新型コロナウイルスの感染が広がる中で、不要不急の外出を避けて家で過ごす時間が増えました。わが家には9歳の息子と6歳の娘がいます。遊びたい盛りのわが子とどう過ごすかが課題に。そこで始めたのが親子料理でした。
「僕がやる!」と言い出して卵を割ることからスタート
週末は家にいることが少ないほど、わが家は出掛けることが大好きです。けれど新型コロナウイルスの影響で外へ遊びに行くことができませんでした。身を守るために仕方がないことですが、友達と会えない、外で自由に遊べないでいたので、わが子もストレスをためていました。 ゲームやテレビざんまいの日々が続く中、他に楽しく過ごせることはないかと思い付いたのが親子料理でした。ところが息子は「面倒くさいから、やりたくない」と乗り気ではありません。やる気なのは、娘だけです。「男の子って、料理に興味を持たないのかな」なんて残念に思いながら、娘と一緒に卵を割ろうとした時でした。 なぜか突然「僕がやる!」と言って、息子が私のところへ駆け寄ってきました。おっと、これはびっくり! 息子の気が変わらないうちに、急いで卵を持たせました。 今日のメニューは、だし巻き卵です。「まずはボウルに卵を割ってみてね」と私が言うと、息子は手に持った卵を恐る恐るボウルのふちに当ててコンコン。何とか殻が割れ、中身がつるんとボウルの中へ。「きれいに割れたよー!」と息子はうれしそうな笑顔を見せました。 この調子で、息子は合計5個の卵を割りました。そして私の言う手順に沿ってボウルに水と白だしを加え、卵をほぐしてよく混ぜました。
ホットケーキや目玉焼きも上達し「お母さん、料理って…」
いよいよ「焼く」工程へ進みます。油をひいたフライパンに卵を流し入れ、卵が焼けてきたのを確認したら、フライ返しを使って巻いていきます。「せーの!」。くるんときれいに巻きたいのに、形はぐじゃぐじゃに。なかなか形が整わず、息子はかんしゃくを起こしましたが、私は「上手だよ」と懸命にフォローしました。 卵を巻くのは、子どもにとって至難の業。「少し油を足しながら巻くといいよ」とコツを教えながら、息子と一緒に焼いていきました。娘は成功を祈るかのように静かに見守ってくれ、何とかだし巻き卵が完成しました。 最初はどうなることかと思いましたが、きれいに巻くことができました。息子は、成功してうれしかったのでしょう。「また作りたい」とやる気に火が付き、この日を機にだし巻き卵を作る日が続きました。その結果、みるみる上達して1人で作れるようになったのです。 息子は今では、ホットケーキや目玉焼きも1人で作ることができます。ハンバーグやカレーライスなどのメニューにも興味を持ち、包丁を扱う時に危なっかしいこともありますが、やればやるほど上手になっています。 息子は今までできなかったことができるようになり、喜びをひしひしと感じているようです。そして、こんなことを言ってきました。「お母さん、料理って大変だね」。やってみて、初めて気付くこともあるんですね。 休校中の昼食作りを息子に任せる日もあり、娘もタマネギの皮をむいたり、料理を皿に盛りつけたりして手伝ってくれ、助かりました。新型コロナウイルスでの大変な状況もありますが、得られるものもあるのだと、前向きに考えられるようになりました。 (ファンファン福岡公式ライター/伊藤優香)