30年ほど前、夏休みの家族旅行での思い出です。家族6人で久しぶりの旅行。普段は乗らない特急列車で向かった海沿いの観光地。水族館に行ったり、美味しいものを食べたり大満足な1日を過ごし、向かった旅館でまさかのハプニングが起きたのです!
夏休みは旅行へ行こう!
これは30年近く前、私が小学校低学年の出来事です。末の妹が生まれてから半年ほどたち、初めて両親と私含め4人の姉弟そろっての旅行が決まりました。
久しぶりの旅行先は、特急列車で行く海が近い観光地です。水族館に行き遊覧船に乗り、美味しい海の幸を味わって夕方まで遊ぶプランに、私は夏休みを指折り数えてとても楽しみにしていました。
ネットなんて便利はものはまだ何もない時代、両親は子どもたちを楽しませるためガイドブックで観光地を調べ、宿泊先には赤ちゃん連れが可能かどうか1軒ずつ電話で問い合わせ予約をとり、行程をしっかり考えてくれました。
いざ海の観光地へ!
ついに迎えた旅行当日、赤ちゃんもいる4人の子どもと大量の荷物を抱えて、家族6人列車に乗り、海が近い観光地へやってきました。
水族館で珍しい魚やイルカショーを見たり、海岸沿いをめぐる遊覧船に乗ったりして、計画通り楽しい時間を過ごしました。
私自身も親となった今、小さい子ども連れでの旅行がどれほど大変なのか想像できるようになり、連れて行ってくれた両親には感謝しかありません。
旅館でまさかの出来事!
朝早く出発して遊び尽くし、やっと旅館に到着したのは夕方18時頃でした。家族全員へとへとなのに、旅館に到着すると信じられないことが起きたのです。
「ああ、来られたんですか? 到着が遅かったので別の方を入れてしまって、もう部屋はありません!」チェックインしようとするとまさかの一言。旅館の係の人は愛想のないおじさんで、その冷たい言い方に私も両親も呆然としました。
「まさか、泊まれないの?」不安に思っていると、カッとなった両親と係の人の言い合いがはじまりました。
「到着が遅かったって、きちんと予約していたはずですよ! 勝手に他の人を入れるなんておかしいでしょ!」
「そうは言われましても、もう部屋はありません。お帰り下さい」従業員のおじさんは最後まで悪びれる様子もなく、結局両親が諦めるしかありませんでした…。
仕方がないので、もともとは翌日訪ねる予定だった祖父宅へ、列車で2時間かけて向かいました。夜も遅くに家族6人で到着した私たちを出迎えた祖父はもちろんびっくり。
怒りのおさまらない両親は、祖父に旅館の酷過ぎる対応を話して聞かせていましたが、祖父はなぜか嬉しそうにずっと大笑いです。
「そうかそうか、それは残念だったな!」当時1人暮らしをしていた今は亡き祖父は、思いがけず1日早く賑やかになって嬉しかったのでしょう。
失敗を楽しみに変えて
そんな腹立たしい経験をしたためか、翌年の夏までに両親は家の車を乗用車からワンボックスカーに買い替え、夏休みは当時流行り始めたオートキャンプに出かけました。
キャンプの気軽さと自然の中での遊びにすっかり魅了されたわが家は、それから数年間、夏休みはキャンプ旅行が定番の過ごし方になったのです。
皆さんも旅行でのトラブルはなにかしら経験があることでしょう。旅館の対応をネットに書きこむことができる現代なら、間違いなくこの旅館は星1つ以下ではないでしょうか? 今でも印象に残っている夏休みのハプニングです。
(ファンファン福岡公式ライター / ましまろ)