福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。20回目は「金文堂 姪浜南店」(福岡市西区)の古賀和義店長を訪ねました。外出自粛期間を通して、読書の魅力を再認識した人も多いのではないでしょうか。どんな本を教えてもらえるか楽しみですね。
コメディアン小松政夫さんの真骨頂、笑いと博多弁が満載!
「みーんな ほんなごと!」 小松政夫 著
―古賀店長、今回もよろしくお願いします。新型コロナウイルス対策で自宅で過ごす中で、改めて本の価値に向き合った人も多いと思います。 時間を短縮しながらではありますが、当店は閉めずに営業していたこともあり、この期間、多くの方に本やコミックをお求めいただきました。“本離れ”などと言われて久しかったのですが、「みんな時間がなかっただけだったんだな」と実感しました。生活の中に時間の余裕が生まれれば、本を手にする人はまだまだたくさんいるのだと気付かされました。
―商業施設や飲食店が臨時休業している中で、書店が開いていると不思議と何かホッとしました。普段より一層オアシスのように感じたといいますか。 そう思っていただけると、うれしいですね。読書には、気持ちを安定させる要素もありますよね。それと休校が長かったので、親御さんも少々心配されていたのでしょう、家庭学習用の学習ドリルなどを購入される方も多かったですよ。絵本や児童書もです。
―さて、今回紹介してくださる本は? 福岡市出身の小松政夫さんのエッセー「みーんな ほんなごと!」(さくら舎・1,500円+税)です。「月刊はかた」に連載されていた原稿をまとめた一冊で、3月に出たばかり。若い人などは、俳優としての小松さんは知っていても、コメディアンとして活躍されていた姿を見たことがないかもしれません。けれどこの本は、コメディアン小松さんの一面が色濃く感じられます。しかも博多弁が満載! ―山笠にも参加される博多っ子ですしね! かなりきつめの博多弁なので、県外の人などには、意味が分からない箇所もあるかもしれないと思うほどですが(笑)、それも味ですね。
―帯を見るだけでも、芸能界の大物とのエピソードがたくさん書かれているようですね。 植木等さん、高倉健さん、伊藤四郎さん、タモリさん、最近では、博多座の舞台「めんたいぴりり」で一緒だったという博多華丸・大吉さんなど。それと同時に幼い頃の思い出話や同級生とのエピソード、山笠の話も散りばめられています。これもまた面白いんです。
―よく売れているようですね。棚に残っていないような…。 そうなんです、追加をお願いしているところです。主に50代オーバーの男性に支持されていて、ひょっとすると小松さんのお知り合いもいるかもしれません(笑)。福岡の場所もいろいろ出てきますので、県外に住む福岡出身者などが読むと、心が和むというのもあると思います。実はうち(金文堂)の会長も「どんどん入れろ」と(笑)。 ―それは心強いサポーターですね(笑)。きっと福岡の人が元気になれる本なんですね。 そうなんです、明るい気分になれますよ! 「へえ」と思うようなエピソードも多いです。1編が短くすっきりまとめてあるので、サクッと楽しく読めるのも魅力です。 ―ありがとうございました。この本を読んで明るい“家時間”を過ごしたいと思います!