ですね。自分が自分として生きていることを、認めてくれている人たちに見てもらえる。そうですね、自分が認められたっていう気持ちがすごく感じられるのが大きいのかもしれないです。
―福岡のファンへメッセージを。
今回、アルバムを聞いてもらえればわかると思うんですが、一曲一曲が濃い、そんなアルバムになっていて、今までより大人っぽいというか、おとなしめの曲が多いと思うんですけれど、それに伴ってライブの雰囲気も今までとは違うちょっと大人な「GOOD ON THE REEL」を見せられていると思います。その雰囲気をぜひ横揺れで楽しんでいただけたらと思っているので、ぜひぜひライブに遊びに来てほしいです!
GOOD ON THE REEL 2021 TOUR HAVE A GOOD NIGHT vol.98~ハナウタツアー~
日時:7月10日(土)
開場 /開演 16:30/17:00
場所:福岡 the voodoo Lounge(福岡市中央区舞鶴1-8-38 WAVE BLDG 4階)
チケット料金:4,000(税込み、別途ドリンク代 ) ※未就学児童入場不可(保護者同伴の場合可)
企画:ユニバーサルミュージック アーティスツ合同会社
制作: HANDS ON ENTERTAINMENT
<チケット販売> 一般発売中
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