中学時代の同級生から、突然お誘いの連絡が。懐かしさいっぱいで会いに出かけました。そして、思い出話や近況報告に花を咲かせたあと、ビックリな出来事が…!
懐かしい同級生からの電話
月曜から毎日働き、ようやく休日を前にした金曜の夜。いちばんリラックスできる至福のひととき。だらだら夜更かししようと思っていたら、突然携帯が鳴りました。未登録の電話番号だったため、とりあえず無言で応対しました。
用心深く、黙って携帯電話をあてた左耳に聞こえてきたのは控えめな女性の声。
「夜分に突然すみません。Y子です。○○ちゃん(私の名前)ですか?」
Y子? 誰? 休日前のすっかり緩んだ私の頭の中は、必死でぐるぐるフル回転。Y子、Y子… あっ。あのY子!?
中学時代の同級生で、1度だけクラスが一緒になったっけ。雑誌を1度貸し借りしたような。
Y子とは高校が違い、成人式で軽く挨拶した記憶がある程度で、それ以来の繋がりは途切れていました。私の携帯番号は、共通の同級生仲間を通じて教えてもらったとのこと。
「最近アルバムを片付けていたら、○○ちゃんの姿を見つけて。とても懐かしくて、どうしてるかなと思い立ったんよ」
懐かしい人をふと思い出し、会いたくなることは私にもありますが、その気持ちを実行に移すのは難しいです。ご無沙汰している人に急に連絡するのは勇気がいりますよね。
けれど、Y子は実行してくれました。特別に親しかったわけでもないのに。そして話はトントン拍子に進み、私たちは再会の約束をしました。
カフェで喜びの再会!
翌週の日曜日。とあるカフェで待ち合わせた私たち。20数年ぶりに会うY子は、昔の面影を残した人懐っこい笑顔で、私の緊張はすっかり解けました。話が弾むかな…。なんて心配は杞憂。中学時代の楽しかった思い出、お互いの家庭や仕事など近況を伝え合い、時間を忘れて盛り上がりました。
今度は夜にアルコールでも、と次回の約束までしかけた時、Y子が
「あっそうだ」と、傍らのバッグから小さな透明の小瓶を取り出しました。
「何それ。香水?」ここからがビックリの始まりでした。
そして再会の喜びは…
ごく薄い黄緑色の液体が透けて見える小瓶。Y子は左手の人差し指と親指ではさんだ小瓶をかざしながら嬉しそうに言いました。
「これは魔法の小瓶よ」
ここから、小瓶の中身についての説明がスタート。Y子はなめらかに語り始めました。なんでも、普段使っている基礎化粧品に小瓶の液体を1滴混ぜるだけで、それらの元々の効能が強まるというのです。手元のプチプラ化粧品が高級品にまれ変わるならお得。最初そう感じたものの、値段を聞くと、私の反応をうかがうように上目遣いで
「いくらなら出せそう?」
その言葉を聞いた瞬間、それまで高揚していた自分の心がすーっと冷めていくのが分かりました。
購入の意思がないと伝えた私に、Y子は少し名残惜しそうに、それでもサッとバッグに小瓶をしまいました。そして、再会の喜びや感謝を何度も述べ、必ずまた近々会おうねと、昔ながらの笑顔を私に向けてきます。私も精一杯の笑顔を返しながら、内心はなんとも複雑…
久しぶりに私に会いたいと思ってくれたY子。その気持ちは本当だと信じたい。でもやっぱり魔法の小瓶はいらない。
その後もY子からは時々お誘いの連絡がありますが、何かと理由をつけて断り続けている私。噂では、他の同級生数人も同様の状況に出くわしたとのこと。Y子と再会した瞬間が嬉しかった分だけ、今は何とも寂しい気持ちです。
(ファンファン福岡公式ライター/山ナオミ)