古臭い慣習がはびこり、謎ルールが横行する「PTA」なぜ、誰もやりたがらないのに続いていくのか? なくすことはできるのか? 実際の経験をもとに前編と後編で解説していきます。ルールも前例もない中で迷いに迷う役員たち。そこで考えたのは意外な一手でした…。
校長先生の後押しが、みんなのやる気に火を付ける
ここで会長があるネット記事のコピーを見せてくれました。そこには、PTAを廃止した小学校が、どのような紆余曲折を経たのかが書いてありました。PTAがなくなっても学校にとってなんの不利益もなかったこと、負担が軽減されみんなが喜んだことなども書かれていました。読んでいる役員たちの雰囲気を察して会長は、
「できなくはないと思うんだ。校長先生からの許可ももらっている」そう言いました。
今年異動してきた校長先生は、市内で一番新しい小学校から赴任してきました。その学校は、開校当初から「PTAを作らない」という選択をしていて、学校が保護者の手を借りたい時は、教頭先生がSNSを通じて協力を募り、ボランティアに参加すると、行事の観覧を優先席で見ることができたり、子どもたちから感謝の手紙をもらえたりと、色々と工夫を凝らしていたそうです。
また、各自治体単位で「PTA連合会」という上部組織がありますが、もちろん所属していないので、会費を集金する必要もないとのことでした。
突破口は、規約の穴に
しかし、PTAの規約には解散の仕方はもちろんのこと、個人が退会するときのことさえ書いてありません。ちなみに「入会の意思確認」もありませんでした。誰もしっかり読み込んだことがなかったので、驚きの連続で空いた口が塞がりませんでした。
もちろん「6ポイントの点数制」のことは書いてありませんし、毎年会費集めに行っているバザーやお祭り、ベルマーク集め、廃品回収などをやらなければいけないとは決まっていません。
こんな雑な規約に縛られているのかと怒りさえ覚え始めていた私たちは、あることに気がつきました。それは、「会員数の三分の二の票が集まれば、どんな規約も変えられる」ということです。
ただ、急に「解散する」というのは、事情をよく知らない会員の人たちから反発を受ける可能性がありました。だから、まずは入退会を自由にし、役員の数を削減、選出を立候補制にする改正案を臨時総会を行うことで実現させようとしました。
そしてそれと同時に「休会」の文言を規約に入れたのです。必要な役員の立候補がない場合は、その年度は「休会」とし、会費納入もなし。今までPTAで担ってきた仕事は教頭先生に。通帳の繰越金は校長先生に管理をお願いするよう改正することにしました。
この規約を作れば、理不尽なPTAという組織を機能不全に陥らせ、「永久休会」が望めると思ったのです…。この目論見は大成功! その後、私が小学校に在籍している間はPTAは活動しませんでした。また、会長がPTA連合会を通して事例を発表したことで、同じ市内では相次いで休会・解散する学校が出ました。
私たちがいなくなってから、不思議なことに数年おきに
「PTAが活動しないなんて不自然!」と頑張る人がいて、PTAが復活することがあるそうです。しかし、大多数の人は「関わりたくない」というのが本音。入退会を自由にしたので会員数も伸びませんし、強制しないという雰囲気は残っているようで、今では「無理せずできることを無理なく関われる人でやる」という健全な組織運営になっているようです。
(ファンファン福岡公式ライター/Hoshi.ma.k.a東京ビッグブッダ)