出産後の女性は体も心もボロボロの状態。私も息子を出産後、毎日の育児に疲れてしまい、気持ちの浮き沈みがある日々を過ごしていました。そんな時、義母から言われた息子への悪気ない言葉に私はひどく心を傷めてしまいました。反論も出来ず辛い気持ちに蓋をしていると、すかさず発した夫の言葉に私は心を救われたのです。
初めての育児に悪戦苦闘
待望の第一子を出産し、私は喜びと感動で胸がいっぱいでした。「何があってもこの子を守り抜く!」と強く心に誓いましたが、初めての育児に悪戦苦闘。毎晩の夜泣きに寝不足が続きました。体力には自信があったので、何とか気合いで乗り越える毎日。
しかし、息子が生後3カ月を過ぎた頃、突如として乳児湿疹を発症。みるみるうちに全身に広がり、特に顔は赤く腫れ、素人の私でもこれはマズいと危機感を覚えました。小児科を受診してもなかなか治らず、ほぼ毎日病院に通いました。
湿疹が治らない息子を見て、私は自分を責めていました。「母乳の質が悪いのかな、保湿クリームが合っていなかったのかな」などの考えが頭を巡り、その度に息子に「ごめんね…」と心の中で謝っていました。
初めての育児で疲れもピークに達して、気持ちはどん底にまで落ち込んでいきました。
義母の「かわいそう」という言葉
そんな私を見かねて、夫が気分転換に食事に誘ってくれました。義両親も同席でしたが、久しぶりに外食が出来ると思い、楽しみにしていました。
しかし当日、楽しい気持ちは一瞬で終わってしまうのです。
義両親に挨拶を済ませた直後、湿疹で赤く腫れた息子の顔を見て、義母は
「あら、お顔どうしたの? かわいそうなことになって」と驚いた様子で一言 。
「何で、こんなに腫れちゃってるの!?」とまで言われてしまいました。
私はその瞬間、頭が真っ白になりました。息子に向けられた「かわいそう」という言葉に、とてもショックを受けたのです。もちろん義母に悪気はありません。赤く腫れた息子の顔を見て、心配で出た言葉だと分かっていました。
でも何も悪くない息子を「かわいそう」と言われたこと、その言葉が私の育児の不出来を指摘されているようで、悲しくなってしまったのです。
私は反論も出来ず
「すみません…」と謝るのが精一杯。泣くのを堪えるのに必死でした。
すかさず夫が一言
その時でした。いつもは穏やかな夫の表情が一変。少し怒った様子で
「俺たちの息子にかわいそうなんて失礼だろ!」と義母の言葉を一蹴。
「ニコニコしている息子のどこがかわいそう?」と義母に向けて言い放ったのです。確かに息子は顔が腫れていましたが、その目は真っすぐと義母を見つめ、眩しい笑顔を見せていました。
口数の少ない夫が、義母に反論したことに私はビックリ。義母もハッとして
「そうよね、ごめんね」と謝ってくました。同時に、私の心も軽くなっていきました。
夫の言葉は、まさに私が義母に言いたかった言葉でした。私の気持ちを代弁してくれた夫には感謝しています。そして、夫のお陰で、私自身も息子の笑顔に気付くことができました。
しばらくして息子の湿疹も徐々に良くなり、3歳を過ぎた今ではとても元気に過ごしています。この一件以来、義母は「かわいそう」と口にしなくなりました。
元々、孫が大好きな義母なので、今では息子を見て「かわいい、かわいい」と褒めすぎなくらい褒めてくれます。
私も「些細なことで落ち込んでいる場合ではない」と強い気持ちを持つことができ、心を新たに息子の育児に励むことができるようになった出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター / kashiwagihahiira)