友達の新居へ遊びに行くため、久しぶりにバスに乗った時の話です。バスの中で1歳の息子がぐずり、なかなか泣き止まない。困り果てていたときに救いの手が…。助けてくれたのは意外な人物だったのです。
息子と2人でバスに乗る
友達が新居を建て、招待してくれました。友達にも息子と同じ1歳の娘さんがいて、お互い子どもが体調不良で何度か延期していましたが、ようやくみんな体調がよくなり、新居へ遊びに行けることに。新居へ向かうための交通手段はバスしかないので、久しぶりに息子と2人でバスに乗った時の話です。
普段はほとんどバスを使わないので、ちょっとした旅気分で私はウキウキしていました。息子も前回乗ったときは、バスのボタンに興味を持ったり、外の景色を見たりしていて、楽しそうだったので乗せるのが楽しみでした。
乗車10分で息子がぐずりだす
バスに乗って10分くらいたったときに突然、私の膝に座っていた息子がぐずりだします 。「前回は楽しそうに乗っていたのにどうしちゃったのだろう…」と思いながらも、立ってあやせば泣き止むだろうと席を立ちます。
しかし、立ってあやしても全く泣き止みません。それどころか、ぐずぐず言っていたのが、ギャン泣き状態に。あらゆる手を使っても機嫌が直りませんでした。
目的のバス停まであと30分以上あります。「30分以上もこのまま泣き止まなかったらどうしよう…」と頭の中をよぎり、焦りから冷や汗がダラダラと流れてきました。
バスが進むにつれて、人がどんどん乗り込んできました。車内が混んできて私はさらに焦ります。ギャン泣きの息子以外はシンとしたバスの中なので、私たちの方をちらちら見てくる人がたくさんいます。
そして、ついに隣にいた男性からため息が…。以前、実家へ帰る新幹線の中でも同じようなことがおこり、隣の席の男性に睨まれてため息をつかれたことを思い出しました。「同じことがまた起こってしまう…」と悲しくなり、私も泣きそうになります。
途中下車を考えていたそのとき
すると、意外な救世主が現れたのです。周りの迷惑を考えて降りようと考えていると、近くにいた男子高校生が笑顔で
「これあげるよ」と言って、おせんべいを息子にくれました。
なんと、息子はピタリと泣き止みます。
男子高校生はおとなしそうな子だったので、とても意外でした。息子に声をかけてくれたときも、少しおどおどとしていました 。きっと私が困っている様子を見てどうしたら泣き止むか考え、勇気を出して行動してくれたのだと思います。「助けてあげたい」という気持ちが伝わってとても嬉しかったです。
そして泣いていた息子は男子高校生のくれたお菓子に目を輝かせていて、私もほっとしました。
それから、バスを途中下車することなく目的のバス停まで到着し、男子高校生にお礼を言って降りました。息子はすっかりご機嫌になり、下車するときにその男子高校生に「バイバイ」と手を振ります。はにかんだように手を振り返してくれる男子高校生の温かくて優しい気持ちに、感謝と感動で心の中がいっぱいになりました。息子も、優しい子に育って欲しいと思った出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター / hinako)